知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

おんなのアンリツさんと、ゆで卵検査

 この前、卵を割ったり、検査したりする

装置のことを書きました。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

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 本日は、卵つながりで、ゆで卵の検査

装置の話です。

 

 「それはいいけど、なんで、アンリツが、

おんな、なんだ?」とおっしゃるのは

ごもっとも。

 

 このアンリツさん、正式名称は、「アンリツ

フィビス株式会社」といって、神奈川県の

厚木市にある恩名(おんな)という場所に

あるんです。

 

 つながったでしょう??

 

 この会社は、やはり恩名にある、創業から

120年という、通信機器メーカーのアンリツ

株式会社の子会社で、以前はアンリツ産機

システム株式会社と言ったのですが、

今年になって名称が変わったばっかりで、

資本金が13億5,000万円、売上高が

141億6,900万円、従業員数367名と

いう会社で、異物検査や、質量検査、

計量などの装置を作っている会社なんです。

 

http://www.anritsu-infivis.com/ja-JP/index.html

 

 この会社の、ゆで卵の殻残り検査装置

が、日本食糧新聞という大々メジャーな??

新聞で取り上げられているんです。

(電子版会員登録をしないと、全文を

見ることができませんが)

 

 記事では、1時間に3万個も検査できる

そうで。

 

 ということで、記事ではこれ以上読む

ことができませんので、特許出願から、

どんな装置なのか、調べてみましょう。

 

 この出願は、特開2014-106187「X線

異物検出装置」というもので、拒絶理由

通知が来たりして、意見書や手続補正書が

平成27年9月29日に提出されて、この記事を

書いている時点では、まだ登録なのか、

拒絶なのか、の結論はでていません。

 

 まあ、それはさておき、内容としては、

X線にて異物を検出するそうで、課題

としては、誤検出が少なく清掃性乃至

メンテナンス性に優れたX線異物検出

装置を提供することで、解決手段と

しては、X線異物検出装置1は、搬送

手段7により循環して駆動される無端状の

バケット部材5と、X線源3及びX線検出器

8を有し、バケット部材の凹部6には、

水面Lが存在する状態の水Wとゆで卵4が

収納され、照射領域Sを通過することに

よりX線の透過画像が取得され、これにより、

ゆで卵4の一部が水面Lの下方で水に

浸っているので、X線の透過量は全体的に

減少し、その変化も比較的緩慢になり、

異物の誤判定の恐れは少ないんだそう

ですよ。

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 ゆで卵の製造・加工ラインでは、卵の殻を

水中で剥いた後で保持用トレー(バケット)の

各凹部にゆで卵を収納するため、凹部に

収納されたゆで卵の一部分に少量の水が

付着していたり、ゆで卵が保持されている

凹部の壁面の外側(下方に突出している

凹部の壁面の下面)の一部分に水が付着

したりすることがあり、この場合、保持用

トレーに付着した水は、検査時にX線を

吸収するために検査画像に映り込む

場合があり、その場合にはゆで卵の表面に

付着している可能性のある殻(異物)との

区別がつきにくかったり、凹部にゆで卵が

入っていない場合であっても、凹部内や

反対側に水が付着していれば、画像に映り

込んでしまうこともあり、いずれも検査精度

の低下につながるという問題があったんで

これを改良したんですって。

 

 検査するにもいろいろ大変なんですね。

 

 ということで、この検査装置は、X線

使っているので、IPCは食品検査と

異なる、「画像を形成する検査装置」G01N

23/04という技術分類が付されているん

ですが、実は、卵の検査というのは、G01

N33/08「卵,例.光線で良否を検ずるもの」

という技術分類があるんです。

(FI分類でもおんなじです)

 

 そこで、卵の検査装置って、どんなメーカー

さんが作っているんだ?というのを、この

技術分類の出願公開で調べてみましょう。

 

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 年ごとの出願数は、ここ10年をプロット

しましたが、卵の検査装置というのは、

少ないながらも今でも研究開発がされて

おり、一番多いのは、やはり、この前取り

上げた、ナベルさんなんですね。

(クボタさんでも卵の検査装置を作って

いるのは知りませんでしたが。

 

 尚、先週、ナベルさんからは、毎時24万

個の卵を、検査・包装できる装置を開発した

という発表があり(4億円だそうです)、

共和機械さんからは、鶏卵のひび検出装置の

発表がありましたね。(600万円程度だ

そうです)

 

 世界最高性能の検査・包装機械は毎時

21万6千個だそうで、ナベルさんの機械は

毎時12万個だったのですが、自社の機械の

2倍の速度を達成でき、世界最高になった

そうですよ)

 

 特許出願の被引用回数が6回以上の

ものを抜き出すと以下のようになり、卵の

検査と言っても、いろんな検査があるん

ですね。

 

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