知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

カプセル内視鏡番外編  リトルマーメイド?

 以前に、カプセル内視鏡でのパテントマップ

使用した特許情報分析を紹介しましたが、

今日は、その番外編です。

 

 滋賀県に株式会社ミューという会社があります。

 

株式会社 ミュー

 

 この会社は、大塚尚武さんという龍谷大学名誉

教授が起こした会社ですが、自走式カプセル

内視鏡というのを開発しています。

 

 (尚、WEBで検索すると、株式会社ミューという

のは、まったく同じ名前で、

 

http://www.mew-mew.co.jp/

 

や、株式会社Myuミューや、ミュー株式会社など

違う会社が結構でてきます。)

 

 この前、TBSの「健康カプセル!元気の時間」で

腸のトラブルというのを取り上げていて、その中の

「大腸がんは怖くない、予防最前線」というコーナー

で、この大塚さんの自走式カプセル内視鏡が取り

上げられていました。

 

 この前も、女性のがん死亡率1位は大腸がんだと

いうのを取り上げました。

 

パテントマップ特許情報分析編2 がん死亡率が高いのは? - 知財アナリストのひとりごと

 

 番組では、早期発見で切り取ることが可能、という

ことで、早期発見のためのカプセル内視鏡が取り

上げられていたものです。

 

 株式会社ミューのホームページを見ると、この

ほかにもマスコミにいろいろ取り上げられている

ようで、現在臨床試験をおこなっているんだそう

です。

 

 番組では、カプセル内視鏡の名称が、「マーメイド」

となっており、魚のような形をしており、尾ひれの

部分が磁石となっており、外部からの磁場によって、

自由に動かせるというのを説明していました。

 

 自由に動かせるといっても磁場の中に入らないと

動かせないので、開発者自らが実験台となって、

磁場の中に入っているのを映していました。

 

 ということで、特許出願を調べて見たいと思います。

 

 まずは、出願人が「龍谷大学」で、発明者が

「大塚尚武」さん、文献は「出願公開」で検索すると、

下記の6件がヒットしました。

 

f:id:oukajinsugawa:20140622110808j:plain

 

 「大塚尚武」さんは、株式会社も立ち上げて

いるので、試しに発明者「大塚尚武」さん単独で

検索すると、さらに4件ヒットしました。

 

 「大塚尚武」さん単独で関係ありそうなものは、

上図のほかに、「特開2013-165881 自走式

カプセル内視鏡」というのがありました。

 

 残念ながら、登録されたのは、上図の中の、

「特開2008-279019」のみでした。

 

(それ以後のものはまだ審査請求前だと思い

ます。)

 

 下記がその登録されたものの要約と

選択図部分です。

 

f:id:oukajinsugawa:20140622110953j:plain

 このほかに、出願の中には、「特開2006-062071」

というのがあるのですが、ページ数が149ページと

いう大作です?

 

 しかし、残念ながら、拒絶となってしまって

いました。

 

 この拒絶の内容をIPDLでちょっと調べてみましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20140622111120j:plain

 

 上記の経過情報をクリックすると、以下のように

なりますので、これをチェックすることにより

審査過程を調べることができます。

 

f:id:oukajinsugawa:20140622111337j:plain

 

 尚、この後に、どうしても登録させてもらいたい

ときには拒絶査定不服審判というのもあるのですが、

審判にはいかなかったようです。

 

 審査書類がどうなっているのかの調べ方は

この前書きましたので、興味がある方は

調べてみてください。

 

そんなバナナ! - 知財アナリストのひとりごと

 

 しかし、大作なのにもったいないですね。 

 

 登録査定が非常に少ないので、いつも書いて

いますが、先行文献調査をしっかりやって、

似通った文献があったら、しっかりその差異を

明らかにしておく必要があるでしょう。