知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

そんなバナナ!

 「女子高生が特許 エコなプランター」という記事が

東京新聞に出ていました。

 

東京新聞:女子高生が特許 エコなプランター 作新学院・長坂さん 土に返る容器:栃木(TOKYO Web)

 

 宇都宮市に住む女子高生が、食物繊維を使った

紙でプランターを作り、特許を取得したのだそうです。

 

 発案のきっかけは中学一年だそうで、そんな小さな

ときから発明を思いつくとはすごいですね。

 

 私など中学一年のときには、何にも考えずに真っ黒に

なって遊びほうけていたものです。

 

 この関係記事は下野新聞にも出ていました。

 

高校生がエコ・プランターを商標登録 作新高の長坂さん|下野新聞「SOON」

 

 どちらの新聞も、2009年の最初の出願は「似た

発明がある」として認められず、再度出願して認め

られたとなっていました。

 

下野新聞の記事では、出願ではなく特許申請と

なっており、特許申請が、特許庁に「商標登録」

された、となっていました???)

 

 まあ、特許出願が「商標登録」されたというのは

ご愛嬌として・・。

 

 しかし、考えてみると、一度特許出願をして

拒絶されたとして、これを少し直して出願した

としても、先の自分の出願によって拒絶となる

はずなのに、これが認められるなんて、

 

「そんなバカな話があるのか? 

 

 と、いうか、

 

 そんなうまい方法があるのか?」

 

 とか考えてしまいました。

 

 まあ、出願公開前に取り下げという方法もある   

のですが、審査をしているわけだし、「おかしくね?

これはひとつ調べねばなるまい」ということで、

調べてみることにしました。

 

 まず、例のIPDLで、発明者を「長坂良子」さん、

対象を出願公開として検索をかけてみました。

 

 同姓同名がいるかな?とも思ったのですが、幸い

おらず、検索ができました。

 

 しかし、不思議なことに1件しかヒットしません

でした。

(特開2011-019445「栽培の機能を備えてなる包装用

容器」) それも出願は2009年でした。

 

 取り下げたわけではないようですので、登録

公報が出ていないか調べてみると、特許公報

(特許5521174)も出ていましたので、覗いて

みると、この1件の出願と同じものでした。

 

 ここで、ピンと来ました。最初の出願が認められず

再出願したのではなく、補正をおこなって登録に

なったのではないかと。

 

 それでは、そこんところを調べてみましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20140612191103j:plain

 

 まず、上記をクリックしましょう。

 

 次に下記のように番号を入れましょう。番号は、

公開番号でも特許番号でもOKです。

 

f:id:oukajinsugawa:20140612191204j:plain

 

 そうすると、以下の画面になります。

 

f:id:oukajinsugawa:20140612191300j:plain

 

 そうですね。 やっぱりそんなうまい話はなくて、

拒絶理由通知が来たんで、補正をしたんですね。

 

 したがって、2回出願したわけではありませんでした。

 

 上記をそれぞれクリックすると、拒絶理由とか

補正とかを見ることができますので、自分でやって

見てください。

 

 特に、「検索報告書」というのは審査のための

先行文献調査をどのようにおこなっているかの

参考になります。(現在、審査での先行文献検索は、

全部ではないですが、ある程度は外部機関に委託

しています)

 

 しかし、特筆すべきは、特許事務所を使わず、自分達

だけで明細書を作成したり、補正をしたりして登録まで

持っていったということでしょう。

 

 あっぱれ!!

 

 お父さん、お母さんが手伝ったのだろうけれど、すごい

ですね。

 

弁理士いらずで、特許事務所から見ると、!!!ですが)

 

 尚、商標の登録はありませんでした。

 

 ということで、また。