知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略入門編 下請け企業とシェアナンバーワン企業の違い

 それでは、前回の続きで、知財の中の知的

財産権について見て行きましょう。 知的

財産権というのは必要なのでしょうか?

 

 必要なら、なぜ必要なのでしょう?

 

 さらにはこの権利を保有していない場合

どうなるのでしょう?

 

 これを、知的財産権を持っていない場合

どうなるかということから見てみましょう。

 

 中小企業では、大手企業の下請けとして

その部品を製造しているという場合も多いで

しょう。 この場合、取引企業からの値下げ

要求が厳しいでしょうし、最近は景気が悪い

ので、取引企業が。賃金が安い海外メーカーに

切り替えるということもおこるでしょう。

 

 もし、この場合に模倣をされたら文句が言える

ような権利を持っていない場合、海外メーカーに

模倣をされてしまい安い価格で取引企業に納品

されてしまうでしょう。(国内メーカーからも模倣

されてしまうでしょう)

 

 さらに取引企業と守秘義務の契約を取り交わ

していない場合などは、取引企業が海外メー

カーに技術を教えて作らせてしまうということも

起こり得ます。 

 

 景気が悪いのでこのような信義に反したような

事態も考えられるでしょう。

 

 さらにさらに、その技術を応用した技術で権利を

他に取得されてしまい、自社の方が製品を作れ

なくなってしまうということも起こり得るでしょう。

 

 このように、資本力の小さい企業ほど知財

戦略を特によく検討すべきで、知財が弱い

企業は、下請け的に取引先の要求を飲まざるを

得ないことが多いということになってしまいます。 

 

 しかしこれに反し、日刊工業新聞201310

2827面でドイツの中小企業が取り上げられて

おり、(強さ際立つ独の中小企業)、ドイツでは、

従業員500人以下の中小企業は大部分が家族

経営の企業ですが、特許を中心とした技術力を

武器にイノベーション力の高い製品を持ち、トップ

シェアを抱える企業が多く、何世代にもわたって

大企業と対等の関係を築いている、とあります。

 

 さらに、Hidden Champions of the 21st

Centuryでは、ドイツ企業をさらに詳細に

紹介し、たとえばWinterhalter社は業務用

食器洗浄機メーカーですが、各市場での

それぞれのシェアを分析した結果、それぞれが

35%しかないことがわかりました。

  

http://www.rieti.go.jp/en/special/p_a_w/018.html

 

 このため、戦略を見直し、事業を病院と

レストラン向け食器洗浄機に集中し、さらに

自社ブランドの洗剤を販売しサービスも集中

させることにより売り上げを伸ばし、業界ナンバー

ワンの地位も築き上げたとのことです。

 

 尚、知財戦略の話ではないですが、日本の

中小企業のグローバリゼーションの遅れも指摘

されており、言語も含め、外国に対する消極性、

大企業への依存などが原因となっているとして

います。