アルツハイマー病原因物質を調べる方法って、どんな特許出願なんですか?
国立長寿医療研究センターと島津
製作所が、アルツハイマー病の原因と
なる物質を血液中から90%程度の
精度で検出する技術を確立したそう
ですね。
テレビでは、島津製作所のノーベル
賞受賞の田中さんも会見に同席した
様子を放映していました。
調べるんだそうですが。
ということで、これの基になった発明が
すでに出願されていますので、ちょっと
覗いてみましょう。
発明は、再表2015/178398「脳内のアミ
ロイドβペプチド蓄積状態を評価するサロ
ゲート・バイオマーカー及びその分析方法」
となっています。
【要約】
生体由来試料中のアミロイド前駆タンパク
質(APP)由来のペプチドを指標とした
脳内のAβ蓄積状態を評価するバイオマーカー
及びその分析方法を提供する。被験対象に
由来する生体由来試料を測定して、APP669-
711/APP672-713(Aβ1-42);APP672-709
(Aβ1-38)/APP672-713(Aβ1-42);
APP674-711(Aβ3-40)/APP672-713
(Aβ1-42);APP672-710(Aβ1-39)/APP
672-713(Aβ1-42);APP672-711(Aβ1-40
/APP672-713(Aβ1-42);及びAPP672-
711(OxAβ1-40)/APP672-713(Aβ1-42)
からなる群から選ばれる少なくとも1つの
比を求め、被験対象の前記各比が、脳内の
Aβの蓄積が陰性である認知機能正常者
NC-の前記各比を基準レベルとして、前記
各比の基準レベルよりも高い場合に、被験
対象の脳内Aβの蓄積量は、前記認知機能
正常者NC-の脳内Aβの蓄積量よりも
多いと判断する。
【技術分野】
【0001】
分野に属し、脳内のアミロイド・βペプチド(Aβ
蓄積状態を評価するサロゲート・バイオマー
カー及びその分析方法に関する。より詳しくは、
本発明は、アミロイド前駆タンパク質(Amyloid
precursor protein; APP)が分解されることに
より生じるAβ及びAβ様ペプチドの生体由来
試料中レベルを指標とした脳内Aβ蓄積状態を
評価するサロゲート・バイオマーカー及びその
分析方法に関する。本発明のバイオマーカーは、
アルツハイマー病に関して、発症前診断、発症
予防介入(先制治療薬投与等)対象者のスクリー
ニング、及び治療薬・予防薬の薬効評価等に
利用するためのマーカーである。
「なんだか難しそうですな。」
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(Alzheimer's disease; AD)は
占める。2001年で2400万人以上いた世界の
認知症患者数は、2040年には8100万人に達
すると推定される(非特許文献1)。アルツハイ
マー病の発症にはAβが深く関わっていると考え
られている。Aβは、膜一回貫通タンパク質で770
残基のアミノ酸から成るアミロイド前駆タンパク質
よってタンパク質分解を受けることによって産生
される(図1参照)。
Aβの線維化を伴う凝集により老人斑が出現すると、
これを引き金にして神経細胞内にタウタンパク質が
凝集蓄積し、神経機能不全や神経細胞死が引き
起こされる。この結果として、極度の認知能力の
低下が起こると考えられている。Aβは主に40mer
(Aβ1-40)と42mer(Aβ1-42)からなることが古く
から知られており、脳脊髄液(CSF)や血液中へ
移行することもわかっている。さらに近年では、
Aβ1-40とAβ1-42とは長さの異なるAβ様の
ペプチドがCSF中にも存在することが報告されて
いる(非特許文献2)。
「2040年には、1億人近くのボケボケじーさん、
ばーさんがいるというのは、大変な時代ですな。」
【0003】
進行する。アルツハイマー病の診断は、臨床
症状を調べるためのADAS-cog、MMSE、
DemTect、SKT、又は時計描画テストの
ような認知機能検査や、核磁気共鳴画像
等の画像所見の確認などを合わせて行わ
れている。 MRIは脳の変性萎縮を検出
できる画像診断法であるが、脳の萎縮は
アルツハイマー病に特異的ではない。
一方、Aβ沈着を特異的に検出するリガン
ド分子(PiB: Pittsburgh compound-B)の
停留を可視化する画像診断法としてPiB-
PETがある。チオフラビンT-類似体(11C
)PiBが、軽度認知障害(Mild Cognitive
Impairment:MCI)又は軽度アルツハイマー
病を有する患者の脳の特定の領域で次第に
蓄積するAβを反映して停留することが
見出されており、Aβ沈着の検出方法として
最適なツールとなっている。アルツハイマー
病の剖検病理所見により、軽度の認知機能
低下の症例でもすでに多くの老人斑が蓄積
していることがわかっている。このことから
認知症が顕在化するかなり以前からAβの
凝集・沈着が始まるのではないかと推測されて
おり、PiB-PETの所見でもそれを裏付ける
結果が報告されている。しかしながら、PET
検査には大掛かりな設備が必要であり、
また一回の検査料も高額であり、広く国民が
受診できるような方法としては適さない。
「ほう、ほう。」
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
アルツハイマー病(AD)患者では、認知
機能低下が顕在化する以前に大量のAβが
沈着していることがわかっている。PiB-PETは
Aβ蓄積の検出に有効であるが、検査費用が
高額で、検査の所要時間も長いため、多くの
高齢者が容易に受診できる診断方法ではない。
したがって、臨床症状が顕在化する前にAβ
蓄積の増加を検出できる簡便な分析方法が必
要とされている。
「簡便分析手法が必要なんですな。」
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の
APP由来のAβ及びAβ様ペプチドが上記
目的を達成することを見出し、本発明を完成
するに至った。
「鋭意検討して、要約のような発明に
至ったんですな。」
ということで、この発明をさらに昇華
させたのでしょう。
いつから使えるようになるんでしょうかね?