知られざる特許の旅 第12回 ゼニアイキ
「何だ? ゼニアイキって?」という
ところで、「知っとるけ?」シリーズです。
ゼニアイキを販売したのは、本社が大阪市、
資本金5,277百万円、連結売上高106,516百
万円、連結従業員数1951名、事業内容は、
ワークステーションシステム、オフィス建材
内装設備、セキュリティ設備機器、工場・
物流設備機器、商業施設機器/研究施設機器
などを取り扱う、オフイス家具大出の上場
企業です。
創業は1890年(明治23年)12月で、
会社名は、創業者の名前にちなんでつけ
られています。
どこの会社かわかりました?
トヨタさんとか、松下さん、ホンダさん
でないのは確かです。
意匠公報を検索すると、2998件と、すごい
数で、最近のものは以下のようなものが
あります。
どうです? わかりました?
まだわからない?
それじゃあ、持ってけドロボー、という
ことで、商標も載っけてしまいましょう。
検索すると772件も出て来るのですが、
一番古いのは1913年12月登録の次の二つ
になります。
次の古いのは「ゼニアイキ」で、登録日が
1917年(大正6年)と古いので、以下の
ように右から左に書かれています。
ということで、わかりました?
ファイナルアンサー??
「バカヤロー、さっぱりわかんねーじゃ
ねーか。」という方のために、種明かしを
すると、以下のようになっています。
http://www.jsme.or.jp/kikaiisan/data/no_080.html
では、機械遺産というものを認定しており、
「ゼニアイキ」は今年の認定品です。
発売したのは、伊藤喜商店(現在の、株式
会社イトーキさん)で、イトーキという会社名は、
創業者の伊藤喜十郎さんにちなんで付けられて
おり、キャッシュレジスターのゼニアイキは、
1913年に発売され、1955年代まで愛用されて
いたロングセラー商品でした。
この辺の経緯は以下をどうぞ。
125年の歩み : イトーキ創業125周年記念サイト : ITOKI
大阪市 港区 西区 大正区 エリアの人と町をつなぐふれあい情報誌 みなとQ » 伊藤喜十郎
ということで、この製品はどんな特許
だったのか調べてみましょう。
この当時、キャッシュレジスター関係の
特許は伊藤喜商店だけからというわけでは
なく、いろいろなところから特許化されて
いましたが、伊藤喜商店関係の大正8年
までの特許出願を抜き出すと、以下のように
なり、一番古い特許は以下となっています。
それでは、これより古いものは、なか
ったのか?というと、実用新案も特許も
いろいろあったのですが、古いものを
見てみると、以下のようなものがあります。
(残念ながら、この時代の書類は、大正
大震災で焼けてしまっており、後で復刻
したのではないかと思われ、このため、
出願日や登録日が定かでないのですが、
4400号の出願が明治33年9月となって
いますので、これより古いのでは?と思い
ます)
権利者は「ジ、セキュリティ、カッシュ
レジスター、コムパニー」となっており、
図面は以下のようになっています。
以下のような現在のNCRの前身の名前の、
「National Cash Register」からの登録も
ありますよ。
日本人からの古い登録も以下のように
いろいろありましたが、まあ、今もそうですが、
権利化した技術をどのように商品化に結び
つけるかというのが重要で、伊藤喜商店さんは、
この才覚に秀でていたのでしょう。