知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

八尋産業さんの、乾燥粉末食品って、どんな特許なんですか?

 はい、お答え致しましょう。

 

 てなわけで、またまたお答えしましょう

シリーズです。

 

 八尋産業さんは、乾燥粉末食品で特許を

取得しているのではなくて、「減圧乾燥シス

テム」という設備と、「加工食品の製造方法」

という製造方法で特許を取っているんです。

 

 といきなり話を初めても、何の話なのか

さっぱりわからないわけです。

 

 八尋産業さんでは減圧平衡発熱乾燥装置

というもので、果物を乾燥させて粉末状にし、

お菓子メーカーなどに納品しているそうで、

いろいろテレビなどに取り上げられているんだ

そうですが、この前のがっちりマンデーでも

取り上げられていました。

 

 テレビでは、パインとマンゴーを乾燥させる

工程が紹介されていましたが、機械内部をほぼ

真空状態にし、高温にせず水分を蒸発させる

ため、うまみ成分を濃縮することができるんです

と説明していました。

 

 「やさしい味で、新しい感じがしますね」などと

話していましたが。

 

 八尋産業、このドライフルーツを販売したり、

粉末化したものをお菓子メーカーに納品してる

んだそうです。

 

 まずは、八尋産業さんを調べると、名称は

「八尋産業株式会社」、創立1977年、本社

岐阜県美濃加茂市、資本金3,000万円、

従業員は9名+パート21名だそうで、

設備機器事業のほうは、

1.減圧平衡発熱乾燥機製造・販売

2.減圧平衡乾燥加工施設の企画・設計・施工

3.干しいもスイーツ生産システムの企画・設計・施工

4.キノコ栽培プラント設計・施工

5.オゾン製造装置の施工

6.水処理メンテナンス

食品事業のほうは、

1.乾燥野菜粉末 各種

2.機能性乾燥粉末原料 各種

3.干しいもスイーツ 各種

4.乾燥キノコ類及び粉末原料

5.ドライフルーツ 各種

6.各種加工食品

7.冷凍食品(モロヘイヤ)

8.健康食品

9.レトルト加工食品

10.グレープシードオイル

となっています。

 

http://www.yahiro.co.jp/

 

原理は以下のようになりますが、どんな

特許か早速調べてみましょう。

 

http://www.yahiro.co.jp/04-factory-info/bcd-profile.html

 

・ 減圧乾燥システム:特許第5623237号

【課題】

減圧乾燥装置において、乾燥室における

雑菌の繁殖を防止することができる減圧

乾燥システムを提供する。

 

【請求項1】

被乾燥物を減圧状態で乾燥するための減圧

乾燥システムであって、

 被乾燥物を減圧乾燥させる減圧乾燥装置

(20)と、オゾンを供給するオゾン供給装置

(60)と、減圧乾燥装置とオゾン供給装置を

収納する収納室(10)とを有し、

 減圧乾燥装置が、乾燥室(24)と、乾燥室内の

気体を循環させる循環装置(32)と、乾燥室内の

気体を排出して乾燥室内の気圧を減圧状態に

する減圧装置(34)と、減圧装置からの排気を

排出する排気口(50a)と、減圧乾燥装置の外部

の気体を吸引する吸気口(42)と、減圧装置からの

排気と吸気口から吸引される気体との間で熱交換を

行なう熱交換器(48)と、を有し、

 該排気口は、収納室の壁部に設けられた穴部に

該排気口が設けられた管部である排気管部(50)を

挿通することにより、収納室の外部に設けられて、

減圧装置からの排気は収納室の外部に放出され、

吸気口から吸引された気体は乾燥室内に導かれ、

 オゾン供給装置が、オゾンを発生するオゾン発生

装置(62)と、オゾン発生装置に接続された配管部で、

収納室内にオゾンを排出するための複数の穴部を

有する配管部(70)と、オゾン発生装置に接続され、

オゾンの排出口(80a)を有する管部であるオゾン

排出管部で、減圧乾燥装置の吸気口の近傍に

該オゾンの排出口が配置されたオゾン排出管部

(80)とを有し、

 収納室は、入退室のためのドア部(10-1)を

有し、該ドア部が閉状態の場合には、内部が密閉

されることを特徴とする減圧乾燥システム。

 

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 オゾン発生器なども必要なんですね。

 

・ 加工食品の製造方法:特許第4279884号

 こちらの最初の出願の発明の名称は、「飲料、

加工食品、飲料の製造方法及び加工食品の

製造方法」で、加工飲料や加工食品の発明も

請求の範囲に書かれていて請求項の12まで

あったのですが、物の発明には拒絶理由が

通知されたため、以下のように、請求項が一つ

だけの製造方法の発明に減縮されています。

 

【請求項1】

加工食品の製造方法であって、

 登熟途中で、胚乳が乳状を呈する乳熟期の

稲の籾を975~985ヘクトパスカルの気圧で、

30℃~40℃の温度の雰囲気内で乾燥工程と、

 乾燥工程により乾燥された籾を粉砕する粉砕工程と、

 粉砕工程で粉砕された籾から胚乳と胚を注水

分離により分離する分離工程と、

 分離工程で分離された胚乳と胚とを真空凍結

乾燥により乾燥する第2乾燥工程と、

を有することを特徴とする加工食品の製造方法。

 

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 ということで、さらに研究をしていただいて、

いろんなおいしい商品を出してくれることを、

期待しております。