知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

王花陣、訴えられる?

  さて、おおまかな分析が終わったところで、今回からは、

オリンパス、ギブンイメージング、その他の3つに分けて

詳しく見て行きましょう。

 

 ・・・と書いたところで、ふと気がつきました。

 

 実は、前回もおおまかな分析で止めておきましたが、

ブログでの分析は、内容をわかってもらうために企業名を

そのまま載せて記載しています。

 

 出願公開された情報を使って分析してはいるものの、

企業の研究開発状況を分析しますので、あまり詳しく

分析して公開すると、訴えられる可能性もあります。

(訴えられなくても、文句をいわれる可能性あり?)

 

 ということで、企業自体の詳しい分析はやめることに

して全体としての研究開発動向ということで調べることに

しましょう。

 

 ところで、訴えられると言いましたが、この場合、

どのような法律により訴えられることになるでしょう。

 

 日本は法治国家ですので、何かの法律に抵触して

いなければ、罪は問われません。

 

 まず、初めに思い浮かぶのは、不正競争防止法です。

 

 不正競争防止法というのは、第1条に定義が書かれて

おり、「この法律は、事業者間の公正な~」と書かれて

いますので、私は事業者にあたらないと思いますので、

大丈夫な気がします。

 

 一歩譲って、事業者だったとして、それでは次に抵触

するのは、2114号というのがあります。

 

 これは、「競争関係にある他人の営業上の信用を害する

虚偽の事実を告知し、又は流布する行為」というものです。

 

 この条項の適用には、お互いに「競争関係」が必要

ですが、競争関係にはなさそうですし、また、「虚偽の

事実を流布」する行為なので、分析した真実のデータを

公開するのは問題なさそうです。

 

 ということは、問題になるのは、一般の不法行為

ようです。

 

  民事での不法行為は、民法に規定されていますので、

見てみましょう。

 

 民法での不法行為は、期日になってもお金を返さない、

などの「債務不履行による損害賠償」(415条)や、

不当に利益をあげたなどの不当利得(703条~708条)、

故意または過失によって、他人に損害を与えた、などの、

不法行為による損害賠償」(709条~724条)などが

あります。

 

 したがって、訴えられるとすれば、この「不法行為

よる損害賠償」というものではないでしょうか。

 

 まあ、そうは言っても、大企業が一個人を相手取って、

大枚はたいて訴訟を起こすことはないでしょうが、

文句を言われる可能性は否定できません。

(法律に反するようなことはやってないと思いますが)

 

 尚、どれもうまく持ち出せない場合には、最終的に

1条2項にある「信義誠実の原則」というのを苦し紛れに?

持ち出してくることもあります。)

 

 まあ、いずれにせよ文句を言われるのはいやなので、

おおまかな分析で止めておくのが正解のようです。

 

 (不法行為による損害賠償の場合には、

 

① 加害者の責任能力

② 故意または過失

③ 被害者の権利を侵害したこと

④ 損害が発生したこと

⑤ 行為と損害に因果関係があること

 

を証明しなければならず、さらに損害額の算定なども

しなければならないので、結構厄介です)