知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

サトーの切り餅か、越後製菓か???

 皆様、お正月はお餅を沢山食べたでしょうか。

 

 昔は、自分の家でお餅をついたり、臼と杵を

持っていない家庭では、お餅屋さんでお餅を

ついてもらい、自分の家で、一生懸命包丁で

切ったものです。

 

 今でもそういうのもあるでしょうが、最近は、

切り餅を買って来て食べるのが一般的になって

きているのではないでしょうか。 

 

 ところで、皆様はどこのメーカーの切り餅を

買って来て食べたのでしょう。

 

 私は、焼けたものが家で出てくるので、どこの

メーカーのお餅なのかさっぱりわかりません。

 

 切り餅メーカーは新潟に多く、佐藤食品工業

(サットーのきっりもっち、もっち、もっち、

もっちもちっと)と、越後製菓(桃太郎侍が出て

きて?、「えちごせいか」と叫ぶ、あれ)が

シェア1位、2位だそうです。

 

 ところで、この2社が特許権侵害で争った、

切り餅事件は有名ですが、こちらのほうは越後

製菓に軍配があがり決着がつきました。

 

 有名なので、WEBにいろいろアップされていま

す。 ということで、私の方では書きませんので、

興味がある方は検索してみてください。 

 

 これとは別なのですが、2社が争っている事件の

新たな判決が出ていました。

 

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20140107090542.pdf

 

 こちらのほうは、「越後製菓の特許は無効じゃ

ね?」と、佐藤食品工業さんが特許庁に訴え出たのに、

「無効ではありません!!」という審決が出たので、

佐藤食品工業はこれが気に入らず、さらに裁判所に

訴え出ていたものです.。

 

 ちなみに、特許権が成立した後であっても、「その

特許は無効だと思うので判断してくれませんか?」

ということで、特許庁に審判を請求することができ

ます。

 

 これは、特許権侵害で訴えられたときの対策と

しても用いられます。

 

 もし、特許が無効になれば、特許権侵害で訴え

られるいわれはないからです。

 

 さらに、その審決(特許庁がおこなった判断の

ことをいいます)に不服の場合には、裁判所に

さらに訴えることができます。

特許庁(行政をおこなう庁)が下した結論に

不服を訴え出るので行政訴訟といいます)

 

 上記の判決文にはいろいろ書かれていますが、

結論は、「前と変わりません!! 佐藤さんの

負けだから、訴訟費用はあんた持ちね!!」と

いうことでした。

 

 佐藤食品さんとしては、前回の訴訟も負けたし、

こちらの別の訴訟も負けて、同じ新潟県内で犬猿の

仲になってしまいます。

 

(片方は新潟市、片方は長岡市で、所在地は違い

ます。尚、同じ名前の佐藤食品工業というのが

愛知県に、佐藤食品というのが九州にありますが、

別の会社です)

 

 ということで、現在の分析が一段絡したら、

知財戦略のほうでこちらの話も詳しく書いて

みたいと思います。

 

 

 2015年5月22日追記:

 上のように、「特許が無効になれば特許権

侵害で訴え」られるいわれはない」と書きまし

たが、その後、平成26年5月14日公布の「特許

法等の一部を改正する法律」で、104条の4と

いうのが付け加えられ、訴訟の終局判決が

確定した後は、特許無効の審決が確定しても、

「無効だ、無効だ―」と主張することができ

なくなりました。

 

 この内容詳細は、そのうち書くことと致し

ましょう。