知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析編1 FI記号で見てみよう

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 昨日の日経朝刊に、「生活習慣病

大型後発薬」と題して、新薬の特許が

切れる2014年以降をにらみ、各社、

大型後発薬を相次ぎ発表するという

記事が出ていました。

 

 後発薬はジェネリック医薬品として

有名ですが、研究開発費をそれほど

投入せず製造できるので値段が安く

なります。

 

 先日私のダイアリーのほうで高血圧の

話をしましたが、私の使っている高血圧

症の治療薬も153月期に特許が切れる

そうで(売上高は年間1千億円を超える

そうです)、新薬の薬価は34割安く

なるそうなので、負担が減りそうです。

 

 話を戻すとして、前回は登録率を見て

みましたが、いよいよ発明の内容を分析

してみます。

 

 以前に記載したように、発明の内容を

知るためには、昔はじっくりと明細書を

読み込む必要がありました。 

 

 しかし最近の特許分析ソフト(パテント

マップ作成ソフト)の進歩は著しく、

分析ソフトで、ある程度発明の内容が

わかるようになってきました。

  

 分析ソフト屋さんの回しものでは

ないですが、短時間で分析できます

ので、費用対効果を考えると、使わない

手はありません。

 

 分析ソフトはソフトごとに表示方法、

分析種類に特徴があります。

(そのうち分析ソフトも取り上げます)

 

 それでは早速分析していきます。 

 

 今回も1985年からの全特許出願33件を

見てみます。 ハードロック工業では

どんな内容の出願をしているので

しょうか?

 

 これには、IPCFI記号、Fタームと

いう分類コードで分析します。 

 

 IPCというのは特許出願されると世界

共通に付与される分類記号であり、日本

での出願が多い特徴のあるもの(日本茶

など)をさらに詳しく分類した日本独自の

FI記号、FI記号をさらに多数の観点

(目的、効果、手段など)から分類した

日本独自のものをFタームといいます。 

 (というのは前に説明しました)

 

 今回は全数33件と非常に少ない出願の

分析ですので、別にこれらの分類記号を

使わなくても発明の名称を見れば大体

どのような内容かわかります。

 

 しかし、数百件、数千件、数万件と

いう数になって来ると、いちいち発明の

名称を見て分類するわけにいかなくなり

ます。

 

 したがって、今回はこの分類での分析を

紹介します。 分析はFI記号でおこなって

みます。 

 

 FI記号は、分類が改訂されても再度古い

特許文献にも付け替えがおこなわれますので、

お勧めです。

 

 まずは、大きなくくりでの分類による

分析を行いました。 右側がFI分類で、

棒の長さが出願件数を示します。

 

 F16B*というのが分類記号で(「*」と

いうのは意味がありますが、そのうち

説明します)、分類記号の右側が分類記号の

説明です。

 

 このグラフは以前に説明したように

マトリクスマップといいます。

 

 尚、今回はその出願の主な主題に

付与される筆頭FI分析をおこなっています。

 

 筆頭FI1出願に1つしか付与されません

ので、合計すると33件となります。

 

  この分析から、ハードロック工業での

事業、または研究開発は、メインの「ねじ」

F16B* 締めつけ具)の他に、ナットの

加工装置(N23B* 旋削:中ぐり)や、

「ねじ」に関連するものがほとんどであり、

これらに注力しているのがわかります。

 

 今回は発明内容のマクロ分析をおこない

ました。 

 

 次回は、出願した特許はどの程度強い

のかというのをお話します。