知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ダチョウを使って抗体ですか?、アレルギー対策マスクやダチョウのど飴?、それとも脱毛対策?

 この前、テレビで、京都府立大学

教授で、塚本康浩さんという方を取り

上げていました。

 

 この方は獣医師だそうですが、イン

フルエンザなどの感染症対策のための

抗体作製をダチョウで行う研究をして

いるんだそうですね。

 

 ダチョウは病原体にも強いし、怪我にも

強く、寿命も60年もあるそうで、赤ちゃんが

生まれたら、ダチョウを飼ってあげれば、

その赤ちゃんと、生涯に渡って一緒に暮ら

していけますね???

 

 こたため、ダチョウに抗体を作らせると、

強い抗体ができ、2週間後に卵の形で産

んでくれ、さらに、黄身の大きさがニワ

トリの卵に比べ格段に大きいため、ニワト

リに比べ、純度が高く安価で大量に作れ

るんだそうです。

 

 値段的に、約4000分の1ででき、一般

的な抗体は1gあたり約4億円もかかって

しまうところ、ダチョウで作ると10万円で

でき、さらに抗原を変えるといろんな抗体

ができるため、塚本先生のダチョウに関

する特許出願公開を検索すると、以下の

ように、いろんな感染症対策抗体発明と

なっています。

 

f:id:oukajinsugawa:20170916163025j:plain

 

 ちなみに、オーストリッチファーマ

株式会社というのは、以下のように、

塚本先生が興した会社だそうです。

 

baseconnect.in

 

 いろいろ企業と共同開発を進めて

いるそうで、この抗体を染み込ませた、

花粉やインフルウイルスをブロック

するマスクも2008年に発売されていま

すね。

 

www.koutai-mask.com

 

 新型インフルが流行し始めた2008年

だけで、700万枚の売り上げという大

ヒットだそうですが。

 

 ちなみに、この発明は、上の特開2009-

023985(特許5305427)として以下の

ようになっています。

 

【請求項8】
  請求項1-3のいずれかに記載の方法で

生産された抗体またはそのFab、scFv、

sdFvまたはF(ab’)であるフラグ

メントを担持する、インフルエンザウイルス

除去用マスクであって、抗体が高病原性鳥

インフルエンザウイルスH5N1由来の

H5蛋白質に結合するIgY抗体である、

マスク

 

 塚本先生によると、マスクとか化粧品とか

ポケットの中に抗体を入れて持ち歩ける

時代が来るそうで。

 

 これは、例えば一番新しい特開2017-

006008では、以下のように書かれて

います。

 

【産業上の利用可能性】
【0021】
  本発明に係る抗体および抗血清は、

MERSの感染予防・治療薬(点鼻薬

ネブライザー液、注射薬)、MERSの

感染予防用スプレー剤、MERSの感染

予防用マスク、MERSの感染予防用

エアコンフィルターおよび噴霧剤、

MERSの感染予防防疫服、MERSの

感染予防用の食品(キャンディーや

ガムなど)、MERSの診断薬に利用

することができる。

 

 テレビでは、アトピーだった子供さんが、

この抗体によりアレルギーが対策されて

いる、などと紹介していました。

 

 これは、上の、特開2015-105266

「アレルゲン抗体およびそれを有する

組成物と抗体を有するフィルター」
【要約】
【課題】生活部屋内で生じるアレル

ギーの場合は、抗原がダニアレルゲン、

イヌ・ネコアレルゲン等複数に渡る

場合がある。これら全てのそれぞれに

対応する抗体を産生するのは手間が

かかる。これらに1つの抗体で効果が

あるものの報告はなかった。
【解決手段】生活空間内で生じるアレ

ルギーに1つの抗体でアレルゲンの

活性を低下させる抗体およびその組成

物を提供する。より具体的には、

本発明の抗体は、ハウスダストに係る

複数のアレルゲンを抗原として鳥類の

雌に接種させ、前記鳥類の雌が産んだ

卵から精製した抗体。


だそうですよ。

 

 ダチョウが作る抗体は、酸とか熱に強く、

このため胃酸にも強いため、食べる抗体も

作れるんだそうで、抗体入りの飴を作る

工場も紹介していました。

 

 これは、先ほどの、産業上の利用可能性に

書かれていましたね。

 

 調べると以下のようなものがありますね。

 

lp.datyou-koutai.shop

 

 テレビで紹介していた飴工場は、宮川製菓

株式会社だそうですが。

 

宮川製菓株式会社

 

 ということで、薄毛の方に朗報です!!

 

 薄毛対策抗体の研究をおこなっている

そうで、この発明、再表2015/083375

「脱毛誘発物質を抗原とした抗体、組成物

および製造方法」を見てみましょう。

 

【要約】

  抜け毛の原因は、不明な点が多く完全に

解明されているわけではない。しかし、

5α-リダクターゼがDHTホルモンを活性化

させ、それによって頭皮の男性ホルモンの

活性が活発化するために、毛根部の細胞の

活性が失われることが原因の一因と考え

られている。

  本発明は、5α-リダクターゼ若しくはDHTを

抗原として鳥類の雌に接種させそこから得た

抗体を頭皮に与えることで、DHTの活性を

抑制し、毛根部の細胞活性を高めるもので

ある。この抗体は、他の成分と共に、組成物

として利用することができ、例えば他の育毛

促進剤と一緒に育毛剤として使用することが

できる。

 

 以下は、ヌードマウス(毛のないねずみ)の

眼の周りに、抗5α-リダクターゼ抗体の溶液を

塗布し、発毛が認められたヌードマウスの

顔写真だそうです。

 

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 塚本先生、是非とも、頭がさぶい!私の

ためにも、早く商品化してください!!

 

 塚本先生、番組の最後で、「一家

いちダチョウ」と言っていましたので、

お宅でも、「一家にいちダチョウ」、

いかがです?