知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

血液一滴、がん診断 その2

 今回は、AMED(国立研究開発法人日本

医療研究開発機構)の「体液中マイクロ

RNA測定技術基盤開発」について調べて

みましょう。

 

体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクト

 

 上のように、血液一滴で、13種類のがんと

認知症の早期発見を目指す、というものですが、

研究は、以下のように、大きく4つに分かれて

います。

 

http://www.microrna.jp/projects/tabid/61/Default.aspx

 

① 患者体液中mi(マイクロ)RNAの解析

国立がん研究センター、国立長寿医療センター、

東レ株式会社、特定非営利活動法人バイ

チップコンソーシアム)

 

 バイオバンクに保存されている検体から、

そのがんのマイクロRNAを特定すること。

(中学だか、高校だかの生物の授業で、RNAとは

ribonucleic acidのことで、すなわちリボ核酸の

ことだ、などと習った気がしますので、マイクロ

RNAは、微小RNA、すなわち機能性核酸のこと

ですね)

 

 がん細胞は、特有のマイクロRNAを血液中に

分泌させるので、まずは、そのがん特有のマイクロ

RNAを見つけるんです。

 

② 疾患横断的に解析可能なmiRNA発現データ

ベースの構築

(国立がん研究センター国立長寿医療研究センター

東レ株式会社、一般社団法人バイオ産業情報化

コンソーシアム、特定非営利活動法人バイオチップ

コンソーシアム)

 

 ①で調べたデータをデータベース化するそうです。

 

③ miRNA診断マーカーとmiRNA検査/診断

技術の開発

国立がん研究センター国立長寿医療研究センター

東レ株式会社、共同実施先:国立大学法人九州大学

国立大学法人群馬大学国立大学法人大阪大学

公立大学法人大阪市立大学、学校法人東京医科大学

国立大学法人東京医科歯科大学国立大学法人

広島大学国立大学法人名古屋大学

 

 上で調べたマイクロRNAから、診断技術を

開発するんです。

 

④ 臨床現場での使用に向けた検査システムの開発

東レ株式会社、株式会社東芝、アークレイ株式会社

国立大学法人京都工芸繊維大学、プレジション・

システム・サイエンス株式会社、一般社団法人

バイオ産業情報化コンソーシアム)

 

 さらなる検査システム実用化だそうです。

 

 ということで、現在はどのような段階か、特許

出願から、調べてみましょう。

 

 調べるのは、企業を除いて、研究開発メンバーの

名前が出ていますので、このメンバー名と、大学名

で検索をしてみましょう。

(企業は選り分けに時間がかかるので、大学等

だけで検索します。)

 

 出願人と発明者は以下とします。

 

国立がん研究センター研究所 落谷孝広

国立長寿医療研究センター 新飯田俊平

京都工芸繊維大学 村上章

大阪大学大学院 森正樹

東京医科大学 黒田雅彦

大阪市立大学 村上善基

東京医科歯科大学 横田隆徳

九州大学病院 三森功

名古屋大学 馬場嘉信

群馬大学 畑田出穂

広島大学 田原栄俊

産業技術総合研究所 五島直樹

 

 尚、このプロジェクトは2014年度からスタート

となっていますので、出願が2014年10月からの

もので検索してみましょう。

 

 そうすると出願公開は1年半のタイムラグが

ありますが、以下の9件となりました。

(AMEDと関係ない研究もあると思います。)

 

f:id:oukajinsugawa:20161027164455j:plain

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 マイクロRNAのデータバンク作成のほうは、

特許出願からはわかりませんが、評価方法

などの研究は、活発にされているようですが、

いかがでしょう?

 

 尚、マイクロRNAでがんを診断する方法は、

このプロジェクト以外でもおこなわれており、

日本での出願人は、以下となります。

 

f:id:oukajinsugawa:20161027164556j:plain

 

 出願人は、海外からが圧倒的に多く、

日本でも、税金を投入し、負けないように、

国を挙げて研究開発をスタートさせたので

しょう。

アメリカ合衆国というのは、USAの政府

研究機関です)