知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析ロボットスーツ編 14 イノフィス

 ということで、今までは、特許技術分類で

検索をかけて調べて来ましたが、たとえば、

この前、「マッスル スーツ」(商標登録

4642254)という商標登録があるよと簡単に

触れた、「イノフィス」さんなど出てきま

せんでしたので、今度は、横ぐしというか

縦ぐしというか、企業名または発明者名で

検索をして、どんな発明があるのかを調べて

見ましょう。

 

 (株式会社イノフィスさんからは、

「マッスルウェア」(登録4704724)という

商標登録もされていますので、以下の

指定商品に使用された場合、怒られますので、

気をつけましょう。

 

9 空気圧式アクチュエータを用いた人工筋肉を

備えた防火被服,四肢関節を動かす筋肉を

サポートする防火被服 17A06

 

10 空気圧式アクチュエータを用いた人工筋肉

及びそれを用いた医療用の補助器具 10D01

 

25 空気圧式アクチュエータを用いた人工筋肉を

備えた運動用特殊衣服あるいは作業服あるいは

作業用特殊衣服,四肢関節を動かす筋肉を

サポートする運動用特殊衣服あるいは作業服

あるいは作業用特殊衣服 17A01 24C01 24C04

 

 ということで、まずは、「イノフィス」

さんです。

 

 株式会社イノフィスさんは、東京理科大

小林宏教授が中心になって、金型・部品

加工メーカーの菊池製作所さんとの共同

出資のベンチャー企業なわけでして。

 

http://innophys.jp/

 

http://www.kikuchiseisakusho.co.jp/

 

http://robotcare.jp/?page_id=849

 

http://www.tus.ac.jp/fac_grad/p/index.php?1825

 

 ということで、まずは、発明者を「小林

宏」さん、出願人を、「東京理科大」または

「イノフィス」さんの出願公開で国内検索を

かけると、36件でした。

(出願公開+特許での検索も同数です)

 

 ということでどんな発明があるのか

見てみましょう。

 

 数が少ないので、まずは、発明の名称

で見てみましょう。

 

 下は、出願順に並べていますが、マッスル

スーツだけに的を絞って研究しているわけ

ではなく、いろんな研究をしており、これは

以下の、小林ラボのHPに書かれている

ような発明がされているんですね。

 

http://kobalab.com/

 

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 上にあるようにマッスルスーツ自体の

発明は「腰部補助装置」というもので

しょうか。

 

 ということで、ロボットスーツに関係

しそうな色付けをしたものを調べてみま

しょう。

 

 まずは、出願人ですが、まだ「イノフィス」

さんからの出願はなく、すべて東京理科大

からの出願になっています。

 

 それでは、東京理科大ではどこと共同

研究をおこなっているかというと、以下の

ように4件が日立メディコさん、1件が

日本ロボティクスさんでした。

 

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 発明者は、小林宏さんのほかの上位は

以下となっています。

 

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 発明に特有のキーワードで分析すると、

腰部補助装置(マッスルスーツですね)と

歩行補助装置は、アクチュエータやエア

シリンダというキーワードがヒットし、指

駆動システムでは、サーボモータという

キーワードがヒットしています。

 

 小林先生の発明の特徴としては、

ロボットスーツを動かす一般的な

電機モーターではなく、圧縮空気を

使うというところがみそのようですので、

これがヒットしているのでしょう。

 

 ということで、どんな発明になって

いるのか見てみましょう。

 

・ 特開2009-011818

 まず一番初めの腰部補助装置です。

利用者の前傾姿勢維持を補助することが

できる腰部補助装置だそうです。

 

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・ 再公表2011/036906

腰部補助装置は、利用者の背部に

装着され、利用者の前方への傾倒に

追従移動可能な背中フレーム14と、

背中装着部に取り付けられ利用者の

体幹前方側へ延出されて利用者の

体幹前方側を支持する肩ベルト22と、

利用者の下肢の前方に装着される

太腿プレート18と、一端部が太腿

プレート18に連結され、他端部が

背中フレーム14と相対移動可能に

関節部16で連結され、相対移動時に

非屈曲形状を維持可能な連結フレーム

20と、作動状態において、背中フレーム

14の利用者の前方への傾倒を停止

させるアクチュエータ40と、を備えて

いるんだそうですよ。

 

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 そのほかの腰部補助装置は同じ

ようなものでしたので、歩行補助

装置を見てみましょう。

(特開2013−075078は前回記載

しています)

 

・ 特開2007−14698

こちらのほうは、その名の通り、

完全な、装置ですね。

 

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・ 再公表2009/044568

利用者に、良好な歩行運動を行わせる

ことが可能な歩行補助装置を提供する

んだそうです。

 

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 次は指駆動システムです。

 

・ 特開2007-313093

指に負担をかけずに、指の屈曲動作を

補助するんだそうですよ。

 

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 次は、上腕補助装置です。

 

・ 特開2012-239818

利用者の前腕部分、手部分の動きの

関連付けを実現することの可能な上腕

補助装置だそうです。

 

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 ということで、小林先生の発明はこんな

ところなのですが、イノフィスさんの共同

出資者である、菊池製作所さんを調べると、

特開2014-121499 (動作支援システム、

随意運動認識装置及び随意運動認識

プログラム)、特開2013-123577(歩行

補助装置)、特開2013-043028(筋電

データ処理装置、そのプログラム、

及び動作支援装置)などが、菊池製作所

さん単独、または早稲田大学との共願で

出されています。

(菊池製作所さん、小林先生のほかに、

浮気しちゃってるんでしょうか?

・・・・きっと違いますね)

 

 ということで、それではまた。

 

 

 2015年10月15日(木)追記:

 10月10日(土)の「ぶらり途中

下車の旅」という番組で、石丸謙二郎

さんが歩いていると、リュックサックの

ようなものを背負った人がいたので、

聞いてみたら、これが、マッスルスーツ

だったというのをやっていました。

 

http://www.ntv.co.jp/burari/contents/detail_2682792.html

 

 取り上げていたマッスルスーツは、

マウスピースが装着されており、息を

吸うと、ゴムチューブをナイロンメッシュで

包んだ人工筋肉に、空気が入り固くなり、

腰が伸びる方向に力が働くので、重い

ものを持ちあげる際の補助力として働き、

下ろす時には息を吐くと空気が抜けて、

補助力が弱まるので、自然と腰が

曲がるようになっていて、重い荷物の

積み下ろし作業などに役立つそう

ですよ。