知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析ロボットスーツ編 2 ロボットスーツの商標登録

 それでは、今回から実際のロボット

スーツというかアシストスーツというか

このへんを分析して行きましょう。

 

 これらを正確に表現できる普通

名詞が現在ないのですが、実は

商標登録されているものがあるんです。

(日本語でも、姿勢制御装置とか、

歩行補助装置とかいろいろあります

よね)

 

 まずは、「ロボットスーツ」ですが

CYBERDYNE株式会社さんの登録

商標で、平成22年7月9日登録の

第5336138号となっており、人間の

身体的機能を補助する装着装置に

使用すると、怒られてしまいますよ。

(このブログの標題に、「ロボット

スーツ編」と使っていますが、

装着装置に使っているわけでは

ないので、まあ、怒られないで

しょう)

 

 アシストスーツという登録はない

ので、まだ怒られる心配はないで

しょう。

 

 クボタさんの「ラクベスト」は、

平成26年3月14日に登録されて

おり、第5656854号となっています。

f:id:oukajinsugawa:20150307085045p:plain

 こちらは図形的な商標で登録されて

いますので、文字のみで姿勢制御

装置に使われた場合、怒られるか

どうかは、その使用態様で異なる

でしょう。

(怒られるかどうかの判断は、結構、

めんどいんですよ。

 

 ちなみに、「ハンサムスーツ」や、

「ぶ・スーツ」という登録商標はありま

せんので、どんどん使いましょう???)

 

 それでは、検索キーを調べて行き

ましょう。

 

 まずは、前回書いた、 IPCのA61H

3/00「歩行補助装置」という分類がある

わけですが、さらに細かくなっていない

かFIを調べると、以下のようになって

いるわけです。

 

3/00

A 患者が持つて使用するもの〔車輪付きのもの→3/04〕

B 人体に装着するもの

Z その他のもの〔←建造物等に設置したもの〕

・3/02 ・松葉づえ

A 人体接触部

B 接地部

Z その他のもの

・3/04 ・病人または身体障害者のための車輪のついた歩行補助具

・3/06 ・盲目者のための歩行補助具(直接の視覚を他の知覚に換えるものA61F9/08)

A 光又は音を発するもの

G 障害物の感知手段をもつもの

Z その他のもの

 

  中身を調べてみると、3/00@B以外は

アシストスーツとあまり関係なさそうです

ので、まずは、FIのA61H3/00@Bを選ぶ

ことと致しましょう。

 

 次に、歩行とは関係ない、上半身

などを補助する「ラクベスト」のような

ものを調べると、FIでA61F2/50

「身体内へ植込まない人工器官[4]」

というのが、ありますが、人工乳房!!

とか内部器官も含まれていますので、

 もっといいのがないかいな?と調べて

みると、Fタームのほうで、4C097

いうのがあるんです。

 

 これは、以前の医療材料関係でも

取り上げましたが、以下のように

なっています。

(説明が長いので編集しています)

 

BB00 発明又は対象技術

BB01 ・身体内への植込み;埋込み人工器官(身体代替物)

BB02 ・身体外へ装着して用いる人工器官(身体代替物)

BB03 ・身体代替物ではない身体に装着して用いる身体補助具

BB04 ・身体への植込み;埋込みのための取付器具

BB05 ・代替物の操作又は制御

BB06 ・・電気的な制御 体内も入ってくる

BB07 ・・生体内因子による制御 体内も入ってくる

BB08 ・・流体制御  体内も入ってくる

BB09 ・身体への固定;支持;取付構造

BB10 ・その他

 

 ということで、BB02とBB03が関係

しそうです。 

 

 仕事で分析する場合には、FI検索と

Fターム検索の論理和をとって、さらに

キーワードも組み合わせて漏れが

ないような検索が必要ですが、

まあ、王花陣の検索ということで、

歩行補助装置のほうは、FIのA61H

3/00@Bを使用し、ラクベスト関係?は、

4C097のBB02とBB03で論理和

取ることとしてFIとFタームで、日本

だけの出願公開の分析を致しましょう。

 

 尚、クボタさんのラクベストは、

FIのA61F5/00「骨または関節の

手術によらない処置のための整形

外科的方法または器具」及び、この

Fターム4C098BB09などに分類

されているのもあるのですが、これも

一緒に検索をかけると、サポーター

のようなものも多く含まれてしまうので、

これらは後で、また別に分析する

ことと致しましょう。

 

(尚、特許庁からもロボットについて

分析レポートが出ています。

 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/25_robot.pdf

 

 特許庁の調査は、海外も調査する関係で

すべてIPCで調べているということと、

産業用ロボットなどすべてのロボット

関係を調査しているため、私よりも

広い範囲を調べており、検索分類が

ちょっと違っており、さらに特許庁

検索時期は2013年8月と私より1年半

ほど古いですがご参考にどうぞ)