知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析編6 非特許文献分析

 焼酎メーカーさん分析、その7、最後です。

 

 それでは、知財アナリストっぽく2社の特許

戦略を有価証券報告書から検証してみましょう。

 

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 上の表に見られるように、医薬、バイオ系

の売上高、従業員数が同じような数字と

なっています。

 (タカラバイオさんはH25年3月期(子会社

含む連結)で、合同酒精さんはH24年12月期

(バイオ系のみの値))

 

  また特許情報分析で見てきたようにに、

タカラバイオさんは遺伝子工学関係で強みを

発揮し、合同酒精さんでは、酵素を使用

した医薬関係に強みを持っており、売り

上げに貢献しているようです。 

 

 ということで、焼酎メーカーさんがどんな

研究開発体制かまとめると以下のように

なるでしょう。

 

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 上記のように、古くから他分野への戦略を

持ちつつ、積極的に特許出願を行って

いる企業は事業に結実しているようです。

 

 しかし、研究開発を行っていても、特許

出願が散発的な企業は残念ながら事業

結びついておらず、どのような分野で

ポートフォリオを固めるかの戦略が

必要かもしれません。

 

 さらに、資金的な問題で、今までの

ようにマーケッティング、営業重視を

継承していくことを取らざるを得ない

企業にあっても、特許関係が難しく

ても、他の知財関係でのポートフォリオ

戦略を考える必要があり、これらで

得られた利益により、少しづつでも

特許ポートフォリオ戦略を検討すべき

のような気がします。 

 

 ただし、今までの分析はあくまで特許

出願からの分析で、特許を出して権利で

守るオープン戦略と、Know-Howで守る

クローズド戦略がありますので、特許出願が

ないから知財戦略を考えていないということ

ではないと思います。

 

 たとえば、霧島酒造さんのところで、

知的財産「権」戦略が不十分と書きましたが、

あくまで、権利取得活動は活発でなく、

散発的に終わっているという意味で、

他の知的財産活動がおこなわれていないと

いう意味ではありません。

 

 逆に、他の知的財産戦略(知的財産「権」と

「知的財産」は違うと以前書きました)は活発

であるからこそ、霧島酒造さんは売り上げを

伸ばせているのでしょう。

 

 やはり、権利で守らなければならない電機

業界のようなものもあるし、権利で守るのでは

なくknow-Howで守る必要がある飲料業界と

いうのもあるでしょう。

 

 ただし、飲料業界のようなところでも、ひとたび

バイオ関係を生かす研究活動に参入していく

場合には、やはり権利で守る必要が出てくるの

ではないでしょうか。

 

 花王さんのヘルシア緑茶などがその典型例

ですね。(Know-Howで守る戦略のほうは

コカ・コーラさんが有名です)

 

 なお、知財戦略は、全体戦略の中の一部

だというのを念頭において、手段が目的に

なってしまわないよう気をつける必要が

あるでしょう。

 

 今回は焼酎メーカーさんを分析して

みましたが、何か、知財戦略の話の

ようになってしまいました。

 

 特許情報分析は、他社の現在の開発

戦略のみならず将来の戦略なども推測

することができますので、積極的に

使っていきましょう。

(冒頭に示したように、非特許文献分析を

併用するのが重要ですね)