知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

終末糖化産物

 なんだか大層な名前ですね。

 

 週末にどうかしちゃうんでしょうか?

 

 この「終末糖化産物」というのが、老化の

原因の一つなんだそうです。

 

 まあ、老化の原因はいろいろあって、この前

書いた、摂取カロリー制限によるダイエットで、

老化に関連する疾患の発病を遅らせて、

寿命を延長させましょうというのもありました。

 


レアなシュガーで寿命を延長!? - 知財アナリストのひとりごと

 

 この「終末糖化産物」についての記事が、

この前、日経新聞に出ていました。

 

 記事で取り上げていた研究者は、久留米

大学の山岸昌一教授というかたで、「老化を

促す物質の働きを抑える技術」を研究して

いるということでした。

 

 この老化を促す物質というのが「終末

糖化産物」というもので、Advanced Glycation

End-products、略してAGEというんだそうです。

 

 うーん、年を取ると老化しますので、年齢の

「age」に引っかけているんでしょうか?

 

 私も年は取りますが、年齢の専門家では

ないので、よくわかりません・・・・・。

 

 このAGEというのは、細胞の老化を促す

ことにより、糖尿病や、がんなどの病気にかか

わってくるのだそうで、記事によると、山岸教授は、

このAGEの働きを抑える技術を開発したとの

ことでした。

 

 このAGEですが、脂分の多い食物を通じて

細胞内に蓄積し、これによりたんぱく質が正常に

働かなくなって細胞を内側から傷つけ、肥満に

なるほど増えやすいんだそうですね。

 

 なんでもかんでも肥満物質さんがやり玉に

挙げられて、肥満物質さん、いじけてしまわない

でしょうか?

 

 戦後は、食べられない時代があったのに

(いかにもという感じで書いていますが、

私もその時代は知りません。 はい)、

肥満物質さんも隔世の感でしょう。

 

 人間(人間だけでなく他の生き物も)は、遠い

昔に飢餓の時代があって、このために、何とか

エネルギー物質を体内にため込むようにプロ

グラミングされているそうですが、まあ、それは

置いておいて。

 

 AGEの働きを抑えるために、これとくっつく

DNAを利用するそうで、これにより、AGEが

脂肪細胞の中にたまりにくくなるそうです。

 

 新聞によると、製薬会社さんなどと組んで

2年以内の臨床試験を開始を目指す予定だ

そうです。

 

 ということで、どんな内容なのか、特許出願を

調べてみましょう。

 

 まず、IPDLで久留米大学の山岸さんを検索

すると、11件の出願がありました。

 

 このうち、AGEに関係あるのは5件で、3件が

AGE吸着剤、2件がAGE検出方法、検出キット

でした。

 

 ということで、どのようにするのかというと、

古いものから、特願2007-537784は、特定の

化学物質、すなわち、特定のメタクリレート系

化合物及びビニル化合物などを利用するもの

がまず一つ。

 

 特願2009-057521は、米糠やその水抽出物を

使用するもの。 これは、体に悪影響はなさそうで

すね。

 

 最後に、特願2012-545791は、一体鎖DNAを

使用するものです。

 

 新聞で言っているのは、きっと最後の出願ですね。

 

 話は違いますが、私は仕事柄、このような情報を

調べるときにはIPDLを使っていますが、もちろん

論文検索のほうが、このような内容はヒットして

きます。

 

 ためしに、タダ(ほど高いものはない? ちょっと

違うような?)で調べられる(お金を払わないと

見ることができないもののほうが多いですが)、

Google Scholarで調べると、山岸先生、「老けたく

なければファーストフードを食べるな」などという

過激な?書籍も出しているんですね。

 

 この書籍の中でもAGEについて言及しており、

「この物質こそが、老化のスピードを決めており、

皮膚にしわがよったり、血管がボロボロになったり、

骨や筋肉が弱くなったり、認知症やがんの発症

にも関係している」とのことです。

 

 て、言われても、アメリカなどに行くと、どうしても

ファーストフード中心にならざるを得ないわけで。

 

 困りましたね。

 

 ということで、元にもどって、特許出願ではどの

ように書かれているかというと、AGEというのは、

グルコースなど還元糖のカルボニル基と、タンパ

ク質のアミノ基との非酵素的な反応によって生じる

高分子物質だそうです。

 

 今までも、生体内でのAGE形成を阻害する物質

など研究されていたようですが、今回の研究は、

食品に含まれており生体内に取り込まれてしまった

AGEに結合させるDNAを見つけるというものです。

 

 一本鎖DNAはどんなものかというと、ここでの

AGE結合アプタマー(炙った?、まー!!では

なくて、特定物質と結合する核酸分子のことです)

塩基配列の好ましいものは50~70塩基で、

この塩基中にシトシンまたはグアニンのいずれか

一方を多く含むのがよいのだそうです。

 

 しとしとピッちゃんの子連れ狼か、グワシ!の

楳図 かずお先生か、どちらかが必要なん

ですね。 ・・・またまた違うって!!

 

 まあ、そうこうすることにより、このDNAが

AGEを吸着してくれ、糖尿病などの予防に

なるとのことでした。

 

 明細書によると、AGEは、糖尿病性血管

障害、心筋梗塞動脈硬化症等の心血管

障害、アルツハイマー病、パーキンソン病

筋萎縮性側索硬化症等の神経変性疾患

アルコール依存症による脳障害及び肝障害

(出た!!)、糖尿病性腎症、糖尿病性網

膜症、糖尿病性神経症等の糖尿病合併症、

骨粗鬆症等の骨代謝異常、老化現象、

インスリン抵抗性、腫瘍の増殖及び転移、

等にも関与しているとのことで、もうやめて

くりぇーというところですね。

 

 さっきの特許文献の2番目では、米糠や

その水抽出物もいいと書かれていましたので、

私は、お米のとぎ汁でも飲むことにいたしま

しょう?

 

 昔は、お乳の出ないお母さんは、お米の

とぎ汁を赤ちゃんに飲ませたという話も

ありますし。