知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

特許分類検索上級編 第2回 公報テキスト検索と特許分類検索

 前回、IPCはおおよそ5年に1度、改版が

されてきた話をしました。

 

 改版がされるとどうなるのでしょう?

 

 おおよそ想像できるのは、前の版で

は存在していたIPC分類がなくなったり、

新しい分類ができたり(こちらのほうが多い

でしょう)するというのは、容易に想像が

できます。

 

 そうすると、新しくできたIPC分類で、

昔の文献を検索できるのでしょうか?

 

 私は、今まで、てきとーに「分類はこれ

これだから、これで分類しよーっと」と書いて

来ましたが、実はこのように考えるのは

間違いなんですね。

(王花陣は、根がてきとーなため、すみません)

 

 私のようなてきとーな方法では、昔の文献

がヒットしないんでしょうか?

 

 弱りましたね。

 

 ということで、まずは、IPDLの検索システムを

調べてみましょう。

 

 IPC分類を使い、IPDLで検索する場合

には、「公報テキスト検索」というのと、

「特許分類検索」という二つの方法があります。

 

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  これらは、それぞれ一長一短があるの

ですが、まずは、IPC分類だけでなく、FI

記号やFタームも組み合わせたりして、分類

記号だけで検索をかける場合には「特許

分類検索」のほうがあっています。

 

 ただし、こちらの検索には、キーワードが

使えないというのが弱点で、まあ、上級者

向けでしょう。

(「オレは上級者だから、こっちを使うんだ」

というかたは、是非どうぞ)

 

 「公報テキスト検索」のほうは、逆にキー

ワードが使えるのですが、IPC分類とFI

記号しか使えず、Fタームでさらに詳細に

絞り込むということができません。

(我々にとっては、キーワードが使えた

ほうが、何かと便利ですよね)

 

 ということで、二つの検索方法がわかり

ましたので、そのほかの違いが何かないか

と探してみると、ありました、ありました。

 

 まずは、「公報テキスト検索」のほうは、

公開公報が、平成5年からしかヒットしま

せんが、「特許分類検索」のほうは、昭和

46年からヒットするんですね。

(そのほかの公報はいつからのものがヒット

するのかは、それぞれの画面の右下に

ある、「検索可能範囲」で調べることが

できます)

 

 さて、それでは、IPCのほうはどうなって

しまうんでしょう? 

 

 はたまた、FI記号やFタームはどうなって

しまうんでしょう?

 

 これを調べるために、まずは、「公報テキスト

検索」のほうの、お助け「ヘルプ」君をクリックして、

「2-1 データベースの概要」というのを

覗いてみましょう。

 

 そうすると、IPC、という説明のところに、

「面倒だから、調べてあげるのは、公開時の

公報に記載されているIPCだけだもんねー。

 

 だけど、古い文献にも、第8版の分類を

付与するようにしてるんで、特別に、古い

文献も、第8版のIPC分類で調べてあげる。

 

 ボクが特別に調べてあげるんだから、

第8版の分類記号なんか表示してあげない

もんねー」

 

 と書かれています。

(そうは書かれていませんが。)

 

 それでは、確かめてみましょう。

 

 いきなりですが、A61Q7/00という、非常に

興味があって、そのうち調べてみよっかなっと

思っている、「発毛促進!!あるいは発毛

抑制をする剤〔8〕」というのがあります。

 

 この一番最後の〔8〕というのは、「IPCの

第8版で初めて作ってみました、です。

はい。」という意味で、実は、A61Q全体が

第8版で作成されたものですので、7版

以前にはありませんでした。

 

 ということで、このA61Q7/00で検索を

かけてみると、たとえば、以下のように、

A61Q7/00でヒットしたので、この分類が

書かれていないとおかしいのですが、

「お助けヘルプ」君が言っていたように、

最初に付与された分類が表示されるだけで、

第8版の分類は表示されません。

 

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 そーだったのかー、テキトーでも

良かったのか―。

秘密のケンミンショーの語り口で

読んでください)

 

 それでは、「特許分類検索」君のほうは

どうでしょう。

 

 どうでしょー。(こちらはモノマネの長嶋さん

の口調で読んでください)

 

 こちらのIPC検索は、「IPC(最新版)」という

のと、「IPC(公報記載)」という2種類で

検索できるんですね。

 

 そーだったのかー。(しつこいですね)

 

 「IPC(最新版)」で検索すると、先ほどと同じ

ように、ヒットした文献は当時のままですので、

同じようにA61Q7/00は表示されていませんが

検索できています。

 

 もうひとつの、「IPC(公報記載)」で検索すると

まったくヒットしてきません。

 

 当然ですよね。

 

 当時の文献の公報に記載されているもの

だけを検索しているんですから。

 

 ということで、私の考えは間違っていましたが、

間違っていても、IPDL君のほうが頭がよいので、

「えーいしょうがない。王花陣は公報テキスト検索

しかできないだろうから、頭の悪い王花陣のために

特別に検索してやるか」ということで、シャッポを

脱いでくれてるんですね。(ちょっと意味が違い

ますね。正しくは、一肌脱ぐです)

 

 尚、ちょっと古いIPCやIPDLの説明では、

「「公報テキスト検索」を使い最新IPC分類で

検索すると、古い公報がまったくヒットしない

という現象も起こる」と書かれているものも

ありますが、きっと、IPDLさんで、最近になって、

「公報テキスト検索」でもヒットさせてくれる

ようにしたのかもしれません。

 

(メンテナンスが追い付かないことは、ある

かもしれませんが)

 

 尚、書きませんでしたが、「公報テキスト検索」と

「特許分類検索」の違いはこのほかにもありますが、

長くなりますので、このへんで。

 

 

2016年6月1日追記:

 IPDLがJ-PlatPatに変わり、上の内容が以下のように

変わっていますので、ご参考。

 

J-PlatPatを使い倒そう その13 特許分類での検索 - 知財アナリストのひとりごと