知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

特許分類検索上級編 第8回  Fタームをさらに詳しく

 前回は、Fターム(File Forming Term)とは、

何だ?という概要を書きましたが、さらに

掘り進めて行きましょう。

 

 Fタームというのは、文献量の増大、技術の

複合化、融合化、製品の多様化に対応して、

特許審査のための先行技術調査(サーチ)の

機械検索用に開発された検索インデックス

であることを前回書きましたが、元々は、検索

システムが構築される前の紙ファイルを利用

していた時代に、ファイルの組替えを行ったり、

公報を複写した上で新たな観点のファイルを

作成したりすることにより、先行技術調査用の

紙資料を維持管理していたんですね。

 

 Fターム検索システムは、この紙ファイルの

限界を打破しようとするもので、Fタームの組み

合わせを変えることで、電子化された仮想

ファイル(スクリーニングすべき文献集合)

を、その都度生成し、組み直すことができる

ようにしたんです。

 

 どういうことかというと、IPCやFIはそれ

単独で検索できるように工夫された技術

分類なのですが、Fタームのほうは、この

Fタームを複数組み合わせて用いることに

よりさらに文献を絞り込んで探し出せるように

工夫されており、多くの場合、複数のFタームの

論理積によって「仮想ファイル」の文献数を

絞り込むことができるようになっているんです。

 

 たとえばの話ですが、種類は、動物なのか、

植物なのか、とか、性別はオスかメスかとか、

住んでいるのは日本かアメリカかとか、という

ように絞り込めるようになっているんです。

(これはあくまで例で、こんなFタームはない

ですが)

 

 これにより、関連する先行技術文献をスクリ

ーニングできる程度の件数(技術分野に応じて

数十件~数百件程度)に絞り込むことを目指し

ているんですよ。

(したがって、掛け合わせる観点数を多くすると、

ほとんどヒットしないということもありますので、

注意が必要ですが)

 

 この前書いたように、区分された各技術範囲を

「テーマ」と呼ぶわけですが、例としては以下の

ようになるんです。

 

FIカバー範囲 :G11C 17/00~17/06,301

区分された「テーマ」、すなわちテーマ名 :

   リードオンリーメモリ

テーマコード :5B125

 

 上のように、テーマ名もあるんですが、

検索の時にはコードを使ったほうがよい

ので、「テーマコード」というのが割り振ら

れています。

 

 それでは、このFタームの標記はどうなって

いるのかを研修テキストから貼り付けて

みましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20150924142911j:plain

 

 上のように、Fタームは、5桁のテーマコード

と、観点すなわち2桁の英字からなるもの、及び、

2桁からなる数字で構成されています。

 

 通常、テーマコードは別途表示されることが

多いため、前5桁の5D044が省略された、

「DD11」を「Fターム」と言うことも多いんです。

 

 ここでの「観点」とは、その下に展開される

複数のFタームを取りまとめる概念で、一般的

な観点の例としては「目的」、「機能」、「構造」、

「材料」、「用途」、「製造方法」等が挙げら

れます。

 

 さらに、一部のテーマについては、下記の

ように、さらに「付加コード」と呼ばれる1文字の

英数字が設定されているものもありますよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20150924142936j:plain

 

 この付加コードというのは、Fタームを補完する

機能を持っていて、付加コードの表記形式は、

Fタームの後ろに点を打って、1文字の英数字を

付加する形式となっています。

 

 これは、 Fタームを展開した観点とは別の技術

観点の情報を付加するものなんですが、独立した

Fタームの「観点」とは異なり、付与された個々の

Fターム毎に情報を関連づけて付加することが

できるようになっており、現在、70テーマ以上で、

この付加コードが採用されているんです。

 

 付加コードの補完機能の具体例としては、

・ 組成物の各成分に対して、成分の化学構造または

  化学的性質によりFタームが付与される場合で、

  各成分が主成分か副成分かを区別する。

  (例:4J002)

 

・ 組成物の各成分に対して、成分の化学構造または

  化学的性質によりFタームが付与される場合で、

  各成分の機能を区別する。(例:4C076)

 

・ 複数の層からなる物品の各層の構成材料に対して、

  構成材料の化学構造または化学的性質により

  Fタームが付与される場合で、各構成材料が

  含まれる層の区別をする。(例:4F100)

 

 などがありますよ。

 

 どのように公報に表示されるかというと、

以下のようになっています。(下は架空の

公開公報で、IPCやFIは架空のもので、

テーマコード3B005のFタームも架空の

ものです)

 

f:id:oukajinsugawa:20150924142959j:plain

 

 Fタームのテーマコードは、どんなものが

あるのかというと、以下のようになっています。

 

 まずは以下のプラピさん(J-PlatPat)に

アクセスします。

 

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat

 

f:id:oukajinsugawa:20150924143042j:plain

 

 上のPMGSをクリックすると以下のように

なりますので、「分類表」をクリックします。

 

f:id:oukajinsugawa:20150924143118j:plain

 

 そうすると、以下のようにテーマコードの

親びん??「テーマグループ」が出て来て、

テーマコードを選択できるようになっています。

 

f:id:oukajinsugawa:20150924143143j:plain

 このへんの使い方は、次回以降に書きま

しょう。

 

 ということで、それではまた。