知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

心外?

 第(3)問です。

 

 大物政治家のBさんは、ピーナツを受け取った

容疑で捕まっちゃったようです。

 

 ピーナツではなく、賄賂ですが。

 

 大変なことになってしまいましたね。

 

 (問題文の中でですが)

 

 ここで、さらに出てきたのが、世相を鋭く批判する

Gさんですね。

 

 ここで皆さん、今まさに雪山をタイヤが転げ落ちる

寸前のパロディ事件、マッド・アマノさんを思い

浮かべるわけです。

 

 マッド・アマノさん、有名でしたけれども最近あまり

聞かないですが、まだご健在のようです。

 

 ここで、パロディ事件を知らない方のために、

簡単に説明すると、アルプスを滑降するスキーヤー

写真をもとにして、上記のようなパロディ写真を

発表したわけです。

 

 (このパロディー写真を載っけたいところですが、

著作権侵害で訴えられたりして洒落になりません

ので、写真のほうは皆さん、調べてみてください)

 

 そこで、著作権侵害だーと訴えられた事件は、

その道の著作権判例百選というのにも掲載されて

います。(百選といいますが、百以上の判例

載っているのはなぜなのか? ・・・謎ですね。)

 

 この事件は、最高裁まで争われた事件なので、

ヤホーで「パロディー事件」と打ち込むと多数の

解説が出てきます。

 

 ということで、話を問題文に戻して、何を聞かれて

いるかというと、「アーティストG」の行為は、

「誰の」、「いかなる著作権法上の権利を侵害

するか」というものです。

 

 そこで、「誰の」から行きましょう。

 

 共同著作は前回説明しましたので、今回は

省きます。

 

 まず、雑誌の写真は「A社」に依頼されたフリー

ランスのカメラマンDによって撮影されています。

 

 「フリーランスの」というところが味噌ですね。

 

 まあ、ここは、法人著作との関係で、突っ込めば

突っ込むほど突っ込みどころが満載で面白いの

ですが、あらかじめ最初の契約で、著作権全体を

A社に譲り渡すような契約をしていたりすれば、

フリーランス」とわざわざ断っていても、

狭義の著作権はA社になりますので、ここは、

さらっと、「検討しましたよ」、とでも書いて

おけばよいでしょう。

 

 次は、著作権の「束」のうち、どれを侵害

しているのかという問題です。

 

 まあ、コピーをしたのは確かでしょうが、訴訟の場で

コピーだコピーだと言い張ったとしても、「似てない

もんねー」などと言われると結構めんどいですね。

 

 ということで、これよりも効果がある言い方は

ほかにないでしょうか?

 

 という前に、アーティストGさんは何でこんな

作品を作り上げたのでしょう。

 

 文章を読むと、政治の腐敗を風刺する目的で

写真を加工して、扇子を紙幣に置き換え、紙幣の

紙吹雪が舞うモチーフに変更したようです。

 

 ということは、Gさんは、写真をコピーしたのは

認めていますが、これは芸術であって写真とは

別個の思想、感情を表現するあらたな著作物

なのだから、ただの引用であって、文句を言わ

れる筋合いはない、と裁判所でいうかもしれま

せん。(その場合には、引用した原著作者の

名前を記載しておく必要がありますが)

 

 さらには、ピーナツもらって(賄賂ですが)、

捕まったのを前の写真をちょっと変えて風刺的に

表現しただけで、これは芸術なんだから、そんな

権利の侵害なんて、それこそ「心外」だとも

文句をいうかもしれません。

 

 しかーし、そうは言っても限度があるよねーと

いうことで、おふくろさん騒動と同様に、著作者

人格権の同一性保持権というのに引っかかる

よね、というのと、変更するんだったら27条と

いうところに書かれている、カメラマンDさんに

断ってないよね、と裁判所で怒られてしまうで

しょう。 

 

 ということで、皆さんも(私もですが)、

パロディーを作るときには気をつけましょう、

 

 他人の写真を使ってわざわざパロディーを

作るんでなく、自分の写真を使ったほうが

良いですね。

 

 まあ、問題文の解答としては、「上記のような

理由で、上記の権利を侵害してんでないかい?」

と書いておけば良いですね。

 

 ということで、問題が面白かったので、取り上げて

みました。

 

 突然話は変わりますが、夏休みですね。

 

 私も、しばらくブログを夏休みに致しましょう。

 

 それでは、また。