知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知財戦略中級編  オゾン層減少!!

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 前回の続きです。

 

 ②番目は、現実に実施することができないことが

あきらかなものはNGとなっています。

 

 審査基準の説明では、「理論的にはその発明を

実施することは可能であっても、その実施が実際上

考えられない場合」は、ダメなんだそうです。

 

 例として、オゾン層の減少に伴う紫外線の増加を

防ぐために、地球表面全体を紫外線吸収プラスチック

フィルムで覆う方法が取り上げられています。

 

 これら、取り上げられている例は、かつて出願されて

拒絶されたものなどが例として取り上げられているの

ですが、この例は私が弁理士受験生時代にも

取り上げられていましたので、かなり古いですね。

 

 別に実施ができないんだったら、誰も実施できないん

だから、別に登録しても実害はないじゃん??とも

思えるのですが、まあ産業に寄与しないからねーと

いうところでしょうか。

 

 ③番めは、個人的にのみ実施され、市販などの

可能性がないものと書かれています。

 

 審査基準のほうでは、「その発明が業として利用

できない発明」と書かれており、②番目と③番めの

順番が入れ替わっています。

 

 まあ、特許法の目的は産業を発達させることです

ので、産「業」として利用できないような煙草の吸い方

とか、学校だけで利用されるようなものは、特許には

しないほうがよいでしょうということです。

 

 ただし、学校などで実験に使われる道具などは、

それを作ったり売ったり産業で役立ちますので、

こちらは特許化は可能です。

 

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 次が、特許法では世間でよく知られている、発明は

新しくないとダメだよ~~んという新規性です。

 

 まず1番目ですが、新しいというのは、他の人に

知られていちゃダメということです。

 

(もっといろいろ要件がありますが、大雑把にいうと

こんなもんです)

 

 じゃあ誰に知られたらだめなんだということになり

ますね。

 

 赤ちゃんに発明を見せたら、知られたことになる

のか?ですが、赤ちゃんが見てもバブバブいうだけ

で、そんなのわかりっこないですよね。

 

 ということで、技術的に理解できるような他人に

見せたりして現実に知られてしまったら新規性は

なくなってしまうので、気をつけましょう。

(現実に知られたということで、公知と言います)

 

 2番目は公然実施された発明はだめ!というもの

です。(公用と呼ばれます)

 

 こちらのほうは、実際知られなくても、知られ得る

状態で、展示など(実施の一つです)をしたらダメー

となってしまいます。

 

 つまりは、展示会をやりますよーなどと宣伝して、

実際に展示会に誰も来なかったとしても、こちらは

NGになってしまいます。

 

(これを説明するためには、いろいろあるのですが、

長々と説明する必要があるので、手短かにする

ためにかなりはしょっています。

 

 これだけでは公知と公用で何が違うんだと疑問に

思う方もおいでかと思いますが、中級編ではここで

留めておきます)

 

 三番めは、WEBなどで公開してしまった場合で、

こちらのほうはご存じでしょう。

(ただし、いろいろ論点はあります)

 

 この3つを説明するためにはいろいろあるの

ですが、かなり省略しました。

 

 実際に、新規性が失われてしまったのかどうかと

いうのは、一般の人には判断が困難なので、近くの

知財関係者に相談したほうがよいでしょう。

 

 そのほかに、特許が認められる要件には、進歩性や、

記載の仕方などいろいろありますので、以下、次回へ。