知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

エバートロンさんちのDr.Fry

 昨日、テレビでがっちりマンデーを見ていま

したら、最新型フライヤー(揚げ物)の「Dr.Fry」

というのを取り上げていました。

 

 油に沈めた2枚の金属パネル(板)が1秒

間に5万回も振動しすることにより、てんぷらが

劇的においしく揚がるんだ、と言っていました。

 

 てんぷらの難しい部分は、上げるタイミング

だそうで、揚げ過ぎると衣がべちゃべちゃとなり、

油から出すタイミングが重要なんだそうで。

(横で見ていた料理のプロ(奥方様のことです

が)に、そんなの常識だし、揚げる温度も重要

だ、と蘊蓄を聞かされてしまいました、です、

はい。)

 

 揚げ過ぎると、食材の水分が衣の中にあふれ

出て、高温ではじけ、衣が破け、衣の穴から

油がしみこむことにより、おいしくなくなるんだ

そうですね。

 

 これが、Dr.Fryを使うと、振動により水分が

小さな粒にばらけ、水分の粒が小さいので、衣に

大きな穴が開かないんだそうです。

 

 このため、多少揚げ過ぎても油でべとべとに

ならず、サクサクのてんぷらが出来上がるそう

です。

 

 したがって、普通のてんぷらやさんでは、

いろいろな食材を一緒に揚げると味が移って

しまい、一緒に揚げることがことができない

のですが、Dr.Fryを使うと、食材を一緒に

揚げることができる、と言っていました。

 

 どんなメーカーがこのDr.Fryを作っている

のか、機械に、製造「株式会社エバートロン」

と書いてありましたので調べると、以下の

ようになっていました。

 

http://evertron.jp/aboutus/

 

 知財関係がいろいろ書かれていますが、

ここに書かれていない直近のものを調べて

みると以下のようになるんです。

 

・ 特開2016-129672

 「フライヤー、加熱調理方法」

 

【課題】

 所定の範囲の周波数の電磁波が発生して

いる空間内で食物の加熱調理を行うことに

より、調理された食物の食味が非常に優れる

フライヤーを提供することを課題とする。

 

【解決手段】

 食用油をためて食物を加熱調理するための

貯油槽(0101)と、貯油槽に対向して立設され

る対向平板アンテナ(0102)と、対向平板

アンテナ間に10キロヘルツから150キロヘルツ

の周波数の電磁波を発生させるために対向

平板アンテナを駆動する駆動部(0103)と、

貯油槽にためられた食用油を摂氏120度から

摂氏200度に加熱して食物を調理するための

加熱部(0104)と、を有するフライヤーを提案

する。

 

 テレビでは、1秒間に5万回、すなわち

50KHzと言っていましたが、こちらには10KHz

から150KHzと書かれていますね。

 

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・ 特開2017-012684「フライヤー」

【課題】

 電場形成空間内で材料を調理するための

フライヤーにおいて、導入が容易であり、

作業性の良いフライヤーを提供することを

課題とする。

 

【解決手段】

 金属材料板で少なくとも一部の内側面が

構成される貯油槽を含む貯油槽部と、金属性の

網でできた貯油槽に浸漬離脱自在なかごと、

からなるフライヤーであって、貯油槽部には、

貯油槽にかごを前記内側面と通電すること

なく配置するための貯油槽側固定部と、貯油槽

部の作業側面に対面する側の貯油槽上部に

配置される通電電極であって、貯油槽に配置

されるかごに交流を通電するための前記内

側面と絶縁された通電電極を備えた通電部と、

を設け、かごには、貯油槽側固定部と相まっ

てかごを貯油槽に前記内側面と通電させる

ことなく配置するためのかご側固定部と、

通電電極から受電してかごを構成する金属

性の網に通電するための受電部と、を設け

たフライヤーなどを提供する。

 

・ HPに書かれているものです。

特開2015-027443「フライヤー用電波

発生装置、及びフライヤー用電波発生

装置を用いた食材の調理方法」

 

【課題】

 油槽内で電波を発生させるフライヤー

用電波発生装置、及び当該装置を用い

た調理方法において、食材に電波を照射

して、揚げ物の食味をより良いものとする

と同時に、油の酸化・劣化をより効果的に

抑制する。

 

【解決手段】

 油槽内に収容された食材を揚げ調理する

フライヤーに設置されるフライヤー用電波

発生装置2は、間隙を隔てて配置される

一対の薄板電極21、22と、薄板電極21に

高周波電流を流す発振器と、を有し、一対の

薄板電極21、22は、フライヤー1の油槽

11内に、油槽と電気的に絶縁して設置され、

薄板電極22はアースに接続されている。

発振器から薄板電極21に高周波電流が

流されると、一対の薄板電極21、22間に

振動電流が惹起されて電波が発生し、

当該電波が照射された状態で油槽内の

食材が調理される。

 

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 テレビでは、てんぷらのおいしさに焦点を

当てていましたが、油の酸化・劣化防止も、

開発目的なんですね。

 

 エバートロンさんでは、この電波発生装置を

応用して、フライヤーだけでなく、以下のように、

食材等の鮮度保持、旨み増進装置も、開発

しているようですよ。

 

・ 特開2016-112205「電波発生装置」

 

【課題】

 食材等を所定の収容物内に収容した状態に

おいて、その鮮度を保持するのに好適な装置を

提供する。

 

 

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