知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

エスマスルの人工筋肉って、どんな特許なんですか?

 はい、お答え致しましょう。

 

 てなわけで、いつもの、お答えしま

しょうシリーズなわけでして。

 

 今年4月に設立された、東工大と岡山大の

ベンチャー「エスマスル」さんが、人工筋肉を

発売するという記事が出ています。

 

http://univ-journal.jp/7309/

 

 この人工筋肉、細くてしなやかなため、

介護用のアシストスーツなどに使え、

着心地の良いスーツ型やヒューマノイド

ロボットなどへの応用が期待されるんだ

そうですね。

 

 販売する人工きんに君??は、ゴム製の

管の周りに繊維を編んだ構造になっており、

管に空気を送ったり抜いたりして伸縮させる

そうですよ。

 

 複数の管を束ねることにより、用途に合わ

せた人工筋肉にできるそうで。

 

 ということで、早速、どんな特許なのか

見てみましょう。

 

 調べると、まだ特許にはなっていなくて、

出願段階なんですね。

 

 出願が2014年10月、出願公開が2016年

5月16日と、ほやほやで、特開2016-080114

「複合流体圧アクチュエータ」、出願人は、

東工大と岡山大、発明者は、東工大の鈴森先生、

車谷先生、岡山大の脇元先生となっています。

 

 要約は以下のようになっています。

 

【課題】

柔軟性や形状の自由度も高く、流体を斑なく

各マッキベン人工筋に送気可能で、さらに

端部を強固に固定しつつ開放端が詰まる

こともない複合流体圧アクチュエータを提供

する。

 

【解決手段】

流体圧により伸縮する流体圧アクチュエータを

複数結合する複合流体圧アクチュエータは、

複数のマッキベン人工筋10と、ドーム状開放

端部材20と、閉端部材30とからなる。

複数のマッキベン人工筋10は、中空の筒状に

形成される弾性体からなる弾性チューブ12と、

糸状体を前記弾性チューブの外壁の上に移動

自在に縒り合わて袋編みしてなる編組チューブ

13とからなる。ドーム状開放端部材20は、複数の

マッキベン人工筋10の開放端15を密閉する

ように覆い、送気口21を有する。閉端部材30は、

複数のマッキベン人工筋10の閉端16を覆う。

 

f:id:oukajinsugawa:20160526145434j:plain

 

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 特許請求の範囲の請求項1は以下のように

なっています。

【請求項1】

  流体圧により伸縮する流体圧アクチュエータを

複数結合する複合流体圧アクチュエータであって、

該複合流体圧アクチュエータは、

  中空の筒状に形成される弾性体からなる弾性

チューブと、糸状体を前記弾性チューブの外壁の

上に移動自在に縒り合わて袋編みしてなる編組

チューブと、からなる複数のマッキベン人工筋と、

  前記複数のマッキベン人工筋の開放端を密閉

するように覆い、送気口を有するドーム状開放端

部材と、

  前記複数のマッキベン人工筋の閉端を覆う

閉端部材と、

  を具備することを特徴とする複合流体圧

アクチュエータ。

 

 ウィキによると、McKibben(マッキベン)型

人工筋肉というのは、1961年にJoseph McKibbenに

より開発された、ゴムチューブの周りをナイロン

繊維で覆った形状で、圧縮空気を内部に加える

ことで伸縮させる空気圧人工筋肉だそうですよ。