知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

五庁統計報告書2013年版

 五庁統計報告書というのが発表

されています。

 

 日米欧中韓の特許五庁が持ち回りで作成

しているとのことで、今回はEPO(欧州

特許庁)が作成しています。

 

 URLは以下となり(英語です)、日本の

特許庁の説明も以下にありますが、見るのが

面倒でしょうから、また私のほうで見繕って

書いてみましょう。

 

http://www.fiveipoffices.org/statistics/statisticsreports/2013edition.html

 

http://www.jpo.go.jp/torikumi/kokusai/kokusai2/ip5_statistics-report2013.htm

 

 2012年末時点での全世界での、権利が

存続している特許登録件数は約850万件で、

90%が五大特許庁に属しています。

(以下のグラフは、すべて上記レポートから

貼り付けたものです)

 

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 もっとも多いのはUSで、次がEU、日本は

今までの余力で3番目となっています。

 

 この項でのEPOでのハイライトとしては、

この前書いたEUとUSで共通に使用される

特許分類(CPC)が、動き出したことが

書かれています。

 


特許情報分析ゴルフ用具編 ゴルフ用具ではないですが - 知財アナリストのひとりごと

 

 このCPC分類は、今後、中国、韓国、

ロシア、ブラジルなどを含む15か国で

使われる予定となっています。

 

 この前取り上げたUPCなども書かれて

おり、UPCの批准に動き出しています。

 


知財戦略実践編 EPO EPC EUUP UPC - 知財アナリストのひとりごと

 

 ちなみにEPOへの2013年特許出願

EPOへの直接出願+PCT経由)は、

約27万件で2.8%の伸び、EPO国内

段階に入っているものが約15万件

となっています。

 

 我々は日本の特許庁が気になるので

この情報を見てみると、 日本の出願数の

ほうは、今まで何度も書いているように、

2013年は328,436件で、前年比ー4.2%と

じり貧傾向は否めません。

(その代り、海外への出願(PCT)は4.6%

の伸びです)

 

 2013年での日本の審査官は1211人で、

期限付審査官が490人、計1701人となって

おり、2004年に比べ、ファーストアクション

期間(審査請求から何らかの特許庁からの

応答が来る期間)は11か月となっています。

 

 そのほかの意匠審査官は、51人(少ない

んですね)、商標審査官は146人、審判官は

387人だそうです。

 

 審査期間の短縮のために、先行文献調査を

外部委託するようになっており、94%が

外部委託となっています。

 

 それでは中国がどうなっているのかですが、

2013年出願件数は825,136件(日本の

約2.5倍!!)で、26.4%増と毎年毎年大幅な

伸びとなっており、非常に脅威です。

(実用新案のほうの件数もべらぼうな

数なので、中国の文献を調べるときには、

実用新案の調査も必要でしょう)

 

 こちらのほうの特許審査官は2010人、

実用新案+意匠審査官は251人で、

出願数から見ると両方とも日本に比べ

かなり少なく、「???」という感じです。

 

 ちなみに日本の特許庁では毎月、

出願等の統計データを出していますが、

中国でも出しており、以下のURLで

最新状況を見ることができます。

 

http://www.sipo.gov.cn/tjxx/

 

 次は、ワールドワイドでどのような出願

受理形態となっているかを見てみると、直接

特許庁に出願するのが多いとしても、

そのほかにEPOなどへの広域出願と

PCT出願があるのがわかります。

 

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 次に、どこの国の人間が出願しているの

かの上記の内訳ですが、以下のように、

中国が多いとしても、日本は結構健闘して

おり、日本は海外への出願に力を入れて

いるのがわかります。

(先ほどの中国の出願数は2013年でしたが、

下記は2012年までですので、中国人の出願

数は先ほどより少ないです)

 

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(上記は出願受理件数ですが、出願

件数という切り口でも分析されています)

 

 そのほかにも、パテントファミリーがどう

なっているのかとか、いろいろ載っていま

すので、興味がある方は原文レポートの

ほうを覗いて見てください。