知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

湯たんぽで世界進出!!

 本日は、湯たんぽの話です。

 

 最近、湯たんぽが見直されているそうですね。

 

 エコなんだそうです。

 

 湯たんぽというと、昔の亀の子のような

形の金属でできたものとか、オレンジ色をした

プラスチック?のような素材でできたものとか

が思い出されます。

 

 家人も湯たんぽを使っていますが、足とかが

冷え性の人には気持ちいいんだそうです。

 

 残念ながら、私は暑がりで、冬でも足を布団の

外に出して冷やさないとダメぐらいなので、

湯たんぽは使ったことがありません。

 

 ということで、湯たんぽメーカーさんで、

ヘルメット潜水株式会社さんというところが

あります。

 

http://www.cloz.co.jp/

 

 名前がすごいですよね。

 

 ヘルメット潜水・・・。

 

 ヘルメットをかぶって潜水するような仕事が

ありますが、その仕事やダイビング用に、

ウエットスーツを作っているメーカーさんです。

 

 ここが、何で湯たんぽなんだ?というところ

ですが、ウエットスーツに使われるクロロプレン

ゴムは中に気泡が含まれており、保温性が抜群

なんだそうです。

 

 普通の金属やプラスチックなどと違い、表面を

布で覆う必要もなく手軽ですね。

 

 したがって、この生地を使った湯たんぽを

2007年から販売開始し、販売開始から

約6万個を販売し、 売り上げが6億3千万円

以上となっているそうです。

がっちりマンデーの受け売りです)

 

 ウエットスーツを縫う技術は、中に水が入ら

ないよう縫う手作業が必要で、この技術を生かし

湯たんぽを作製しています。

 

 水が漏れないように生地の表面だけをしっかり

縫い上げるというのは難しいそうで、機械でも

できそうですが、コストパフォーマンスを考えると

手作業でないとダメなんだそうです。

 

 ホームページにあるように、肩用タイプ、湯たんぽ

タイプ、座布団タイプ、ブーツタイプなど、冷え性

悩む女性には大人気で生産が追い付かないとの

ことでした。

 

 夏用ひんやりシリーズもあるようで、うちも犬を

飼っているので犬用タイプが欲しいなと思ったの

ですが、生産が追い付かないとのことですので、

残念です。

 

 それでは、このメーカーさんも特許出願をしているのか

見てみましょう。

 

 IPDLで見てみると、ありました、ありました。

 

 1件だけ出ていて、特開2008-279246で、登録は

特許4898730(平24.1.6)となっていました。

 

 名前は温水式保温具で以下のようになります。

 

f:id:oukajinsugawa:20140720132705j:plain

 

 ここで、注目していただきたいのは、下のほうに

ある、【基礎とした実用新案登録】というものです。

 

 そーなんです。

 

 この出願は、最初に実用新案登録出願をおこない、

その後登録されてから、特許出願をしたものなんです。

 

 そんなことができるのか?

 

 そーなんです。 そんなことができるんです。

 

 これは、「実用新案登録に基づく特許出願」というの

ですが、平成16年の法律改正で制定された比較的

新しいものです。

 

 これが制定された理由はいろいろあるのですが、

長くなるので割愛して、まあ一言でいえば、

最初簡便な方法で考案を出願して、その後、

「いや待てよ、堅固な権利がやっぱり必要だよな」

と、心変わり?したときに、「じゃー、特許で

出願するのを許してやろう」という制度です。

 

 実用新案登録に基づいて特許出願するには、

いろいろご要件があり、さらに特許出願後は、

通常の特許出願と同じように審査がありますので、

すべてが登録されるわけでもありません。

 

 長くなるので詳細説明は省きますが、とにかく、

ヘルメット潜水株式会社さんは、湯たんぽで海外

進出も考えているそうです。

 

 製縫での技術にノウハウがあるとのことですから、

マネされないようにして、是非頑張って欲しい

ものです。