知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

世界全体での特許出願数は?

   本日は料金の解説の予定でしたが、

WIPOから新しい発表がありましたので、

そちらの話をします。

 

 WIPOWorld Intellectual Property

Organization世界知的所有権機関

知的財産権に関する国際機関)から

世界全体での最新(2012年)の出願

状況、登録状況が発表されています。

 

 発表は、Patents(特許)、Utility Models
(実用新案)、Trademarks(商標)、

Industry Designs(意匠)について発表

されていますが、今回は特許関係に

ついて概要をお知らせしようと思います。

 

 特許庁は、SIPO(中国)、USPTO

(米国)、JPO(日本)、KIPO(韓国)、

EPOEU)が5大特許庁と呼ばれており、

これらの特許庁に出願された比率を円

グラフにしてみると、以下のように

なります。

 

 「+」で書かれている数字は、前年

からの増減率です。

 

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 このグラフを見ると中国の締める

割合も大きいですが、伸び率が日本の

比ではありません。

 

 日本は景気が悪いということも

ありますが、海外での製造販売比率が

大きくなっているため、海外に特許

出願をシフトしており(悪いことでは

ありませんが)、国内での出願は

頭打ちになっています。

 

 今のままではかなりの技術が韓国に

抜かれただけでなく、そのうち中国に

抜かれる可能性があります。

 

 そうすると、ますます売れ行きが

悪い⇒知的財産への投資が少なくなる

⇒特許出願数の減少⇒海外メーカー

との競争力低下、というネガティブ

スパイラルに陥る可能性があります。

 

 どのような技術で知財戦略を練って

いくかというのがますます重要になって

来るでしょう。

 

 次に、企業ごとのPCT出願数(国際

出願という制度があり、外国に出願する

際に使われます)を見てみます。

 

 これはそのまま発表資料から切り貼り

しています。

 

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 日本の大企業はまだまだ頑張って

います。

 

 しかし、中国企業がすごい勢いで

出願をおこなっています。

 

 ただ出せばよいというものでもない

ですが、やはり中国の大企業が出願

していますので脅威です。

 

 それでは、伸びている技術分野は

どのようなものでしょう。

 

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 こちらも、そのまま発表資料から

貼り付けました。

 

 スマホタブレットなどが伸びて

いますので、この分野は伸びが大きい

ものがあります。

 

 自動車は伸びが少ないですが、日本

にはトヨタ等の強い企業がありますので、

日本が健闘しています。

 

 尚、WIPOからは2013年のブランド調査

されていますのでこちらも見てみましょう。

 

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 直接貼り付けたので見にくいのは

我慢していただいて、トップ10を見ると、

Samsungが入っているのは非常に脅威

です。 (しかもトヨタより上です)

 

 尚、BrandZというのは直接のカス

タマーインタビュー調査によるもので、

Interbrandというのはエキスパート

パネルによるデスクトップ調査、

Brand Financeというのはこの二つの

調査の混合によるものです。

 

 ということで、今日は、WIPOからの

最新データが示されていましたので、

こちらを取り上げてみました。

 

 次回は、料金の話に戻ります。