知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析編1 登録率を見てみよう!

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 今回は、特許登録について見て行き

ます。

 

 日本での特許出願は特許庁におこない

ます。

 

 出願しただけでは登録されませんし、

審査によっては特許登録できないことも

あります。(拒絶査定といいます)

 

 また審査をしてもらうためにはお金を

払って審査請求をする必要があります。

 

 審査請求料は非常に高いです。

1件につき118千円+(請求項数X

4千円))

 

 特許出願料は15千円です。 

 

 個人の方や、中小企業、研究開発型

中小企業の方は審査請求料・特許料金の

減免が受けられることがあります。

 

 尚、中小企業が国内で特許を取る際の

手数料や、海外での出願手数料を、

2014年度からさらに引き下げるという

発表がつい最近ありました。

 

 このように高い手数料を払って特許

出願をおこなっていますので、審査請求を

したものは、是非とも特許登録して欲しい

ものです。

 

 それでは、ハードロック工業では

特許出願したうち、どの程度審査請求を

して、どの程度登録されたのでしょう。

 

 特許庁から発行されている特許行政

年次報告書2013年版によると、2012年の

審査請求したうちの登録される割合は66.8%

でした。 

 

 お金がもったいないですので、昨今は

登録率を上げるために、特許出願前に

先行文献調査(公開された特許出願文献

などを調査し、自分の出願が登録される

可能性があるかを調べること)をおこなう

ようになって来ましたので、登録率は

20007年に48.9%と半分以下だったものが

現在は上昇しています。

 

 1985年からのデータを調査しています

ので、平均登録率44%というのは極端に

登録率が低いというわけではありません。

 

 しかし、直近のデータを見てもあまり

変わらない数字となっていましたので、

登録率を上げる出願戦略が必要でしょう。 

 

 登録されるかどうかは、業種の違い、

明細書の記載方法、どの程度の権利範囲の

広さで登録を求めるかなどで変わって

きますが、汎用的な「ねじ」という製品の

場合、かなりの新しさ(新規性)、

今までのものとのかなりの違い(進歩性)が

求められると思いますので、特許事務所と

出願戦略をよくすり合わせる必要がある

でしょう。

 

 尚、出願をしたものの、審査請求を

しなかったもの(未審査請求)が全体の

22%ですが、防衛のための出願(特許権

いらないが、競合企業に権利を取られると

困るので、先に出願をして公知(新規性の

ないものは登録されません)にしておく

もの)と、状況が変わり審査請求を

しなかったものが考えられますので、

多いか少ないかは一概に言えません。

 

 今回は登録率を見てみました。

 

 次回は、発明の内容に迫ります。