知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析編1 ハードロック工業

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 今回から少数精鋭企業を見て行く

ことにします。

 

 まず第9位であるハードロック工業

さんを見てみましょう。

 

 この企業は、緩まないねじとして、

海外にも名を轟かせている有名な企業

です。

 

 マスコミにも度々取り上げられて

いますので、皆様も聞いたことがある

のではないかと思います。

 

  ちなみに、一昨日、金曜日に名古屋に

行った話をしましたが、名古屋東海支部に

おいてあるパンフレットを見ていましたら、

技術・ノウハウとしてのハードロック工業

さんのハードロックナットや、防菌防臭

ソックスである「通勤快足」というマーク・

ネーミングを取り上げたパンフレットが

おいてありました。 

 

 昨日書きましたが、とにかく知財戦略で

重要なのは、技術・ノウハウ、マーク・

ネーミング、デザインなどを駆使して

(これだけでないのは強調しておきます)、

大企業に負けない戦略を立てることが重要だと

いうことです。 

 

 脱線しましたが、まずは、出願人を

ハードロック工業としてハードロック

工業さんのすべての出願を検索してみま

しょう。 

 

 私のデータベースでは、1985年から

しかヒットしませんでした。

 

 データベースにより異なりますが、

ものすごい古いデータはヒットしません。

 

 古いデータを調べるのには、一般的に、

特許出願番号や、登録番号がわからないと

検索できません。

(IPDLの分類検索では、うまくFIやFタームを

指定できれば、明治時代のものでもヒット

させることができます)

 

 

 それでは年ごとの特許出願マップを見て

みましょう。

 

 検索したところ、特許出願だけでなく

実用新案登録出願もありましたので、

図に示しました。

 

 以前に記載しましたが、このグラフは

時系列でどの程度の量の出願があるかを

見るグラフで「出願人特許出願時系列

マップ」といいます。

 

 出願は1985年から示していますが、

1988年から1995年まで出願が途絶えて

おり、1996年からまた出願を開始して

います。 

 

これはなぜなのでしょう?

 

 まず仮説を立てて検証していく

ことになりますが、予想できることは

最初の特許権の存続期間と関係ある

のではないかということです。

 

 これは特許出願以外の情報からも

集めることは可能で、ホームページ等を

見てみることにしましょう。

 

 ハードロック工業代表取締役社長

である若林克彦氏が興した会社です。

 

 それ以前には、富士精密製作所

(現株式会社富士精密)を経営して

いましたが、1973年から1974年に

かけての新たなハードロックナット

開発により、ハードロック工業

創立しています。

 

 この特許出願時期から考えると

1996年というのは最初の特許登録が

切れている時期であり、再度特許

ポートフォリオを固め始めたと

言えるのではないかと思います。

(当時の特許権の存続期間の計算は

現在と異なりますが、複雑になるので

説明は割愛します)

 

 ポートフォリオという英語は、

紙ばさみとか作品集という意味ですが、

特許ポートフォリオとは、転じて、

ひとつの特許だけでなく特許のかたまり、

特許群を意味します。

 

 尚、出願は2009年で途絶えており、

出願から公開までのタイムラグ(出願

から1年半公開されない)も考慮すると、

2012年の初めまで出願がないのは、

一時的に特許ポートフォリオ群の構築が

済んだのか、次の構想を練っているのか

どちらかだと思います。

 

 ということで、次回は、ハードロック

工業さんの研究開発体制を見て行きま

しょう。