知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ロボスコップ

 「おいおい、最初から間違ってんじゃ

ねーの?」というところですが、間違って

ないんですよ。

 

 「ロボスコップ」なんです。

 

 ロボスコップって何だ?というところなの

ですが、読んで字のごとく、以下のように、

無線で動くロボットのスコップなんです。

 

http://www.unicarriers.co.jp/products/pdf/Robo_spec.pdf

 

 リモコン操作機は、金田正太郎君が

操っていた鉄人28号の小型操縦器に似て

いますね。

(正太郎君が操っていたリモコンは鉄で

できたもっと無骨な感じだったような気が

しますので、時代を経てスマートなものに

なりました)

 

 どこの製品なんだというのを見てみると、

日産フォークリフトとTCMが合体??した

ユニキャリアというところの製品なんです。

 

 ユニキャリアさんは、以下のように、今

はやりの持ち株会社となっています。

 

http://www.unicarriers.co.jp/company/history/

 

 このロボスコップ、どんなところで使うんだ?

ということなのですが、製鉄所などの鉱石運搬

用ベルトコンベアなどは、コンベアから鉱石

などが落ちてしまうわけですが、この落ちた

鉱石は取り除く必要があるわけです。

 

 作業には、ブルドーザやらパワーショベル

やらスキッドローダやらの重機や、これを

改造した重機が使われるわけですが、

これらの重機が入れないような低い場所も

あるわけです。

 

 このような低い場所には、人間が入って

スコップと一輪車を使って、明治時代や

江戸時代のように、人出で取り除く必要が

あるわけですが、これはいわゆる3K職場

なわけでして。

 

 ということで、これらの人間に変わって

無線で操縦されて作業をおこなってくれる

ロボットが、ロボスコップなんです。

(正式名称は「ロボ・スコップ」だそうで、

調べると、商標登録はされていませんでした)

 

 じゃあ、このロボスコップってユニキャリア

さんか、その前身の日産さん、TCMさんが

発明したのか?というところなのですが、

発明したのは、ちょっと違って、東洋運搬機

株式会社の社員さんなんです。

(といっても、TCMさんの昔の名前が東洋

運搬機株式会社なわけでして)

 

 ということなので、東洋運搬機→TCM→

ユニキャリアということで、ユニキャリア

さんが製造・販売・レンタルをしているん

です。

 

 それでは、どんな特許なのか、調べてみま

しょう。

 

 出願は平成6年9月26日、特開平8-

92992「超低床ローダ」という名前で、特許

登録が2681142号となっています。

 

 出願は、以下の山九(さんきゅうと読みます)

さんとの共願です。

 

http://www.sankyu.co.jp/

 

 開発経緯は山九技報などにも出てきますよ。

 

 代表図や、要約は以下のようになっています。

 

f:id:oukajinsugawa:20150607103156j:plain

 

【目的】 製鉄所の鉱石運搬用ベルトコンベア

から落ちた鉱石を取り除く作業等を安全に且つ

効率良く行なう。

【構成】 車体2、走行体3、回転駆動装置4、

作業装置5、無線制御装置6とで構成し、

とりわけ車体2と走行体3と作業装置5とを

略同高にして全高Hを充分低くすると共に、

回転駆動装置4と作業装置5とを無線制御

装置6に依り無線制御する。

 

 ということで、平成6年9月26日出願

でしたので、無事に、昨年の平成26年に

権利は満了しています。

 

 それでは、今後は同じような競合機械が

他のメーカーから出て来るのか?ということ

なのですが、この特許での被引用回数を

調べると、1件だけでしたので、きっと、

特殊な機械ということと、新しく開発する

のには開発費用がかかり、投資対効果(ROI:

Return of Investmentですね)がべらぼうに

悪いので、今後も競合「ロボスコップ」は

出て来ないのかも?しれません。