知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

特許分類検索上級編 第7回  Fタームその1

 今回からは、いよいよFタームです。

 

 使用するのは、今まで使っていた

「調査業務実施者育成研修テキスト」で、

前回までは平成26年版でしたが、今回

からは平成27年度版です。

(といっても、平成26年度版とあまり

変わりませんが)

 

http://www.inpit.go.jp/content/100640809.pdf

 

 まずは、Fタームって何だ?ということ

ですが、Fタームは「File Forming Term」

の略で、前回説明したFI(File Index)は

IPCをベースに、IPCを補完する形で

作られていましたが、Fタームのほうは、

このFIを所定技術分野毎に分けて、

その分けたものを、種々の技術観点から

さらに細区分したものなんです。

 

 と言っても、なんかわかったような?

わからないような?気がしますので、

INPITのテキストから、図を貼り付け

させてもらいましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20150723145444j:plain

 

 まず、FIは、国際特許分類IPCで

日本の技術分野で大まかすぎるところは

日本に合致したようにさらに分類を

細かくしています。

 

 Fタームのほうは、日本的に分類した

FIの中で、関連した技術FIをひとまとめ

にしてしまい、これを一かたまりにして、

観点(目的、製造方法、構造、材料等)

ごとに分けています。

 

 という説明でも、まだ不十分ですので、

さらにFタームリストの具体例で説明

しましょう。

 

f:id:oukajinsugawa:20150723145501j:plain

 

 まず、一番左上に「5B125」と書かれて

いますが、これはFタームの「テーマコード」

と呼ばれます。

 

 その右側には「リードオンリーメモリー」と

書かれていますが、これは「テーマ名」と

呼ばれます。

 

 どのFIをひとかたまりにしているのかが、

その下の「G11C17/00-17/06,301」です。

 

 その下に「観点」と書かれており、これが

BAとかCAとかDAとかDBとかのアル

ファベットが割り振られ、メモリ構造などの

説明が書かれています。

 

 観点は、一番最初に示した図のサイコロ

では、図の関係上3次元となっていますが、

実際は非常に多く、上記のリードオンリー

メモリー(ROMですね)は途中でカット

してありますが、実際は18個の観点が

割り振られています。

 

 さらに、それぞれの観点には、01から

始まる番号が割り振られ、例えば5B125

BA01とか5B125BA02などがFタームと

呼ばれることになります。

 

 ということで、概要がわかったところで、

詳細を見て行きましょう。

 

 まず、Fタームって何の目的で作られて

いるんだ?というと、文献量が著しく増大

しており、さらに、技術の複合化、融合化、

製品が多様化されていますので、特許

審査のための先行技術調査(サーチ)を

なるべく迅速に行うために、機械検索に

合うような技術分類を作ろうじゃないか

ということで、このような検索インデックス

が開発されたんです。

 

 ということで、機械検索が容易におこ

なえるように、特許情報(特許公報類)中

に記載されている技術的事項から、種々

の技術観点(目的、用途、構造、材料、

製法、処理操作方法、制御手段等)で、

文献ごとに、このFタームを付与する

ようになっています。

 

 このように、種々の観点から作成されて

いますので、たとえば、上記の表の場合、

ROMのメモリー種別を選択して、目的

効果は何か、読み出し操作は?、書き

込み動作は?などそれぞれ選択し、

これらを論理積によって掛け合わせる

ことにより、文献数を絞り込むことが

できるようになっているんです。

 

 このFタームは技術動向の変化や

蓄積文献数の増加に応じて、毎年必要な

分野においてFタームリストの見直しが

行われており、常に最新の技術分類で

検索がおこなえるようになっています。

(逆に言えば、最新の情報で調べないと、

検索漏れが生じることになりますよ)

 

 現在、全技術分野が、約2600の

テーマに区分されており、そのうち

約1800のテーマ(約7割)において

Fタームが作成されています。

 

 つまり、テーマとして区分されている

ものの、テーマだけがあって、Fターム

という詳細がないものも30%あると

いうことですので注意しましょう。

(たとえば、農作業での手作業具に

土作業機2B031というテーマコード

があるのですが、これはテーマコード

だけあって、さらに詳細のFターム

は、まだ作成されておりません)

 

 このFタームリストが存在するテーマ

を「Fタームテーマ」と言い、Fターム

リストが存在しないテーマを「FIテーマ」

と言うんです。

 

 さらに、各テーマのFIのカバー範囲、

テーマ名、テーマコード及びFタームを

記したリストを、「Fタームリスト」と

呼ぶんです。

 

 ということで、Fタームの1回目は

こんなもんで、次回は、Fタームを

さらに探って行きましょう。