知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

氷感庫ですか? それとも静電場による過冷却?

 テレビを見ていましたら、ぶどうの

マスカットを季節外れの時期に出荷して、

ブランド化や売り上げ増をねらっている

というのをやっていました。

 

 なんでも、収穫したぶどうを4か月ほど

冷凍庫で保存しておき、この寒い時期に

出荷するんだそうです。

 

 買い物に来たお客さんは、「めずら

しいね。この季節に。」などと言って

いましたね。

 

 冷凍庫で保存するときのキモは、

凍ってしまうとまずいことになるので、

特殊な冷凍庫(電流を流し、プラスと

マイナスを常に入れ替えることで、

ぶどうに含まれる水を常に動かし、

動かすことにより水が凍らない

ようにするんだとか言っていました。)

で保存することなんだそうですね。

 

 へー、知りませんでした、です、はい。

 

 これはどんな冷凍庫なのか調べると、

氷感庫というものだそうです。

 

http://iwatomi.com/hyokan/index.html

 

 書かれている特許を見てみると、

出願人は、株式会社氷感さんでは

ないですが、登録は氷感さんになって

いますので、譲り受けたようですね。

 

 もともとは以下のように、脳死ドナー

などからの肝移植など、臓器を冷凍

保存する発明を、野菜や果物の保管にも

応用したようです。

 

【発明の名称】

微生物及び動物由来物の保存方法

 

【課題】

 本発明の課題は、微生物及び動物

由来物の保存方法を提供することである。

 

【解決手段】

  微生物又は動物由来物を、静電場

雰囲気内に置いて保存することによる。

静電場雰囲気は、100V~5000Vの

交流又は直流電圧を電極に印加して

形成される。静電場雰囲気での保存

温度は、-20~40℃であり、静電場

雰囲気でなければ微生物やヒトを含む

動物由来物が凍結しうる-12~-1℃

でも凍結させることなく保存することが

できる。器官、臓器、組織、細胞、血液、

血漿、血清、血液製剤、精製蛋白質

組換蛋白質、培養細胞、培養組織等の

保存に有用であり、特に移植領域、輸血

領域、再生医療領域、基礎実験領域、

遺伝子治療領域、臨床検査領域、製薬・

試薬領域等に利用することができる。

 

【特許請求の範囲】

【請求項1】

動物由来物である赤血球を静電場雰囲

内におき、0℃~4℃の温度条件で保存

する保存方法。

 

【請求項2】

保存液中に浸漬状態である、動物由来物

である心臓、肝臓、あるいは腎臓を静電場

雰囲気内におき、以下の条件下で保存

する保存方法。

心臓:-5℃~2℃の温度条件

肝臓:-5℃~2℃の温度条件

腎臓:-5℃~0℃の温度条件

 

【請求項3】

前記静電場雰囲気は、100V~

5000Vの交流又は直流電圧を

電極に印加して形成される請求項

1または2に記載の保存方法。

 

 テレビでは、交流雰囲気に置くような

話になっていましたが、静電場を使う

というのが正確な表現で、調べると、

過冷却状態に置くために、静電場を

使うという方法は、たとえば特開2006

-284161食品商品供給用保管庫

(メビックス株式会社)などいろいろ

あり、一般的なようです。

 

 ということで、この時期に、おいしい

マスカット、ひとついかがです?