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知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

Ig Nobel Prizes その5 内視鏡治療での、大腸内ガス爆発対策

www.asahi.com

 

 上のように、昨年10月、レーザー

手術中に、腸内ガスに引火してやけどを

負った、という話がありました。

(記事では、腸内ガスに着火したというのは、

可能性の域を出ていない、とのことですが。)

 

 この腸内ガスの危険性については、論文に

より指摘されており、この論文を書いた、

Emmanuel Ben-Soussan(フランス)、

Michel Antonietti(フランス)に、2012年の、

イグ・ノーベル医学賞が授与されています。

 

 論文は以下のようになりますが、読むのが

面倒でしょうから、私のほうで、かいつまんで

書いてみましょう。

 

"Colonic Gas Explosion During Therapeutic

Colonoscopy with Electrocautery," Spiros

D Ladas, George Karamanolis, Emmanuel

Ben-Soussan, World Journal of

Gastroenterology, vol. 13, no. 40, October

2007, pp. 5295–8.

 

 題名は、電気焼灼止血法を伴う結腸内視鏡

治療での結腸内ガス大爆発というものです。

(大爆発とは書かれておらず、ただの「爆発」

です。 おおげさに書いてすんません。)

 

 ちなみに、この論文の「colon」というのは

結腸または大腸を指す場合がありますが、

ここでは結腸と、「bowel」というのは小腸と

大腸を指しますが、ここでは大腸と意訳して

います。(日本では大腸内視鏡と呼ばれて

いますが、ここでは、結腸内視鏡と訳して

います。)

 

 WEBのコトバンクによると、大腸は、盲腸、

結腸、直腸からなり、コトバンクから抜粋

添付させてもらうと以下だそうです。

(シロートで、すんません。)

 

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【概要】

 結腸内視鏡を使用した電気的止血を伴う

治療・手術は、世界中で広くおこなわれて

いますが、この際、治療・手術をおこなう

ためには、事前に、前処置として、大腸内

洗浄は重要ファクターとされています。

 

 結腸内ガスの爆発は、まれなケースですが、

一度起これば深刻な危険性を伴います。

 

 この爆発の要因として、結腸内ガスが爆発

レベルまで濃度が高まることが指摘されていま

すが、この危険性を避けるためには、治療・

手術前の前処置が重要です。

 

 この論文では、筆者らは、前処置の方法の

種類などを検討し、電気的結腸内視鏡治療・

手術に対する十分な前処置方法などの提言を

しています。

 

【序論】

 内視鏡によるポリープ除去や結腸内止血の

ためのアルゴンプラズマ凝固法では、安全な

手法が求められます。

 

 なぜならば、これらの手段では、ガス爆発は

まれなことですが、 このガス爆発により、

結腸破裂などが起こり、緊急な外科的処置が

必要になるからです。

 

 爆発を引き起こす要因としては3つあり、

一つ目は、直腸で吸収されない炭水化物の

発酵作用、すなわちバクテリアや酸素に

よる分解作用による水素やメタンといった

可燃性ガスの存在、二つ目は、酸素すな

わち燃焼性ガスの存在、三つめは、電気

的焼灼やアルゴンプラズマ凝固のような

熱源の存在が挙げられます。

 

 大腸内の5つのガスの主要構成要素は、

通常、窒素23~80%、酸素 0.1~2.3%、

水素0.06~47%、メタン 0~26%、

二酸化炭素 5.1~29%となっています。

 

 この中で、水素とメタンだけが可燃性

ガスであり、これらは、結腸内腔の中で、

ラクトース、マンニトールなどの吸収されない

酵母などの微生物作用、大腸フローラへの

炭水化物の不完全吸収のでのラクトース

フルクトース、ソルビトールなどの作用に

より作られ、4%以上の水素、5%以上の

メタン濃度で、潜在的に爆発する危険性が

出て来ます。

 

 手術前の予備準備なしの結腸患者の

ほとんど半分(42.8%)が、水素とメタンに

よる爆発濃度レベルにあります。

 

 言うまでもなく、これらの2つの、水素と

メタンの爆発は、酸素濃度5%以上になら

なければ、起きません。

 

 このため、水、下剤、浣腸による腸管の

前処置をおこなえば、水素0.024±0.007%、

メタン 0.0023±0.001%までに下げられ、

最小爆発濃度以下にすることができます。

 

 このように、結腸内視鏡治療・手術中の

安全性は、施術前の腸管前処置の質にかかって

います。

 

 爆発濃度になるまでの大腸ガスの蓄積は、

この施術前の準備要因と考えられる、質の良く

ない大腸前処置によります。

 

 それゆえ、施術前の食事制限などと同様に、

大腸前処置の質は、平穏無事な結腸内視鏡

施術の本質的なものとなります。

 

大腸内視鏡施術のための指針】

 このための指針としては、前処置と共に、

電気的外科手術発電機での外科的エネルギー

すなわち、発電機は2種類の回路 単極

式と2極式がありますが、電気外科的

切除には200V以上の連続的電圧印加

が必要ですのでこの制御が、ポリープ

手術でのアルゴンプラズマの質、量なども

挙げられます。

 

 ということで、この論文には、手術前

準備としての大腸内洗浄については詳しく

書かれていますが、かいつまんで書くと、

1990年代になって、ポリエチレングリコール

電解質(PEG-ELS)や、経口リン酸ナトリ

ウム溶液(NaP)という新しい洗浄溶液の進展が

あり、種々の研究では、これらは可燃ガスの

濃度を減少させ、結腸内視鏡による電気

焼灼に対し安全性を提供できるそうですよ。

 

【種々の論文調査】

 1952年から2006年まで、検索キーワードを

「結腸洗浄爆発、ガス爆発、外科手術、電気

焼灼、ポリープ切除、アルゴンプラズマ凝固」

として、論文を検索した結果、20ケースの

ガス爆発が認められ、このうち11ケースが

外科手術中に、9ケースが結腸内視鏡処置中に

起きており、この9ケース中5ケースがアル

ゴンプラズマが熱源、残りの4ケースは内視

鏡ポリープ切除という結果でした。

 

 

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 ということで、結論として、大腸ガスの爆発は

まれであるが、もし起きれば潜在的な重大事を

引き起こすため、結腸内視鏡施術での大腸

安全性には、下剤洗浄(PEG, NaP)による可燃

性ガスの対策が求められます。

 

 さらに、浣腸をおこなっても、S字結腸鏡アル

ゴンプラズマ凝固については、爆発リスクを高め

るので、完全な大腸前処置が必要です。

 

 筆者らは、結論として、ガス爆発を防止する

ためにを以下を提言しています。

 

(1) 洗浄溶液にはマニトール、ソルビトールなど

の炭水化物・糖質を避けるべきで、これが、

水素、メタンといった可燃性ガスの濃度を少なく

するために重要です。

 

(2) 標準浣腸前処置後の柔軟性S字結腸鏡

検査中の可燃性水素とメタンの濃度は、爆発

レベル以下とすべきです。

 

(3) 大腸炎放射線照射後のアルゴンプラズマ

凝固は、完全な、PEGやNapでの大腸前処置を

おこなうことが、爆発リスクを避けるために

重要です。

 

(4) 電気焼灼機によるポリープ手術はPEG

またはNapによる完全な大腸前処置をおこなう

べきです。

 

 ということなのですが、昨年の手術中引火と

いうのは、内視鏡による治療・手術中ではない

ような記事に読み取れますが、今後は、「ガス

大爆発」が起きないように、他の類似の手術に

おいても、イグ・ノーベル賞の前処置方法に、

敬意を示す必要があるような???

(今回のブログの私の意見は、医療に全くの

トーシロ王花陣の、完全な私見ですので、

念のため。)

 

 水素、メタン、酸素、+悪臭成分合わせて

濃度100%??で内部が満たされている、

王花陣大腸君にも、充分気をつけるように、

説明しておくことと致しましょう。