知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ジャパンマリンポニックスさんの陸上魚養殖

 いろいろ陸上魚養殖の話を書いていますが、

今回は、ジャパンマリンポニックス株式会社

の陸上魚養殖です。

 

 この会社は、本社が岡山市、設立2013年

6月、資本金1千万円、従業員数10名、

事業内容は、環境保全循環型水産、農林

システム販売及び魚の養殖となっており、

陸上での魚養殖設備を開発し、ウナギ

などを養殖しているんです。

 

http://ttp://www.marine-ponics.co.jp/

 

 沿革を見ると、2013年6月にトラフグ

チョウザメ、イズミダイなどの養殖を開始し、

2014年5月に日本ウナギの試験養殖を

開始、2014年12月にはトラフグを全量

出荷、2015年7月から日本ウナギを出荷

開始、アナゴ、キジハタの試験養殖も開始、

となっており、現在のウナギ養殖は10万

尾だそうで。

(多いんでしょうか?少ないんでしょうか?

よくわかりませんが。)

 

 資金調達は、以下のように、「鳥取境港

うなぎ養殖ファンド」というもので調達し、

水槽設備、稚魚、餌、エネルギー代などに

当てているそうです。

 

https://www.securite.jp/fund/detail/1046

 

 どんな養殖方法を開発したのか、特許出願

から見てみると、以下のようになるんです。

 

・ 特開2015-195794「魚養殖用カプセル」

【課題】

魚に与える魚粉や動植物系のたんぱく質

炭水化物、ビタミン剤、油脂などからなる栄

養分、または薬品を、栄養分または薬品を

周囲の飼育水に溶出させることなく、魚が

摂取しても問題ない膜で被覆し、魚に直接

摂取させることができる養殖用カプセルを

提供する。

 

【解決手段】

カプセル1内に飼育水の比重に応じた浮力

調整用の空間3を設けることにより、カプセル

1の比重を変え、底に沈ませることなく飼育

水の表層から中間層中に滞留させることが

でき、カプセル1の残滓率の低減により、

海上養殖であれば赤潮発生による周囲環境

の汚染リスク、閉鎖循環型の陸上養殖で

あれば、ろ過装置の負荷や清掃コストの低減

が可能となる。

 

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 水槽などのろ過装置だけでなく、給餌方法も

開発したんですね。

 

・ 特開2015-202102「閉鎖循環型飼育用の

飼育循環システム」

 

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・ 特開2015-208321「多機能性改質型

循環飼育水」

【課題】

トラフグやマグロなどがもつ諸問題を解決し、

これらの魚種の飼育密度を向上させ、かつ

簡易的に飼育可能な環境を提供する。

 

【解決手段

】閉鎖循環型の高密度養殖において、ストレ

スによる噛み合いや飼育水槽壁面との衝突

やすれといった飼育魚類の斃死に繋がる行動

を抑制するため、飼育水の透視度と粘度を

調整することにより上記の行動を物理的に制限

し、飼育魚類の飼育密度の向上を図る。

 

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  この発明は飼育水についてです。

 

 特許請求の範囲ではないですが、給餌

場所をわかりやすくするために、照明などで

明るくしたり、餌に発行物質を混合させる

方法、餌のにおいを高める方法などもある

そうですよ。

 

 ちなみに、社長さんの内尾義信さんは

イデアマンで、そのほかにも下のように

いろいろな考案や発明があり、ホームページ

などには、「10件以上の特許や実用新案権

取得している。」と書かれているのですが、

特許のほうは、残念ながら、出願はされて

いますが、特許(登録)すなわち権利化されて

いるものはないんです。

 

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 ちなみにちなみに、出願は、特許事務所を

通さず、内尾さん、ご本人でおこなっています

ので、すばらしい!!、てゆーか、弁理士泣かせ??