知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

J-PlatPatを使い倒そう  その4  簡易検索をしてみよう  公表特許公報、再公表特許の違いもお勉強

 それでは、今回から、検索方法の詳細

ですが、まずは、プラピ(J-PlatPat)さんを

開いて、一番最初に出てくる、「簡易検索」

の方法を調べてみましょう。

 

 「俺は、そんな簡単な方法、使わねーぞ」

という方は、「ふーん」と言いながら、

それなりに、読み飛ばしてください。

 

 尚、マニュアルを見たい方は、以下で

どうぞ。

 

[INPIT]ガイドブック・マニュアル | 独立行政法人 工業所有権情報・研修館

 

 プラピさんのマニュアルを見ると、「特許・

実用新案を探す」にして、「特許 ライオン」

と入れると、4052522件ヒットしますよと

なっています。(現在同じように入れると、

数は増えていますが)

 

 なんでそんなに多いんだ?というのは、

「特許」という言葉が入っている特・実の

公報、または、「ライオン」という言葉が

入っている特・実の公報を検索していると

いう理由からです。

 

 「それじゃー、特許登録公報も検索して

くれているのか?」というと、残念ながら、

この簡易検索では、特許関係で、「公開特許

公報」か、「公表特許公報」、「再公表特許」

しか検索してくれなくて、実際に登録された

特許公報は検索してくれません。

 

 このため、、「早いところ、審査お願い

できませんか」とお願いして、公開公報が

出るより先に特許公報だけが出てしまった

ものは、検索漏れとなってしまいます。

 

 むずかしいものですね。

 

 ちなみに、「公開特許公報とか、公表

特許公報って、何が違うの?」というと、

公開特許公報というのは、国内出願の

場合には、特許法の64条で、「特許出願

の日から1年6月たっても、特許掲載公報

を発行していないんだったら、出願公開

しろよなー」ということで、法律で、

公開が義務付けられている公報です。

(自分から、「公開してちょーだい」と

言った場合にも、公開されます。)

 

 次に、公表特許公報って何だ?という

のは、「国際出願のうち外国語でされた

ものは、国内公表しろよなー」と、これ

また、特許法の184条の9というもので、

法律的に義務付けられたものです。

(国内公表には、いろいろ要件があり

ますが、割愛しますし、国際出願って

何だ?というのも、どんどん話が広が

って行ってしまいますので、こちらも

割愛します。)

 

 それでは最後の「再公表特許」ですが、

国際出願のうち日本語でされたものが

該当し、「先行技術調査に必要だと思う

んで、特許庁が、わざわざサービスで

公表してやってるんだぞ」(特許庁さん、

そうは言ってないと思います)という

ことで、法律では義務付けられていま

せんが、行政サービスの一環で公表

されているものです。

 

 ということなので、「公報」という

名前にはなっていません。

(こちらのほうも、公表要件があり

ますが、割愛します)

 

 元に戻って、簡易検索で調べてくれる

特許関係の文献は、この3種類の文献だけ、

ということになります。

 

 ちなみに、何百万件もありますが、

全部表示してくれるのか?というと、

さにあらず、1000件しか表示して

くれませんので、注意しましょう。

 

 それでは、今度は、以下のように、

試しに、「実用新案」と入れてみよう

ではあーりませんか。

(念のため、URLも以下に貼り付けて

おきます)

 

特許情報プラットフォーム|J-PlatPat

 

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 そうすると、私の検索時点では、

1433786件がヒットしました。

 

 ここで、一覧表示してみましょう。

 

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 あんれー、おかしいですね。

 

 「特許関係がヒットしていて、実用新案

じゃあ、ねーじゃん」というところですが、

なーんでか?

(今回もまた、漫談の堺すすむさん調で

読んでください。)

 

 なーんでか?

 

 それはね、「要約」、「請求の範囲」、

「発明の名称」、「出願人/権利者」、

「発明者」(実用新案の場合には、

「考案の名称」とかちょっと違う項目名

になりますが)の中に、「実用新案」と

いう言葉が入っている、特・実関係の

公報を検索しているからっ!!

 

 ということで、以下のように、実用

新案関係の公報のほかに、「実用新案」の

言葉が入っている特許関係の公開公報も

ヒットしてしまいます。

(「実用新案」と入れても、実用新案

関係の公報を検索してくれているわけでは

なく、「実用新案」という言葉が、上の

フィールドに含まれている、特・実の

文献を検索してくれているだけですので、

念のため。 マニュアルでは、「特許 

ライオン」というインプット例が出て

いるため、「特許」と入れた場合、

これが特許関係の公報を検索してくれる

ワードなのか?と思ってしまいますので、

注意しましょう)

 

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 さらに、さらに、2003年までのものは、

項目名、すなわち【実用新案請求の範囲】

や【特許請求の範囲】の中に「実用新案」

や「特許」という言葉が含まれている場合も

検索されてしまうのですが、2004年からの

ものはこの「項目名」は検索していません。

 

 例を挙げると、以下のようになります。

 

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 ANDで検索しており、2004年からの

ものは「特許請求の範囲」という言葉に

ヒットしなくなりますので、それより前の

3件しか出て来なくなってしまいます。

 

 確認してもらえるとわかりますが、

2004年からのものは【特許請求の範囲】

に、「ヒットしました!!」という

マーキングはついていないのですが、

それより前のものにはマーキングが

されています。

 

 ちなみに、実用新案のほうで検索して

くれるのは、「公開実用新案公報」、

「公表実用新案公報」、「登録実用

新案公報」となります。

 

 それでは、それでは、以下のように、

「商標を探す」で、「特許」と「ライ

オン」の論理積を取ってみましょう。

 

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 あんれー、またまた変ですね??

 

 「特許」と、「ライオン」の両方の

言葉が入っている公報を調べてくれて

いるはずなのに、以下のように、

「特許」の文字など、どこを探しても

ありません。

 

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 むずいでしょう??

 

 とゆーか、理由はおいおい書いていきま

すが、簡易検索というぐらいなので、一番

簡単な検索なのか?と思って検索していると、

簡易検索のほうが、どのように検索している

のかをよく知らないと、うまく検索でき

ないので、他の検索方法よりも難しいんです。

 

 J-PlatPatのマニュアルを見ても、簡易検索の

検索方法の説明は、3ページしかなくて、言葉を

入れれば、いかにも簡単に検索できるような

書き方になっているのですが、説明に書かれて

いないことがいろいろあります。

 

 昔のIPDLでは、初心者用に、「初心者向け

検索」というのがあったのですが、プラピ

さんでは、「初心者向け検索」ではなくて、

「簡易検索」という名前になったのは、

「簡易だけれども難しい」、というような

理由からだったりして???

(きっと違うと思いますっ。)

 

 簡易検索おそるべし!!

(INPITさん、いろいろ教えていただいて

ありがとうございます。今後も、いろいろ

教えてください)

 

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 ということで、この答えは、次回に。

(ちなみに、特許庁が公報を出している

から、「特許庁」という言葉の「特許」と

いうのにヒットしているのでは?と思い

がちですが、違いますよ)