知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

経皮吸収剤で、皮膚から投薬致しましょ。。。。

 以前に、痛くない注射器(とゆーか、

それほど?痛くない注射器ですが)や、

薬をしみこませたシート状のものを皮膚に

貼って注射の代わりにする方法や、

マイクロニードルアレイなどについて、

いろいろ書きました。

 

 この、「痛くしないでね!!」という

のは、いろいろ研究されているわけでして、

どんな技術があるのかは、別途、シリーズで

取り上げてみようと思いますが、本日は、

取りあえず、九州大学の後藤雅宏先生の

発明の話です。

 

 この先生、以下のように、いろんな研究を

おこなっており、特許出願情報分析をおこ

なうと、違う人が混じってんじゃね?という

ような多彩な研究をしてるんです。

 

http://www.bioeng.cstm.kyushu-u.ac.jp/index.htm

 

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 ということで、薬をしみこませたシートを

貼って、注射の代わりに薬用成分を体に

注入するという方法は、上のマップの医薬

用とか、化合物または医薬組成物、などと

なりますが、この技術はすでに化粧品で用い

られ、医薬用としては、花粉症への応用も

にらんでいるそうで。

 

 このパッチ式の発明は、特許5752343

「S/O型経皮免疫剤」や、特許5783537

「医療用機器」などで昨年特許化されて

いますし、特許5700222「化粧料及び皮膚

外用剤、並びに医療用機器」などもあるん

です。

 

 S/O型って何だ?というのは以下のように、

Solid Oil Suspension技術の略だそうで、

上記特許5752343の共同権利者の、株式

会社ココカラファインネクストさんから、

以下のように商標登録もされています。

(第5386633号)

 

http://next.cocokarafine.co.jp/tech.html

 

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 たとえば、特許5752343の技術は、

以下のようになっています。

 

【技術分野】 本発明は、S/O型経皮

免疫剤に関し、詳細には、経皮免疫に

よる皮膚の炎症を発症せず、抗体の

産生も高められたS/O型経皮免疫剤

に関するものである。

 

【発明の効果】 本発明によれば、従来の

皮下注射による経皮免疫法と同様、

抗体の産生が高められるだけでなく、皮下

注射による問題点(皮膚組織の炎症発生、

針刺し事故の発生、物理化学的バリアで

ある角質層の溶解や破壊など)をすべて

解消することができる。従って、本発明の

経皮免疫剤は、極めて安全性の高い

非侵襲性の免疫原性製剤または

ワクチンとして非常に有用である。

本発明の経皮免疫剤は、病原性細菌や

ウイルスの感染防御や体内からの排除と

いった治療に有用であるだけでなく、

少量の抗原を数回に分けて経皮投与

することによって免疫寛容を惹起させる

治療法にも有用である。

 

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 後藤先生に早いところ頑張ってもらって、

「痛くしないでね!!」となるように、

お願いしましょう。

 

 それでは。