知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

フラクタルとフラーレン

 食べるヨーグルトの蓋を開けた時に、

蓋の裏についたヨーグルトを舌(べろ)で

舐めませんか?

 

 あのベロで舐めるのおいしいですよね。

(おいしくうれしいのは貧乏人の私だけかも

しれませんが)

 

 この前の特大がっちりマンデーで、この

楽しみを奪う?話をしていました。

 

 話としては、月刊食品包装という新聞の

話だったのですが、ここで取り上げていたのは、

ヨーグルトに、「入れ物革命が起きた」という

もので、ヨーグルトの蓋の裏がすごいことに

なっている、というものでした。 

 

 この商品は。東洋アルミという会社のもので、

今までは、ヨーグルトの蓋にはヨーグルトが

ついてしまい、それを舐めるのがひそやかな

楽しみだったのですが、蓋につかないように

してしまい、王花陣のひそやかな楽しみを

奪ってしまったという話でした。

(すんません。 私のほうでおもしろおかしく

脚色しています。 本当は、蓋につかなくして

すごい発明だ、というものです。)

 

 これは、水をはじくハスの葉の原理を応用

したものだそうです。

 

 それでは、このような製品を開発した東洋

アルミさんはどのような会社なのかというのを

見てみると、正式名称は、東洋アルミニウム

株式会社さんというそうで、ホームページの

URLは以下となります。

 

http://www.toyal.co.jp/

 

 この企業は、1931年にアルミ箔の製造販売を

目的として設立されたそうで、資本金が80億円、

連結の従業員2515名というかなり大きい企業

ですね。

 

 株主は日本軽金属ホールディングスさんだ

そうで、この会社の100%子会社です。

 

 製品としては、箔製品、パウダー・ペースト

製品、今はやりの太陽電池関連製品です。

 

 これがどんな発明かということですが、

トーヤルロータスという商品名だそうですね。

 

 ということで、まず、東洋アルミさんの出願

状況を調べると、903件の出願がヒットして

来ました。

 

 それでは、上記の説明に書かれている

このフラクタル構造の出願があるのかと、

フラクタル」で検索をかけると、ありました。

 

 出願が2012年の10月13日の、特開

2014-080465ですね。

 

 発明の名称は、「撥水・溌油性塗膜及び

その塗膜を含む物品」だそうで、めでたく

2013年4月に登録になっていました。

 

 トーヤルロータスの説明では、フラクタル

構造とは、三次元網目構造だと書かれて

います。

 

 一般には、フラクタルというのは、同じ

ような形状がどんどん小さくなって続いて

いくというもので、昔、小学校で習ったス

カンジナビア半島のフィヨルドの海岸線の

ようなもの?だと思います。

(専門家の方が読んだら、怒られそうな

表現ですが)

 

 これがハスの葉では三次元で続いて

行くのでしょう。

 

 特許文献によると、複数の金属酸化物

複合粒子の連なりにより、塗膜表面に微細

かつ複雑な凹凸構造が形成され、優れた

撥水、溌油効果を示すんだそうです。

 

 この方法は、ほかにもいろいろ使い道が

ありそうですね。

 

 ところで、話は違いますが、この「ハスの葉

模倣の水をはじく機能」というのは、調べると、

独立行政法人物質・材料研究機構というところ

から、2008年1月に発表されていました。

 

フラーレンから超撥水素材を開発 - 2008年 | NIMS

 

 これはフラーレンの階層的組織化のみで

このような機能を達成する技術だそうです。

 

 こちらのほうの発表のほうが、東洋アルミ

さんの出願よりも早いですが、方法が違う

ので、めでたく登録となったのでしょう。

 

 考え方の出発点は同じでも、アプローチの

仕方は何通りもあるぞ、というところですね。

 

 フラーレン技術を応用した超撥水機能と

いうのも、そのうち出てくるのかもしれません。

(もう出ているのかもしれませんが)