知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析ゴルフ用具編  14 バブルガムブラザース

 前回のデータで気がつかれた方も

多かったのではないかと思いますが、

2014年の出願データというのがありました

よね。

 

 出願公開というのは、出願されてから1年

半たたないと公開されない、と勉強してきた

はずですが、2014年出願のものもヒットして

います。

 

 データベースの間違いでしょうか?

 

 実は、これにはふかーい深い、からくりが

あるんですね。

(そんな大げさな話ではないですが)

 

 実は、出願日からというのは、パリ条約の

優先権主張出願(第一国に出願したものを

基礎として、その他の国に出願する方法)や、

国内優先権出願など(そのほかもあります)は、

先の出願の日なんですね。

 

 話は違いますが、弁理士試験の口述試験や、

口述試験の練習会などでは、よくこの問題が

出され、「それはどこに書いてありますか?」

などとよく聞かれます。

 

 ここで、「えーと、うーんと、」などと言って

いると、「こいつ、わかってねーな」と思われて

しまいますし、このようなところの条文は、

ほぼ100%読んでいないので、いきなり条文を

見てもわからないのに、「条文見てもいい

ですか?」などと聞いて、結局見てもわからず、

墓穴を掘るということがよくありますね。

 

 逆に、「はい、それは、17条の3のカッコ書き

に書かれております、です、はい。マスクレスラーは

デストロイヤー」などと答えると、「おー、こいつ

わかってんじゃん」ということで、印象がよくなり

ますね。

 

 「ミル・マスカラスだろ?」とおっしゃる方も

おいでかもしれませんが、そこはそれ、ご随意に。

 

弁理士口述試験はもうすぐだと思いますので、

頑張ってください)

 

 話を戻して、上記の優先権主張を伴う出願が

あるため、このような2014年出願のような

ものでも、このようなことが起こってしまいます。

 

 このため、検索をおこなうときには、出願日

でなく、優先権主張年月日基準で検索を

おこなうことがあるのですが、IPDLでは

そのような検索を使えないことと、大勢に

あまり影響ないので、この分析では、出願日

基準でおこなっています。

 

 出願公開の物語?は、特許法の64条という

ところに書かれているのですが、そのほかにも

64条の2というところに、「下々のもののために、

特別に出願公開の請求をゆるーす。」と書いて

あります。(そうは書いてないですが)

 

 また、この請求は特許出願をした人(正確

には、特許出願人の権利は譲り渡すことが

できますので、請求時の特許出願人ですが)

しか請求はできません。

 

 こんな場合はそんなに多くないとは思いますが、

このような場合でも早期に公開されますので、

ちょっと、こちらの条文を詳しく見てみましょう。

 

 出願公開されると自分のところの技術が

他社にわかってしまうのに、なんで自分で

そんなことをする必要があるんだ?と、

不思議ですね。

 

 またまた不思議ちゃんなので、調べて

みましょう。

 

 調べるのは、平成11年改正工業所有権

法の解説というものです。(通称「青本」にも

書かれていますが、改正本のほうが詳しい

です)

 

 実は、「原則」、出願公開後に、出願した発明を

実施している人を見つけたら、「やめろよな!」

と言えるんですね。

 

 やめろよな!と言ったのに、まだしつこく実施

していたら、登録した後で、「同情するなら金を

くれ!」ということができるんですね。

(うそです。 実施料相当額を請求することが

できます)

 

 ということなんで、出願公開前に誰かが自分の

発明を実施していたり、実施しようとしているのを

察知した場合など、いち早く出願公開をしてもら

えれば、「やめろ、やめろー」ということができる

わけです。

 

 また原則と書いたのは、他の場合もあるわけで、

長くなるので、この説明は省略します。

 

 それではその道のバイブル、「特許法概説」

にはどんなことが書かれているかというと、

残念ながらこちらには、これらの説明はありま

せん。

 

 というのは、特許法概説というのは、吉藤

幸朔先生という特許庁出身の偉い大先生が

書いた書籍ですが、お亡くなりになられてから、

熊谷健一先生というこちらも偉い大先生が

しこしこ改定をされていたのですが、1998年の

第13版を最後に、改定されていません。 

 

 飽きてしまったんでしょうか?

(こちらも、うそです。 お忙しいんでしょうね。)

 

 この出願公開請求制度というのができた

のが、1999年なので、上記バイブル?には

説明がないわけです。

 

 尚、この書籍は、現在、本屋さんにありません

ので、必要な場合にはオンデマンドで、直接

出版社(有斐閣)に申し込むことになります)

 

 尚、中山信弘先生という当代一?の権威

の大先生が書かれた特許法という書籍にも

説明がありませんでした。

 

 ところで、64条の2の2項というところ

には、「特別に許してやってんだから、出願

公開請求の取り下げなんて許さねーぞ」とも

書かれていますので、公開請求をするときには

十分注意しましょう。

 

 バブルガムブラザース?を書く予定が、書けま

せんでした。

 

 次回、書くことに致しましょう。