知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

音を聞いて、植物の健康を判断する?

 この前、テレビで、「植物の音を聞いて

元気が分かる!?」というのをやって

いました。

 

 なんでも、植物が水を吸い上げる際に、

水に溶けている空気が膨張すると微弱な

音を出すそうで、この微弱な音をセンサーで

拾って、元気度を測定するんだそうです。

 

 これを開発しているのが、埼玉大学

蔭山健介先生で、植物の弱い音を取れる

センサーの開発をしているそうです。

 

 音がたくさん出るほど元気に活動して

おり、まだ詳しいことは分かっていない

と言っていましたが、これを大阪の植物

レンタルのグリーンコンチネンタルと共同

で技術開発をおこない、日照や、温度、

空気中の二酸化炭素濃度などを測定し、

これらと元気度の相関を調べ、水やりの

時期を判断したり、二酸化炭素濃度が低く、

元気が悪いときには、炭酸水を与えて、

元気を回復させたりするそうです。

 

 植物は状態が悪いときにも盛んに音を

出すそうで、なかなか難しいもんですね。

 

 蔭山先生のホームページを見ると、強

誘電体エレクトレットを利用した機械変換

素子の開発だそうで、なるほど、特許

出願を見てみると、以下のようになって

います。

 

http://s-read.saitama-u.ac.jp/researchers/pages/researcher/luPSsmBx

 

f:id:oukajinsugawa:20170710105659j:plain

 

 一番最初の健全度評価方法再表

2010/064669を見てみると、以下だ

そうですよ。

 

【0002】

  植物の根には、根毛が無数にあって、

水や水に溶けた無機養分を吸収しやすく

している。吸収された水や無機養分は

根の道管(輸送経路)に入り、茎の道管を

通って、葉や花や果実などに運ばれる。

葉には気孔があるので、ここから水分を

蒸散する。葉の蒸散作用によって、根は

更に水や無機養分を吸収することができる。

 

【0003】

  この植物の道管(輸送経路)が「維管束

組織」であり、「木部」と「篩部」から

なる。

木部は道管や柔組織からなる水や無機

養分の通路であり、道管は細胞が縦に

並び、細胞壁の穴で連結して管となった

組織である。篩部は葉でつくった有機

養分を下方に運ぶ通路であり、篩管や

柔組織からなる。維管束組織とは、いわ

ゆる植物の茎の中を縦に走る柱状の組織の

集まりである。普通は茎の中に一定の

配列で並び、そこから分枝して葉や根に

入り、先端近くまで伸びて終わる。

多くの植物では、これらの組織が一定の

配列で集まってパイプの集合体のような

束状の構造となって植物体全体を貫く。

そのような束は、複数あり、茎の断面を

見れば、それらが一定の配列で植物体の

中に配置しているのが見られる。

葉など茎から出た器官には茎の維管束

組織の分枝が入っており、その内部では

更に枝分かれして物質の輸送と器官の

機械的支持の役割を担う。

 

 テレビで説明していた、空気の膨張の

測定は以下だそうです。

 

【0014】

  (課題を解決するための手段)

  上記目的を達成するために、本発明の

第1の態様は、(a)維管束植物の軸部に

固定された弾性波受信素子により、維管

束植物の維管束組織のキャビテーションに

より発生する弾性波の発生頻度を、維管

束植物に対する水ストレスの変化の前後で

それぞれ測定するステップと、

(b)変化の前後でそれぞれ測定された

弾性波の発生頻度から、発生頻度の変化

率を算出するステップと、

(c)算出された変化率から、維管束

組織のエンボリズムが修復できないレベルに

達しているか否かを判定するステップと、

を含み、

エンボリズムのレベルにより、維管束

植物の健全度を評価する維管束植物の

健全度評価方法であることを要旨とする。

 

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 11が弾性波受信素子(AEセンサ)だそう

ですよ。

 

 特開2017-051125では、これをさらに進

めて、以下のように、いろんなデータも

収集するんですね。

 

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 テレビでは、このほかに、土壌の水分を

測定して農業に役立てる開発をおこなって

いる方なども取り上げていましたが、いろ

んな分野で、技術が進化しているんですね。