知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ルーレット式おみくじ器の特許ってどうなっているんですか?

 「はい、お答えいたしましょう」、と

いうことで、お答えしましょうシリーズな

わけでして。

 

 昭和時代のにおいぷんぷんの、むかーし

懐かしいルーレット式おみくじ器って、いろ

いろなテレビ番組で取り上げられていますね。

 

 喫茶店やレストランなど飲食店のテーブル

上に設置されており、100円を入れて、レバーを

引くと、本体上部のルーレットが回り、おみ

くじが出て来る仕組みになっています。

 

 硬貨の投入口は黄道十二星座別に分かれて

おり、自分の該当する星座の投入口に硬貨を

入れて、ルーレットが示した数字とおみくじの

数字を照らしあわせて占う(とウィキに出て

いました)そうですが、私は、何の星座か

わかりませんので、やったことがありません。

 

 このおみくじ器を作っているのは本社が東京

港区、工場が、岩手県滝沢市の有限会社

北多摩製作所さんだそうで、よく、テレビでは、

おみくじを入れたり製造したりしているのは、

一人の女性の方だけだ、などと説明しています。

 

ルーレット式おみくじ器 - 北多摩製作所 ホーム ページ!

 

 ということで、内容は、上のURLを覗いて

いただくとして、ウィキなどを見ると、以下の

ようなくだりがあるのですが、肝心の、どんな

特許だったのか?というのがどこを探しても

書いてありません。

 

 「北多摩製作所では、本業のかたわら副業と

して1983年(昭和58年)から製造を行って

いる。 当時、他社の製品において本体の上部

部分が灰皿になっているものが流行っていた

ことから、同社ではドライフラワーを施した製品を

販売したがあまり売れず、後にギャンブル好きな

顧客を視野に入れ、当時まだ珍しいものであった

ルーレットを取り付けることになったという。

おみくじの排出と同時にルーレットを回転させる

構造の開発に3年かかったとしている。稼働には

電源が一切不要で、不正や悪戯を防止するため

100円以外の硬貨は使えない仕組みとなっている。

かつて特許も取っていたが、「今から新規に製造

しようとする人はいない」「100円硬貨しか受け

付けない仕組みの調整は他社に真似できない」

などといった理由で現在は更新していないと

いう。」

 

 ということで、早速、北多摩製作所さんの

出願や登録を調べると、以下となり、実開昭

58-76970「御籖放出器」、考案者は現在の

代表取締役の佐藤陽太郎さんで、特許では

なくて、実用新案だったんですね。

(昭和50年改正法での、特許法第51条第2

項を準用する実用新案法第12条第1項での

出願公告がヒットしませんでしたので、出願

審査未請求で取下げ擬制になったのでは?)

 

 尚、出願公告って何だ?というのは、

以下を見てください。

 

oukajinsugawa.hatenadiary.jp

 

 この公開実用新案公報を貼り付けると

以下のようになります。

 

 

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 それでは、これ以前のおみくじ器はどんな

ものがあったのかというと、いろんな形の

ものの考案や発明がヒットしますが、ウィキ

に書かれている、似たような灰皿型はどの

ようなものだったのかというと以下のように

なります。

 

・ 実公昭35-016511 実公昭35-016512

  実公昭35-017906

  上の3件は同じ方からのものですので、

実公昭35-017906 だけ貼り付けてみます。

 

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・ 実公昭35-020703 

 以下は1,3,4ページ目です。

 

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 ということで、いまや、北多摩製作所さん

しか製造していないとのことですので、末永

く製造していただきたいものです。