知財アナリストのひとりごと

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密閉生鮮食品非加熱殺菌技術 エレクトロポレーション

 今回も、案内が来ていた、「国立研究開発

法人科学技術振興機構JST)が主催する

「新技術説明会」」の技術の話です。

 

 山形大学の南谷靖史先生は、パルスプラ

ズマを用い、密閉包装後の食品を殺菌する

ことができる技術を開発しているそうです。

 

https://shingi.jst.go.jp/kobetsu/cictokyo/2016_cictokyo_b/tech_property.html#pbBlock28763

 

 鮮度保持、大腸菌などの病原菌や細菌、

ウィルスの侵入防止等の理由により、食品の

多くは包装された状態で店舗に並べられて

いますが、この技術により、包装された

状態で内部の食品を殺菌できれば、包装後の

菌の繁殖を抑えられ、食中毒のリスクの低下、

更なる長期保存も可能になるんだそうです。

 

 この先生、パルスプラズマ分解法という研究

をおこなっているそうで、今回の技術は特開

2013-236600「パルス電界印加による微生物の

活性の制御方法」というもので、出願人は、

株式会社明治となっています。

 

 殺菌方法は、以下のようなものだそう

です。

 

 「パルス電界殺菌は、加熱殺菌のように

食品の風味を損なわずに、微生物を殺菌

できる方法として近年注目が集まっている。

このパルス電界殺菌の原理は、微生物の

細胞膜の破壊である。

微生物の細胞内部の電気的特性は、微生

物の細胞を構成する様々な物質の性質や

形状によって異なってくる。微生物の細胞

膜は電気的に絶縁膜に近く、その薄さの

ため、大きな静電容量を持つため、コンデ

ンサとみなすことができる。微生物の細胞

質はイオンを多く含む電解質で満たされて

おり、導電体の性質を持つため、抵抗と

みなすことができる。細胞にパルス電界を

印加すると、コンデンサ成分がある細胞膜

電荷が蓄積され、細胞膜の内部と外部で

電位差が生じる。1Vの電位差は細胞膜に

2×106V/cmという非常に大きな電界

強度を発生させる。この電位差が1Vを超え

ることによって、細胞膜に絶縁破壊が起き、

細孔が形成される。このように、パルス電界

を用いて、細胞に細孔を形成させることを

エレクトロポレーションという。この細孔は

大きくなければ、細胞自身によって修復され

るが、電界を大きくしたり、パルス幅を長く

したりして、エネルギーを大きく加えると、

この細孔は大きくなって自発的に修復

できなくなり、細胞の組織が外部に流出する

ことで、細胞が壊死する。」

 

 この発明は、このパルス電界の制御方法

だそうです。

 

 O-157とかにも効果があるんでしょうか?