知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

AIの特許技術は、どのようにして調べればいいんですか? その1

 日経トレンディによる「2017年ヒット予測

ベスト30」によると、1位は、買い物から

家電の操作までが、声でできるようになる、

「ノールックAI家電」だそうですね。

 

2017年ヒット予測、1位は「ノールックAI家電」 (4ページ目):日経ビジネスオンライン

 

 最近は、なんでもかんでも、「AI」や「IoT」と

いう言葉をくっつけて、「テクノロジーが進化

してるんだぞ。」と、わざわざ思わせているの

では?と穿った見方をしているのは私だけ?

(ちなみにAI:Artificial Intelligence 人工

知能、IoT:Internet of Things モノのインター

ネット)

 

 まあ、テクノロジーはすごい進化をしている

のは間違いないのだと思いますので、特許庁

さんも、平成26年度特許出願技術動向調査

で、「人工知能技術」を調査しています。

(正確には、特許庁が調査しているわけでは

なく、特許庁から委託を受けた、調査会社が

調査しているわけですが。)

 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/26_21.pdf

 

 詳細は、調査レポートを読んでいただくと

して、今回は、この調査は、どのように特許

出願などを検索して、分析しているのか?と

いうのを書いてみましょう。

 

 まずは、この前、IoTについて、特許庁で、

広域ファセット分類記号というのを新設し、

日本の特許文献に対し、横断的に検索を

おこなえるようにした、ということを書き

ましたが、もしかして、AIもこのファセット

分類記号というのがあるのか?というと、

残念でした、以下のように、そんなものは

ありません。

(以下は、私のほうで、抜粋編集しています

ので、正確には、URLの広域ファセット

一覧を見てください)

 

https://www5.j-platpat.inpit.go.jp/pms/tokujitsu/pmgs/PMGS_GM301_BroadFacet.action

 

・ZAA 超伝導

・ZAB 環境保全

・ZBP ・生分解性ポリマー

・ZCC コンビナトリケミストリー

・ZDM 人間の身体の各器官の構造・機能の計測

・ZEC 電子商取引

・ZHV ハイブリット自動車

・ZMD 用法又は用量に関する医薬発明

・ZNA 核酸アミノ酸配列

・ZNM ナノテクノロジー

ZTD 生体分子の立体構造

・ZYW 車両のヨー方向運動制御

・ZYY ・車両の挙動制御

 

 それでは、どのように調べているんだ?と

いうと、IPCでのコンピューター関係のG06

というものの中に、G06N「特定の計算モデル

に基づくコンピュータ・システム」というのが

あるんです。

 

 これは、以下のようになっています。

(こちらも、私のほうで編集しています。)

 

IPC G06N

・3/00 生物学的モデルに基づくコンピュータ・システム

・3/02  ・ニューラル・ネットワーク・モデルを用いるもの 

・3/04  ・・アーキテクチャ, 

・3/06  ・・物理的な実現,すなわち,ニューラル・ネットワーク,

     ニューロンニューロン構成要素のハードウェア実装

・3/063  ・・・電子的手段を用いるもの 

・3/067  ・・・光学的手段を用いるもの  

・3/08  ・・学習方法  

・3/10  ・・汎用コンピュータでのシミュレーション  

・3/12  ・遺伝的モデルを用いるもの  

・5/00  知識ベースモデルを利用したコンピュータ・システム 

・5/02  ・知識の表現  

・5/04  ・推論方法または装置 

・7/00  特定の数学的モデルに基づいたコンピュータ・システム

・7/02  ・ファジー論理を用いるもの  

・7/04  ・・物理的な実現  

・7/06  ・・汎用コンピュータでのシミュレーション 

・7/08  ・カオス・モデルまたは非線形システム・モデルを用いるもの

・99/00  このサブクラスの他のグループに分類されない主題事項

 

 機械学習ディープラーニングなどに

関係する、「学習方法」などというものも

ありますね。

 

 長くなるので添付はしませんが、日本

独自のFIのほうは、さらに細かく分かれ

ています。

(残念ながら、Fタームは、テーマコード

だけはあるのですが、Fタームには、

まだ分類されておりません。)

 

 ちなみに、海外の特許分類コードは

どうなっているのか?というのは以下の

ように調べることができます。

 

http://www.jpo.go.jp/cgi/cgi-bin/search-portal/narabe_tool/narabe.cgi

 

f:id:oukajinsugawa:20161115100917j:plain

 

 途中でカットしてしまいましたが、EPO

USで取り入れられたCPCよりも、FIの

ほうが細かく分かれています。

(左がIPC、真ん中がFI、右側がCPCです)

 

 US特有の分類記号USPCは以下のように

調べましょう。

 

USPC-to-IPC Reverse Concordance

 

f:id:oukajinsugawa:20161115100952j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20161115101001j:plain

 

 

f:id:oukajinsugawa:20161115101011j:plain

 

 上のハイパーリンクをクリックすると、

それぞれの技術分類の説明を見ることが

できます。

 

 続く。