知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ピコ太郎と著作権

 ピコ太郎動画の再生回数が、すごい

らしいですね。

 

 へー、などと思っていたのですが、

YouTubeでの再生回数に応じて、

コマーシャル代金が支払われるそうで、

ピコ太郎さん、単純に喜んでいたわけ

ではなくて、古坂和仁さんが儲かって

いるので、ピコ太郎さんが喜んでいた

ようです。

(ちなみに、ピコ太郎さんが古坂大魔王

さんで、古坂大魔王さんが、古坂和仁

さんなわけでして。

(詳細は、ウィキを見てください。))

 

 このYouTubeの仕組みについて、日経

産業新聞で、2016年の119日と、

10日に取り上げられていたのですが、

なんでも、Content IDという仕組みで、

コンテンツを登録することにより、

オリジナルに似た動画かどうかを機械的に

判断し、YouTubeでは、この動画付属の

コマーシャル再生回数に応じ報酬が

支払われる仕組みになっているため、

オリジナルコンテンツの再生回数だけで

なく、コピーされたものや改変された

動画での再数回数に応じても、オリジ

ナルコンテンツ登録者に報酬が支払わ

れる仕組みになっているそうです。

 

Content ID の仕組み - YouTube ヘルプ

 

Content ID の申し立てとは - YouTube ヘルプ

 

Content ID の使用 - YouTube ヘルプ

 

 新聞によると、これらのすべての再生

回数は56億回と推定され、エイベックス

所属のため、エイベックス経由でピコ太郎

さんに、莫大な広告料が支払われているの

では?などと書かれています。

 

 YouTubeで有名な、「HIKAKIN」さん

なども、これで稼いでいるのでしょうか?

 

 コンテンツIDでは、上のURLに書かれて

いるように、オリジナル登録者は、改変や

コピー動画について、一致音声をミュート

するのか、動画全体を見ることができない

ようにブロックするのか、動画に広告を表示

させ収益化するのか、再生回数の統計

情報を得るようにするのかなどを選択でき、

ピコ太郎さんは、収益化を選択している

ようですね。

 

 しかし、この仕組みも、機械的にコピーや

改変を判断しており、コンテンツIDには

アップロードユーザーとの収益分配という

選択肢もあるのですが、この部分で、もめて、

機械的な判断は、著作物の複製権(著作権

21条)や、翻訳・翻案権(同27条)、

二次的著作物の利用(同28条)などなどを、

果たして判断できるのか否や?などの、

訴訟も起きそうな気がします。

(あくまで、私見です。また、ピコ太郎

さんの権利について訴訟が起きるという

意味ではありません。)

 

 ということで、このコンテンツIDも、

どのようになっていくのか、見守って

いきましょう。

 

   ちなみに、長くなりますので詳細は書き

ませんが、ピコ太郎さんのPPAPに発生し

ている権利はひとつだけではなく、たとえば、

著作物としては、PPAPでの歌詞、楽曲、

舞踊(ダンスですね。ただしその振付ですが)

などがあり、それぞれについて、著作

人格権(この場合は同一性保持権でしょう)や

狭義の著作権(複製権などなど)、さらには、

実演家に許される、著作隣接権(実演家

人格権を含む)など、多数の権利の「束」が

発生していますので、もしもですが、訴訟

などを起こす場合には、どの権利を侵害

しているのかを立証する必要があり

ますよ。