知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

ストレスチェックのお魚さん

 昨日、日経新聞に、「養殖魚のストレス

監視用小型センサー」というのが出て

いました。

(電子版は以下。 途中までしか読めま

せん)

 

養殖魚のストレス監視 東京海洋大が小型センサー :日本経済新聞

 

 養殖魚は、ストレスが高まると 免疫

機能が弱まり病気になりやすいので、

センサーを取り付けておいて、ストレス

分析するそうです。

 

 東京海洋大の遠藤先生らが開発した

そうですので、早速、発明を調べてみま

しょう。

 

 そうすると、特許出願が2006年、2007年

と結構古く、特許4910155「 バイオセンサーと

その製造方法」、特許5017652「魚類生体

内のグルコース濃度を測定する方法及び

これに使用するバイオセンサ」というもので、

新聞によると、センサーから光通信をおこ

なうとなっていますので、この基本特許を

応用して、ようやく実用化となったので

しょう。

 

 それでは、センサーのほうの基本特許を

見てみることにしましょう。

 

・ 特許5017652「魚類生体内のグルコース

濃度を測定する方法及びこれに使用する

バイオセンサ」

 

「【課題】

 魚に対する負担が少なく、酵素の失活を

抑制し、長時間に亘って測定可能な魚類

生体内のグルコース濃度を測定する方法

及びこれに使用するバイオセンサの提供。

 

【解決手段】

 先端部を除いた外周を絶縁体2で被覆

した短線状の作用極1と、絶縁体2の外周

に塗布した銀・塩化銀層より成る対極5と、

作用極1の先端に装着され、作用極1の

直径よりも大径の球体6と、作用極1と対極

5を接続する回路に流れる電流を測定する

測定部8と、球体6と絶縁体2との間に

おいて、作用極1の先端部外周に設けられ

酵素固定部11とを備えたバイオセンサ

Aを、魚類の眼球付近に存在する粘膜内部

の間質液中に刺し込み、魚類生体内の

グルコース濃度を測定する。」

 

 ひえ~~、眼球付近に針を差し込まれて

しまうようですね。

 

 逆にストレスにならないんでしょうか???

 

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 請求項の1と2は以下となります。

 

「【請求項1】

 魚類の眼球付近に存在する粘膜内部の

間質液中へ刺し入れたバイオセンサにより

魚類生体内のグルコース濃度を測定する

方法。

 

【請求項2】

 注射針の外周に外筒を嵌合し、頭骨を通

して生体魚類の眼球付近の粘膜内部に前記

注射針及び外筒を刺し入れてから、前記注射

針を抜き取って外筒のみを埋設し、次いで、

外筒の内部に前記バイオセンサを挿入し、

その後、該バイオセンサを頭骨に接着する

請求項1に記載された魚類生体内のグル

コース濃度を測定する方法。」

 

 ということなのですが、請求項の4に

無線送信したりする方法も書かれていま

すが、出願当時はまだアイデア段階で、

やっと実用化となって日の目を見たので

しょう??

 

 もうひとつの特許4910155は、酸素感応

光ファイバーや、バイオセンサーの材料

等がいろいろ書かれていますので、興味が

ある方は、自分で検索してみてください。

 

 検索方法は、「J-PlatPatを使い倒そう

シリーズ」をどうぞ。

 

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