知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

カルピスさんの「アレルケア」の、ラクトバチルス・アシドフィルスL-92乳酸菌

 カルピス株式会社の「アレルケア」

というのをテレビで宣伝していました。

 

 確か、「今日(一昨日ですね)の新聞の

折り込みで。」とか言っていた気がしますが、

アレルケアって何だろうな?と疑問に思い

ましたので、カルピスさんのHPを見ると、

なるほど、載っていますね。

 

アレルケア「L-92乳酸菌」配合サプリ|「カルピス健康通販」オンラインショップ

 

 このホームページでは、「健やかな毎日を

送りたい。」、「乳酸菌を手軽に摂り続けたい。」、

「カラダの中から強くなりたい。」などと書かれて

いるのですが、何に効果があるのか、さっぱり

わかりませんし、「お客様の声」というのを読ん

でも、肝心の、「何に効果があるのか?」という

のが書かれておらず、不思議な商品ですね。

 

 「「L-92乳酸菌」が手軽に摂れる。」とも書か

れていますので、この乳酸菌を摂ることができる

というのはわかるのですが、「「アレルケア」の

よくあるご質問」というところでも、「長年の

乳酸菌研究の中から選び抜かれた、健康づくりを

応援する、頼もしい乳酸菌です。」という、

わけのわからない表現です。

 

 ということで、「「カルピス」由来健康情報室」と

いうところを見てみると、「「L-92乳酸菌」アレル

ギー症状の緩和に」とか、「アトピー性皮膚炎への

有効性」とか、「通年製アレルギー性鼻炎

有効性」とか、「花粉症への有効性」とか書かれて

いますが、この「L-92乳酸菌」自体を摂取した場合

の有効性であって、「L-92乳酸菌」を含む、商品

「アレルケア」自体を摂取した場合に、アレルギーに

効果があるとは、一言も書かれていないんですね。

 

アレルギー症状に働く「L-92乳酸菌」とは|「カルピス」由来健康情報室

 

 それで、わかりました、ネットでは、アレル

ギーに効いた、効かない、悪化した、とか、いろ

いろな意見が散見されますが、HPにあるように、

アレルギー物質27品目を含んでいない商品だ、と

言っているだけで、アレルギーに効くか、効か

ないかなどは、カルピスさん、何も言ってはいな

いんですね。

 

 ということですが、まあ、調べたついでですので、

カルピスさん、このL-92乳酸菌について、どんな

特許出願をしているのか調べておきましょう。

 

 乳酸菌の、ラクトバチルス属、アシドフィルス種で

あって、L-92株に関する出願は、まずは、WO2006/

073145「抗アレルギー効果を有する乳酸菌の製造法」

というのがあるんです。(拒絶査定(日本))

 

 詳細な説明の最初のほうを見てみると、「本発明は、

経口摂取することにより、生体におけるサイトカインの

産生量を高め、優れた抗アレルギー効果を有する

乳酸菌の製造法、この乳酸菌を有効成分とする

抗アレルギー剤及び飲食品に関する。」

 

となっており、

 

 「 乳酸菌は、腸内フローラのバランスを改善して

腸内腐敗産物の低減や糞便性状を改善する効果の

ほか、生体の免疫活性を向上させる効果を有する

ことが知られており、抗アレルギー剤の有効成分

等として利用されている。一般に、乳酸菌による

前記のような生理効果を得るためには、菌体を

比較的大量に摂取する必要があると言われている。」

 

となっており、腸内バランスによるアレルギーの

場合には、腸内バランスをうまく整えることができ

れば、そのアレルギーに効果を発揮するし、他の

原因でのアレルギーの場合には、効果がないと

いえるのでは?

 

 ちなみに、サイトカインとは、免疫システム細胞

から分泌されるたんぱく質だそうですよ。

 

 次は、WO2006/093313「T細胞アポトーシス

誘導剤というもので(特許5069556)、

 

「哺乳動物の免疫系は、細菌やウイルスなどを異物

として認識して、免疫系の働きによりこれらを排除

して生体を守っている。免疫系は細胞性免疫と体液性

免疫とに大別され、これらの免疫系は相互に影響して、

生態防御のための免疫反応を調節している。この免疫

系の機能の調節に大きく関わっているのがT細胞で

ある。」

 

だそうで、T細胞への「あほ、とー死す」(アポトー

シスですね(プログラムされた細胞死を促す現象

ですね))を促して、免疫調整をするそうですよ。

 

 次は、特開2013-201968「ラクトバチルス・アシ

ドフィラス含有飲食品」というもので、

 

【課題】

安全性に優れ、長期連用可能であって、ラクトバチ

ルス・アシドフィラスに属する乳酸菌の有する抗

アレルギー作用等の有用効果を更に高め、短期間に

その効果発現が期待できる飲食品用組成物及び

該組成物を用いたラクトバチルス・アシドフィラス

含有飲食品を提供すること。

 

【解決手段】

本発明の飲食品用組成物は、ラクトバチルス・アシド

フィラスに属する乳酸菌と、前記乳酸菌以外の、経口

摂取により、抗アレルギー作用を示す可食性素材とを

含み、各種飲料、飴、アイスクリーム、粉ミルク等の

各種食品に利用可能である。

 

 となっていて、商品「アレルケア」では、アレル

ギーに効果があると謳うと、効果がない場合もある

ため、そのような効果は謳っていませんが、こちら

では、堂々??と、効果を謳っているんです。

 

 ただーし、審査請求をせずに、みなし取り下げと

なっていますので、やっぱり自信がなかったので

しょうか???

(そんなことはないと思いますが。)

 

 次は、特開2014-217372「免疫調節作用を有する

乳酸菌のスクリーニング方法」で、これは選別方法

ですので、説明はいりませんね。

(特許5927730号)

 

 ということで、特許になっているものは、2つだけで、

腸内バランス由来のアレルギーには、L-92が効けば

効果があるのかも知れませんし、「アレルケア」に入っ

ている成分が体に合わなければ、逆効果となるので

しょう。(単なる私見です)