知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

判定制度

 音楽が鳴る道路、走ったことあります?

 

 音が出る道路って、商標登録されていて、

以下のようになっているんですね。

(株式会社篠田興業さんのHPです)

 

http://www.melodyroad.jp/

 

・ 商標登録第4927076号

権利者:篠田静男さん

f:id:oukajinsugawa:20160528155610j:plain

「メロディーを発生する舗装道路工事,

メロディーを発生する舖装道路工事に

関する助言」

 

 

・ 商標登録第5446588号

f:id:oukajinsugawa:20160528155630j:plain

 こちらのほうは、道路関係ではなく、

指定商品は、「金属製立看板、インター

ネットにおけるホームページによる広告」

と、道路とはちょっと違います。

 

 ちなみに、登録商標というのは、指定

商品、指定役務(サービスのことですね)に

その登録商標を使うと、商標権者から

怒られますが、私は、舗装道路工事、

道路工事の助言、インターネットホーム

ページ広告を目的として、「メロディー

ロード」と貼り付けているわけでは

ありませんので、怒られることは

ないんです。

(尚、実際に使用する場合などは、素人

判断は危ないですので、お近くの専門家

にご相談ください)

 

 ということなのですが、音楽が鳴る

道路関係では、群馬県が登録している

標準文字での商標登録5320568号の

「車両の走行により音楽を発生する

溝を所定間隔で形成する舗装工事,

その他の舗装工事,車両の走行に

より音楽を発生する溝を所定間隔で

形成する舗装工事に関する助言,

その他の舗装工事に関する助言」

というものもあるんです。

(こちらは、「メロディーライン」と

なっています。)

 

 それはともかく、上のホームページに

特許4708354号というのも書かれています

ので、見てみると以下のようになるんです。

 

 発明の名称は、「メロディーロードおよび

メロディーロード設計プログラム」、出願は

2005年の9月16日で、要約は、

「単純な音やリズムを発生させるのではなく

所望のメロディーを奏でるために路面上に

形成すべき溝を個別具体的で精密に

設計することができるとともに、メロディー

らしく再現することができるメロディーロード

およびメロディーロード設計プログラムを

提供する。このメロディーロード1は、所定の

メロディーを構成する各音を発生するメロ

ディーロード1であって、各音の音階に対応

する周波数および車速から特定される溝の

間隔Lと、各音の音符長およびテンポに

基づいて求めた音持続時間と車速とから

特定される当該音符長の単位施工距離Kと、

各音の音量に対応して特定される溝幅Wとを

備えている。」

 

 ということで、やっと、今回の本題に入るの

ですが、「なんか、他人が自分の特許を侵害

してるような気がするんだけど、相手の実施が

自分の権利範囲での実施かどうか、よくわかん

ねーな。」といった場合には、特許発明の技術

的範囲について、特許庁に、「判定してくん

なまし!」ということでお願いできる制度が

あるんです。(特許法第71条第1項)

 

 なぜ、この制度があるかというのは、特許庁

特許法を解説している通称「青本」(特許庁

工業所有権法(産業財産権法)逐条解説)と

いうものに、その理由が書かれているのですが、

中山信弘先生が書かれた「法律学講座 特許法

のほうが詳しく書かれていますので、こちらを

抜粋編集してみましょう。

 

 「物の権利範囲と比較して、特許権の技術的

範囲の確定は難しく、それゆえその範囲を巡る

争いも多い。

 

 またある技術の実施をする場合にも、その

特許権の技術的範囲が不明確では、権利者と

第三者の双方ともに不安定な地位に置かれる。

 

 技術的範囲の問題は最終的には裁判で

決着を付けるべき性質のものではあるが、

事前に、あるいは場合によっては裁判中で

あっても、技術の専門官庁で公平な鑑定を

してもらえれば有益であり、そのために

設けられたのが判定制度である(71条)。

 

 現行法における判定は特許庁による意見の

表明であり、鑑定的性質を有するに留まる。

 

 判定に法的な拘束力のないことは、その立法

過程から明白であり、最高裁判決も同様に解釈

している(最判昭43年4月18日民集22巻4号

936頁(中島造機事件))。

 

 したがって、判定に対しては不服申立をすること

もできないし、また裁判所を拘束するものではなく、

判決において異なった結論が出されることもあり

うる。」

 

 さらに、特許庁も、以下で解説しています

ので、興味がある方は是非どうぞ。

 

https://www.jpo.go.jp/tetuzuki/sinpan/sinpan2/hantei2.htm

 

 ということで、判定の請求制度は、侵害しているか

否か?という判断を求めるものではないのですが、

技術的範囲に属することの確認(積極的確認)と、

属さないことの確認(消極的確認)というものが

できるんです。

(確認、判断であって、上に書いたように、裁判所

での「勝ちー」、とか「負け―」とかの判断では

ありませんが、一応、専門官庁での確認ですので、

権威あるものですし、裁判に訴える際の判断材料に

もなりますし、権利範囲に属するような場合に、

相手方に警告状に添付して警告すると、相手が

実施している場合、考えることになりますね)

 

 上のホームページの篠田興業の篠田静男さん

と、独立行政法人北海道総合研究機構では、

これを利用して、被請求人を芦ノ湖スカイライン

(株)、(株)NIPPO、末広産業(株)を相手

取って、特許4708354号の権利範囲の確認を、

今年の1月26日に特許庁に求めたんです。

 

 というのも、特許4708354号は、審査に

おいて、最初、末広産業さんの出願昭和63年、

特許1807702「音響道路」を引用されて拒絶

理由が通知されたり、末広産業さんはこの

ほかに、出願が2005年7月特許391376号

「舗装道路における音溝形成装置」、出願

2008年特許5370634号「音響道路の施工方法」、

出願2009年特許5399120号「音響道路の

構築方法」(NIPPOさんとの共願)というのも

あり、権利が複雑に絡み合っているからなん

です。

(きっと、芦ノ湖スカイラインが問題となって

いるのでしょう)

 

 判定結果はまだ出ていないようですが。

 

 ちなみに、末広産業さんの特許3913761号

「舗装道路における音溝形成装置」というのは、

以下のように道路を削って線を引く、巨大マシン

ですよ。

 

【目的】

舗装された路面に対し、路上通行車両の走行に

より所定のメロディーとして聴取される振動音を

発生する複数条の音溝を正確に形成できるよう

にする。

 

【構成】

舗装道路面に、路上通行車両の走行により所定の

メロディーとして聴取される振動音を発生する複数

条の音溝を形成するための装置である。施工車両1

に装置されて舗装道路の横断方向に移動されつつ

同方向に前記音溝を形成する溝形成ヘッド13、

ヘッド13を舗装道路の横断方向に移動させる

ヘッド送り機構、ヘッド13を上下方向に移動させ

ヘッド昇降機構、及びヘッド13を舗装道路の長手

方向に移動させるヘッド位置変更機構を備える。

そして、車両1を舗装道路上に停止させた状態で、

ヘッド13を降下させ、これを舗装道路の横断方向に

移動させながら音溝を形成する。その後、ヘッド13を

上昇させ、車両1を停止させた状態のまま、ヘッド

13を舗装道路の長手方向に移動させる。

 

f:id:oukajinsugawa:20160528155952j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160528160021j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160528160039j:plain