知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

松浪硝子さんの裸眼スリーディー

 正式名称が「松浪硝子工業株式会社」、

和泉国日根野郡中ノ庄湊での薄玻璃を

素材とした合わせ鏡の製作を、むかーし

昔の弘化元年に開始。

(といってもわからないので、現在、

関空がある、泉佐野市で1844年に創業)

 

 本社は、だんじり祭りや清原さんで

有名な、大阪の岸和田市、社長さんは

松浪さん、資本金9,000万円、従業員数

280~290名。

(岸和田は、大阪府最大のモモの産地

でもあるそうですが)

 

 業種は、窯業・土石製品製造業、事業

内容は、医療・理化学用硝子、光電子

部品用硝子、(顕微鏡用カバーグラス・

スライドグラス、プロジェクター関連部品、

FPD基板ガラス、裸眼3Dレンチキュラー

レンズ等)、遺伝子・バイオ関連、病理

細胞診支援システム等、となっています。

 

http://www.matsunami-glass.co.jp

 

 と書いても、「ばかやろー、いきなり話

はじめんじゃあねーよ、さっぱりわかん

ねーじゃねーか」と言われるのが落ちです

ので、松浪硝子さん、最近、裸眼で3D

映像を見ることができるレンズを開発

したんです。

 

 なんでこのような技術を開発できたかと

言うと、松浪硝子さん、特殊薄板ガラスの

製造から精密・微細加工へと事業を発展

させてきて、主力製品のスライドガラスは、

1905(明治38年ですね)年の日本初の

国産化以来、高度化する「がん診断」に

適合する高品質スライドガラスの販売先

が世界に広がり、病理診断を支援する

システムの開発、光電子材事業(プラズマ

ディスプレー用スペーサーガラス、スマホ

カメラ用ブルーフィルターの量産化、タッチ

パネル用薄板基板ガラス、車載用ディス

プレーガラスの量産化)などに手を伸ばし、

この技術を生かして、通常、大気圧下での

接着が難しかった、レンチキュラー加工

技術の開発に成功したんです。

 

http://www.sgkz.or.jp/project/newtech/89/document_11.html

 

 レンチキュラーレンズというのは、上の

URLにあるように、細長い凸レンズを多数

並べた形状をしており(話は違いますが、

CCDやCMOSセンサ-は、四角な形の

凸レンズを使っていますよ)、凸レンズに

より、左右の目に異なる映像が見え、これ

により、裸眼でも映像を立体的に見ることが

できるんです。

 

 松浪硝子さん、このレンチキュラーレン

ズを使って、3Dパソコンを作り、部屋の

3D映像を見ることができるようにして、

不動産会社などで使えるようにするんだ

そうです。

 

 ということで、どんな特許なのか調べて

みましょう。

 

 松浪硝子さんからは2件特許化されており、

以下となっています。

 

・ 特許5539545「レンズアレイシートの

製造方法」

 この出願はPCT出願となっており、

いつものespacenetで調べると、

以下のように、いろんな国に出願が

されていますよ。

 

f:id:oukajinsugawa:20160329092913j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160329092949j:plain

 

f:id:oukajinsugawa:20160329093749j:plain

 

【0007】

  レンズアレイシート200は、例えばポリ

メチルメタクリレート、ポリカーボネート

ポリエチレンテレフタレート(PET)などの

樹脂によって形成されている。このような

レンズアレイシート200は、ガラス製の

それとは異なって、押出成型や射出成型に

より安価に製造できるといった長所がある。

しかしながら、樹脂材料が、温度変化の

影響を受けて変形し易く、そのため、寸法

精度が低下したり、サブミクロンオーダー

での成型精度が面内で得られなかったりし、

さらにパネルとの貼合時にフィルムが伸縮

して、高精細パネル、中大型パネルとの

アライメントが合いにくく、映像や画像の

立体表示に必要な性能を安定して維持

することが困難である。

 

【0008】

  図9は、上記に鑑みてなされた、ガラスと

樹脂とからなるハイブリッドタイプのレンズ

アレイシート300の断面を示すものである。

このレンズアレイシート300は、基体301を

ガラス製とし、レンズアレイ層302を樹脂製

としたうえで、ガラス製の基体301と樹脂製

のレンズアレイ層302とを接着層303で

接着したものである。この場合、レンズ

アレイ層302は、シリンドリカルレンズ部分

302aと、平面状ベース層302bとから

構成される。平面状ベース層302bは、

樹脂製レンズアレイ層302をプレス成型

などで製造する際に、それ以上薄く製造

できないために残存していたり、シリンド

リカルレンズ部分302aを保持しておく

ための基体として形成されたりしている。

すなわち、図9のレンズアレイシート300では、

図7で示す全体がガラス製で性能の安定

維持が可能であるが高価という欠点がある

レンズアレイシート100や、図8で示す

全体が樹脂製で安価であるが性能の

安定維持が難しいという欠点がある

レンズアレイシート200とは異なり、

ガラスと樹脂とからなるハイブリッド

タイプとして、安価でかつ性能も長期に

わたり安定したものとしている。

 

 だそうですよ。

 

 へーえ。

 

・ 特許5755779「レンズアレイシート」

【請求項1】

  30~2000μmの厚さを有するガラス

製基体と、

  0.1~200μmの膜厚を有して前記

ガラス製基体上に形成された、前記ガラス

製基体とは線膨張係数が異なる樹脂製

レンズアレイ層と、

  を含み、

  前記樹脂製レンズアレイ層は、マトリクス

樹脂中にナノ粒子が添加された複合材からなり、

  前記マトリクス樹脂の屈折率と前記ナノ

粒子の屈折率とが同じであり、

  かつ、前記ナノ粒子の粒径が前記樹脂製

レンズアレイ層の膜厚の2/10以下であり、

  前記樹脂製レンズアレイ層は、一方向平行に

隣接並置された複数の樹脂製レンズを含み、

  前記ナノ粒子は、有機微粒子又は有機・

無機ハイブリッド微粒子からなり、前記

マトリクス樹脂中に濃度5~60容積%で

添加されている、

  レンズアレイシート。

 

 だそうです。

 

 とまあ、わかったような、わからない

ような?気がしますが、いずれにしろ、

そのうち、不動産会社で、お客さんと不動産

会社の社員さんが、パソコンに向き合いながら、

3D画像を見る時代が来るのかも???