知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

蓄音機の最初の発明はエジソンだそうですが、日本での最初の蓄音機特許はどんなものだったんですか?

 この前、所さんの番組で、お宝を発見

するというのをやっていて、携帯型の

蓄音機が出てきていましたね。

 

 調べてみると特許ではなくて実用

新案の以下のようなものですね。

 

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 ということで、ウイキなどを見ると、

蓄音機は、最初エジソンさんが発明して、

その後、現在の円盤形は、バレリーナ

(ではなくてベルリナー)さんが、発明

したそうで。

 

 それでは、日本の蓄音機の発明を

調べる前に、まずは、エジソンさんと

ベルリナーさんの発明を調べてみましょう。

 

 エジソンさんの発明は、US特許の

200521号で、出願が1877年の12月24日

(クリスマスイブ!)、登録が1878年

2月の19日(こちらのほうは、残念でした、

バレンタインデーではありませんでした

・・・・あんまり関係ないですが)、発明の

名称は、「Improvement "in Phonograph or

Speaking Machines"」だそうです。

 

 

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 明細書を見ると、この発明は、人間の声や、

他の音を、永久的に録音でき、さらにこれを

将来的に再生できるんだそうで。

 

 右側の吹き込み口Bで声や音を吹き込むと、

振動板(diaphramと書かれています)に

振動が伝わり、円柱管Aに信号が刻まれて、

再生は、左側Cでおこなわれるんです。

 

 何も、この発明がポッと出てきたわけでは

なく、Bの振動板や吹き込み口のほうは、

以下の1877年8月22日の出願「Speaking-

Telegraph」が元になっているんだそうですよ。

(蓄音機も、電話の発明の一環ですね)

 

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 今度は、ベルリナーさんの特許ですが、

出願が、1887年の11月8日、登録がUS

564586「Gramophone」となります。

 

 エジソンさんの10年後なんですね。

(1887年の11月8日に、すでに英国で

登録されていると書かれていますが)

 

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 この特許は、1887年5月出願の、

円盤形でないUS372786の改良だ、と

書かれています。

 

 添付はしませんが、このほかに、レコード

盤の製法特許などもありますよ。

 

 では、日本での最初は、どのようなもの

だったのでしょう?

 

 ということで調べると、以下となるんです。

 

・ 特許6547号

(円盤状ですが、平板ではなさそうです)

 

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・ 特許9365号

 

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・ 実用新案登録1573号

(円筒状のようです)

 

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・ 特許12343号

(これは現在と同じの、レコード状です)

 

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 ということで、日本での最初の登録は、

明治35年からの出願(1902年です)で、

最初のうちは筒状のものへの記録や、

現在の平板状のレコード盤への記録などが

混在していたようです。

(明治時代は、出願公開制度というものは

なく、登録されたものだけが公開されていま

したので、もっと古い出願もきっとあったの

でしょうが、今では調べることはできません)

 

 この後は、雪崩を打ったように、登録がどん

どん増加していますよ。

 

 「蘇音機」や、音響記録及「蘇生」装置と

いう言葉は、「言い得て妙」ですね。