知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

知られざる特許の旅 第10回 明治時代のスリーディー

 3Dおおはやりですよね。

 

 「3D」とウエブに打ち込むと、3次元

コンピュータグラフィックス(3DCG)、

3Dモデリング、3Dフォト、3D映像、

3D映画、3Dテレビ、3Dプリンター

3Dメガネ、等々、「もうやめちくりぇー」

というぐらい、続々出てきます。

 

 物を現実と同じように投影して

3Dで見てみたいという欲求は昔から

あったようで、明治時代の登録特許

でも、このようなものがあるんです。

 

 これは、特許第22858號というもので、

出願が明治44年、登録が大正元年、

特許権者は佛蘭西國巴里市(フランスの

パリですね)に住む、国籍が匈牙利國

ハンガリーですね)のエマニュエル

婦人の親戚の(エマニュエル夫人の

親戚というのは嘘です)、エマニュエル

セルヴァンカという方で、発明の名称は、

「實體活動寫眞機」というものなんです。

(古い漢字でそのまま書くと、いかにも

古そうでしょう???)

 

 ということで、いつまでも昔の漢字で

書いていると疲れますので、現在の

漢字で書きますが、概要としては、

まずは、活動写真(映画ですね)を

撮影するときや、これを投射するときに、

フィルムの進行速度と一致するように

した光線を左右に偏向し、これにより

原点位置を交互に変更し、前面には

物体用前面鏡を置くと共に、側方に、

傾斜させた固定の鏡を置き、これと

平行して、フィルムの運動に従って、

可動鏡を動かすか、固定の鏡及び

可動の鏡に変えて全反射プリズム

を使うか、フィルムと同時に揺動

シャフトに運動を伝えて物体鏡を

左右に動かすなどして、観客の目と

映像の間に何の装置がなくっても

3D映像として見えるんです。

 

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 ということで、わかったような、

わからないような?感じですが、

本当に3D映像を見ることができた

んでしょうかね?

 

 尚、この明治44年頃の登録特許を

調べると、日露戦争の影響か(日露

戦争は明治37年から38年にかけて

です)、鉄砲やら、銃弾やらの兵器

関係の登録が結構多く、それも、

外国人の登録が多いんです。

 

 統計を取ったわけではないですが、

外国人の登録は、結構先端的なものが

多く、日本人のものは、改良や、小物

関係など、まだまだ技術では外国に

追いついていなかったんだな、という

のがわかります。

 

 ちなみに、明治45年には自動券売機

の登録などもありますよ。

 

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 発明の性質及び目的というところで、

「ていしゃば」というのがノスタルジーを

そそるような???

 

 そそりませんか???