知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

パテントマップ特許情報分析ロボット編 3  出願概要

 それでは、今回からどんなロボットが研究

されているのかを分析していくわけですが、

特許関係を含めたロボットの分析としては、

以下のような特許庁の調査が公表されて

いるわけです。

 

https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/25_robot.pdf

 

 この調査では、3ページ目に、どんな

技術分類を使って調べたのかが書かれて

いますが、興味がある方もお出でかと

思いますので、ちょっと書いておきま

しょう。

(尚、公表されている上記は概要版

ですので、詳細版を見たい方は、特許

庁の地下にある特許庁図書館か、国会

図書館に行けば見ることができますよ)

 

 特許庁さんでは(実際の調査は、民間

企業に委託しています)、海外も一括して

調べるために、IPC技術分類を使い、さらに、

大きくは、産業用、特殊環境用、サービス、

に渡ったロボットを調べるために、マニ

プレータ全般と補綴制御、下半身関係の

補助機能で大きく検索をかけて、これを

読み込みそれぞれの技術分野と要素

技術に振り分けているんです。

(スクリーニングといいます。 尚、

調査期間は優先権主張年ベースで2007年

から2011年とちょっと古くなってしまい

ました)

 

 特許庁さんは行政庁ですので、偏った

調査はできないでしょうが、私のほうは、

個人的興味で分析できますので、産業用

ロボットは切り捨てて、最新のおもしろ

そうなロボットを調べることと致しま

しょう。

 

 尚、特許調査は、出願前調査や、他社

動向調査、権利侵害調査、無効調査など、

など、いろいろあるわけですが、マン

パワーがある調査会社では、漏れを

極力なくすように、広い範囲で検索して、

ひとつひとつ読みながらスクリーニング

するという手法が使えますが、調査

会社でもない、私のようなパープリンは、

仕事はともかく、趣味で調査するような

場合は、まずは狭い範囲で調査して、

徐々に範囲を広げていくのが非常に

効率が良いんです。

 

 この手法は、時間がない場合の

調査にも重宝しますので、ご参考に

どうぞ。

 

 ということで、最初は、日本の出願を

検索することにして、まずは全体傾向を

見てみましょう。

 

 まずは、日本での二足歩行ロボットを

調べることとして、FI のB25J5/00@F

「二足歩行ロボット」とFタームの人間型

ロボット3C707WA03の論理和で出願

公開数を見てみると以下のように、最近、

出願数が減少傾向です。

 

f:id:oukajinsugawa:20160110135835j:plain

 

 減少傾向の原因がわかりませんので、

産業用ロボットも含めたマニプレータ

のIPCであるB25J全体を見てみると、

以下のように、別に減少傾向ではない

ようです。

 

・ 日本

 

f:id:oukajinsugawa:20160110135949j:plain

・ US

 

f:id:oukajinsugawa:20160110140023j:plain

 

 ちなみに、米国での出願公開制度は

2000年11月29日以降の出願に適用

されていますので、USは2001年からと

しています。

 

 ロボットの研究は日本が進んで

いると言われていますが、特許

出願数でもよくわかりますね。

 

 ただし、USでの出願数がどんどん

増加していますので、日本も安閑と

してはいられないようです。

 

 ちなみに、産業用ボットメーカー

などで作る日本ロボット工業会の

最新の発表では、2015年の産業用

ロボの国内生産額が2014年比6%増の

6300億円だそうで、2016年の国内

生産額も前年比6.3%増の6700億円の

予測だそうで、産業用ロボでは、

日本はまだまだ頑張っていますよ。