知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

龍泉刃物さんのステーキナイフ、アシンメトリーSK01

 この前、所さんのTV番組でやっていた

のですが、ステーキとかを、ごりごり

押したり引いたり?して切らなくても、

刃を下すだけで、すーっと何の苦も

無く切れてしまうという、ステーキ

ナイフを紹介していました。

 

 このナイフ、2013年1月に開催された

フランスのボキューズドール国際料理

コンクールに出場する日本チームの

料理に使用されるため、ホテル総料理

長であるシェフからリクエストがあり、

このために開発した製品だそうで、

世界大会に出場した各国シェフで、

そのまま持ち帰る人が、続出した

そうで。(テレビの受け売りです)

 

 普通のステーキナイフは、のこぎりの

ような歯が付いていますが、このナイフは、

何の変哲もない、バターナイフのような

形状なんです。

 

 ホームページを見てみると、ステーキ

ナイフ1本24,440円と目が飛び出るほどの

お値段ですが、下のURLを見ると、2015年

11月に申し込んだ人の待ち状況は55か月

待ちだそうで、テレビで紹介されました

ので、さらに注文が殺到するでしょうから、

よぼよぼ王花陣じーさんが申し込んでも、

生きている間に使えそうもありません。

(ボンビー王花陣じーさんには、高くて、

とても申し込めた代物ではありませんが)

 

http://www.ryusen-hamono.com/preorder/

 

 普通だったら、注文した後に、「数を

増やすのはOKだが、減らすのはダメよ」

などと言われてしまうのですが、この

ナイフの場合は、「数を減らすのはOK

だが、増やすんだったら、また別に注文

して順番に並んでね」などと書かれて

おり、高くても、いいものは売れるん

ですね。

 

 ということなので、仕方がありません

ので、指を加えながら、どんなナイフ

なのかを、特許情報から探ってみましょう。

 

 まずは、どこがこのナイフを作っている

んだ?というと、福井・越前市にある龍泉

刃物さんというところが作っており、この

メーカーさん、700年続く日本刀の技術を

使用して、三代続く刃物メーカーさんで、

もともとは主に包丁を製造しているんだ

そうですね。

 

 越前市は約700年続く刃物産地だそうで、

日本刀をつくる技術は包丁や鎌などにも

応用されており、龍泉刃物さんでは、

この伝統技術をステーキナイフに注ぎ込

んだそうで、、硬い鋼と柔らかな鋼が

交互に重なった金属を熱しながら鍛錬し、

研磨することで硬い鋼と柔らかな鋼が

織りなす模様が、刃先まで浮かび上がり、

これが切っ先では、目に見えないような

ミクロなギザギザの刃となって、切れ味の

良さを実現しているんだそうです。

(と、テレビで言っていました)

 

 この龍泉刃物さんの本名??は、

「有限会社龍泉刃物」、創業が1953年、

製造品目は、 両刃包丁・片刃包丁・

ステーキナイフとなっています。

 

http://www.ryusen-hamono.com

 

 上のURLでは、製造工程の様子を

動画で紹介していますね。

 

 ということで、プラピ(J-PlatPat)さん、

お願いね!と念じると出てきましたね。

 

 1件だけ。

 

 出願日が、2012年2月26日、特許

出願番号が特願2012-39453、発明の

名称が、「多層微細構造刃先を付けた

打ち刃物およびその製造方法」という

もので、「何とか早いところ、審査を

お願いできないでしょうか?」とお願い

したら、特許庁さん、「よーし、わかった、

早期に審査をしてあげよーじゃあ、

あーりませんか」ということで、急いで

審査をしてくれたのですが、「なんか、

進歩がないよね」とか言われたために、

意見を言ったり(意見を言ったのでは

なくて、意見書というものを提出した

のですが)、書き直したり(手続

補正書といいます。なんでもかんでも

書き直したらいいというわけでは

なくって、ある一定のご要件という

のがあるのですが、説明は割愛します)

して、2012年の9月25日に、めでたく

特許査定となりました。

(特許5108160号)

 

 これは、別に、ステーキナイフだけに

限定しているわけではなくって、「本発明

は、多層多紋構造刀身素型を処理・

加工して形成する多層微細構造刃先を

付けた打ち刃物およびその製造方法に

関する。」というように、刃物全般と

なっています。

 

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 尚、発明者は龍泉刃物の社長さんの

増谷浩司さん、特許出願をしたのは、

龍泉刃物さんなのですが、現在の特許

権者は、やはり越前市の「武生特殊鋼材

株式会社」さんなんです。

 

 武生さんて、誰じゃい?というのは、

龍泉刃物さんが使用している主鋼材の、

VG10・VG5・SPGなどを製造している

会社なんですね。

 

 この模様は、意匠登録も3件されており、

たとえば、意匠登録1442705は、以下の

ようになっています。

 

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 ナイフの形状のほうは、以下となって

います。

(意匠登録1508719)

 

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 商標のほうは、「アシンメトリーSK01」

というのはありませんが、以下の登録が

ありますよ。

 

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2016年12月19日追記:

 マセやんさん、コメントありがとう

ございます。

 

 また何かありましたら、今後とも

よろしくお願い致します。