知財アナリストのひとりごと

特許情報分析・知財戦略をやさしく解説します

J-PlatPatを使い倒そう その10 検索漏れを、なくしましょう

 今回からは、いよいよ特許と実用新案の

検索に入っていくわけですが、まずは、

「特許・実用新案番号照会」から調べて行く

のか?というと、フェイントをかけて、

一番使う機会が多いであろう、「特許・

実用新案テキスト検索」から、調べて

行きましょう。

 

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage

 

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 ここで、検索項目というもので、いろいろ

指定して検索をおこなうわけですが、まずは、

期日関係で、マニュアルや、売られている

書籍に載っていない(と思う)が、知らない

と検索を間違えてしまう、という内容を

調べて行きましょう。

 

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 期日の入れ方としては、ヘルプをクリック

すると、下のような入れ方の説明が出て

きます。

 

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 まあ、入れ方としては、2015年1月

1日から2015年6月30日まで検索したい

場合には、

20150101:20150630

と、入れて、

2015年1月1日から現在まで検索を

かけるときは、

20150101:

と、

今日が2015年6月30日の場合で、今日

まで検索したいという場合には、

:20150630

と入れるんです、などと書かれています。

 

 そのほかにも前方一致なども書かれて

いますので、見てみてください。

 

 それでは、上のように、「公開特許公報

(特開・特表(A)、再公表(A1)」に

チェックを入れて、出願人などを入れて、

期日関係を「出願日」として、日にちを

入れると、その間の公開特許公報、

公表特許公報、再公表特許を検索して

くれるのか?と思ってしまうのですが、

さにあらず!!

(公開特許公報、公表特許公報、再公表

特許の違いは、第4回を見てください)

 

 それぞれの例は貼り付けませんが、

試しにやってもらうとわかりますが、

出願日で入れても、公表特許公報や、

再公表特許など出て来ません。

 

 むずかしいですね。

 

 ということですので、検索項目の

ところに含まれている期日関係は

以下になりますので、それぞれ調べて

みましょう。

 

・出願日

・公開日

・公告日

・登録日

・登録公報発行日

・公表日

・再公表発行日

・公報発行日

・国際出願日

・国際公開日

・公開/国際公開日

 

 この中で、公告日というのは「広告日」

ではなくて、むかーし昔の、その昔、

大正10年改正法で、特許出願、実用

新案登録出願は、特許公報の発行はなく、

出願公告というものがされて、当時の

特許法の74条というところで、「出願

公告アリタルトキハ何人ト雖出願

公告ノ日ヨリ二月以内ニ特許局ニ

特許異議ノ申立ヲ為スコトヲ得」と

なって、この公告の日を意味します。

(ちなみに、当時の実用新案法の

ほうは、26条で、特許法が準用

されています)

 

 その後、いろいろ改正などがされ

ましたが、最終的には、平成6年改正

法でなくなってしまいました。

(施行日は平成8年1月1日で、詳細は

省きますが、施行期日及び経過措置と

いうもので特例があり、したがって、

公告特許公報の最後の番号は平08-

034772で、公告実用新案公報の最後は、

平08-011090となっています)

 

 それでは、そのほかの期日指定で、

登録日を除いた出願関係で、何が

検索対象になるのか調べてみましょう。

 

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 ということで、どこにも書かれていま

せん(と思います)が、実は、出願日で

検索すると、PCT出願はヒットして

来なくて、PCT出願も出願日で調べる

場合には、国際出願日でも調べないと、

ダメなんです。

 

 それでは、公開日のほうはどうかと

いうと、こちらも公開日だけでは、PCT

出願関係はヒットせず、ほかの公表日

などでも調べる必要があるんですが、

しかし、公開のほうは、公報発行日で

検索をかけると、すべて、検索して

くれます。 

 

(検索日のところは、左側の言葉を

そのままコピペしましたので、

公開日と公報発行日は違うのか?と

思ってしまいますが、意味合いは

同じです)

 

 ちなみに、国際公開というのは、

いわゆるPCT出願(1976年6月19日に

ワシントンで作成された特許協力条約に

基づく国際出願)の場合に、いわゆる

PCT条約21条で、「国際公開しろよ

なー」と決められているものです。

(公開要件はいろいろありますが、

割愛します)

 

 ということで、国際公開日はそれ

なりに、「公開/国際公開日」では、

国内出願は公開日で、PCT出願は、

国際公開日で検索して、公開、公表、

再公表の3つ共、表示してくれます。

 

 めでたし、でめたし??

 

 蛇足ですが、特許法では、おなじ

発明だったら、先に出願した人が勝ち、

という先願主義を採っており(実、意、

商なども同じです)、出願日は非常に

重要なため、たとえば特許法では19条

をはじめとして、PCTでは11条等で、

どんな場合に出願日となるんだ?と

いうのが法律で定められているんですが、

長くなりますので、説明は割愛します。

(正確には、PCTの11条は、国際出願日

について規定されていますが、特許法

19条は、出願日を定める要件が書かれて

いるわけではなくて、「願書等の提出の

効力発生時期」が書かれているわけ

ですが。)

 

 ちなみに、書籍などで、「出願日で期日

指定をする場合、「20050101:」などと

すると、「公表、再公表」の検索漏れを

起こすので、検索には工夫が必要です」と

いうような感じで書かれているものがある

のですが、「安心してください、穿いて

ますよ」、ではなーくーてー、安心して

ください、上のような理由で、検索漏れを

起こしているわけではなくて、出願日で

検索する場合には、公表、再公表特許を、

ただ単に検索していないだけなんです。

 

 例をあげてみましょう。

 

 出願日で検索をすることにして、

「20120601:」と入れてみます

 

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 544件で、説明したように、当然、下の

ように、公表、再公表特許は含まれていま

せん。

 

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 これを国際出願日にしてみると、

公表、再公表特許(今回は公表特許は

ありませんでした)を、当然、検索を

してくれています。

 

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 今度は、出願日にして、

「20120601:20151207」にしても

「20120601:」と同じように検索

してくれています。

(検索を行った日は、2015年12月7日

です)

 

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 ということですので、「20120601:」などと

しても検索漏れは起こしませんので、期日以後

から現在までを検索する場合には、大いに

「xxxxxxxx:」を使い倒そうではあーりませんか。

(INPITさんに確認済みですので、「安心して

ください、入ってますよ」???)

 

 (尚、「公開特許公報 (特開・特表(A)、再公表

(A1))」にして、公開特許公報しか出て来ないのは、

期日指定をした場合だけであって、期日指定を

せずに、たとえば、出願人だけで検索をおこなうと、

特開も特表も再公表も出てきますので、念のため)

 

 それでは、また。

 

 

2017年3月1日追記:

 日本での特許出願の日の認定については、

平成27年特許法等の一部改正により、

新しい特許法38条の2として、認定要件が

定められました。